イタリア人男性のファッションはなぜみんなカッコいいのでしょう。
生まれながらのセンス?持って生まれた造形美で着ているものが何でもよく見えるから?
いえいえ、イタリア人だって、失礼ながら足の短い人や顔の造形がユニークな人もいます。
それならなぜ、何でもないような道端のおじさんたちまでカッコいいのでしょう?
それは、イタリア人男性なら誰もが知る、アズーロ・エ・マローネがイタリア人男性のファッションセンスを底上げしているからです。
あなたも毎日のコーディネートにアローズ・エ・マローネを取り入れることで、スーツやジャケパンのファッションセンスがレベルアップし、周りと差をつけられますよ。
アズーロ・エ・マローネの法則
アズーロ(AZZURRO)はイタリア語で空色、マローネ(MARRONE)は栗色を指します。
すなわち空の色=青、栗色=茶色で、青と茶色の組み合わせのことをアズーロ・エ・マローネと呼びます。
空色や栗色といっても特定の色を示すのではなく、青色全般、茶色全般のことを意味し、薄い色から濃い色まで幅広い範囲の色を指します。
アズーロ・エ・マローネはイタリアの伊達男の間では定番で、流行に左右されず、古くから愛されている配色です。
通常のタキシードなどに見られる正統的でドレッシーな配色は、黒 × 黒、白 × 白など同じカラーを組み合わせています。
しかし、青 × 茶色は正統的な配色をちょっと崩した感じがあり、なおかつ上品さとスポーティーさをミックスさせたイメージを演出できるカラーコンビネーションです。
イタリアのメンズファッションは長くイギリスのスーツ生産を請け負っていました。
そのためイタリアのスーツを始めとするメンズファッションは、イギリスのスーツの構造や形式などの影響を受けていますが、イタリア人独特の明るく軽やかで自由な気質による感性が味付けされています。
アズーロ・エ・マローネは、イギリスの伝統を守る気質に対して自由を大切にする、イタリア人らしい色の組み合わせということができます。
この図は色彩学に基づくカラーガイドです。
青と茶色はほぼ対面する位置にあり、反対色と言うことができます。
色彩学の分野では、青の反対色は黄色ですが、黄色をトーンダウンしていくと茶色になるからです。
青は寒色系、茶色は反対の性質である暖色系に分類され、お互いを引き立てる効果を持っています。
また、配色を考えるとき、図の外側へ向かう暗いトーンほど落ち着いてクラシカルな印象に、反対に内側に向かう明るいトーンほどラフでカジュアルな印象になるんです。
これを覚えておくと、シーンに合わせてコーディネートしやすくなりますよ。
【暗いトーンの色イメージ】
落ち着いた、ドレッシーな、クラシカルな、ビジネスライクな、控えめ。
【明るいトーンの色イメージ】
軽い、ラフな、現代的な、カジュアルな、派手。
ただし、青と茶色、どちらも同じトーンである必要はありません。
例えばネイビー(暗い青)にベージュ(明るい茶色)を合わせても上品な印象になりますし、水色(明るい青)にこげ茶(暗い茶色)なら全体の軽目の印象をこげ茶が引き締める効果があります。
暗いトーンは後退色、収縮色とも言われ、他の色と組み合わせたときに遠目に見えたりぎゅっと引き締める効果があります。
逆に、明るいトーンは進出色、膨張色と言われ、手前に見える効果や広がりを持つ効果があります。
色の特性をなんとなく頭に入れておくと、ニーズに合わせて色を組み合わせることができますね。
青と茶の比率は?
色の組み合わせの比率は、だいたいにおいて半々というよりは、どちらかの割合を少なくして差し色として使うとうまくいきます。
例えばネイビーのスーツなら靴やネクタイ、ベルトを茶系にする、茶系のスーツなら逆に小物類をネイビーにするなどです。
靴、ベルト、バッグなどは皮革製品が多いので、同素材なら同じ革を使用しているかと思わせるくらいの似たトーンにするのがオススメ。
同じ茶系だからと、一つのコーディネートの中で淡い色から濃い色まで様々な茶色を使うより、同じトーンで揃えた方がスッキリとまとまります。
色の比率、すなわち面積の割合はちょっと難しいですが、初心者なら濃い色を使うと成功します。
明るい色は遊びの要素が強くなってしまい使うシーンを選ぶので、特にビジネスシーンで取り入れる時は要注意。
その点濃い色なら落ち着いて引き締まって見えるため、ビシッとした印象を与えます。
色々なトーンで試みるアズーロ・エ・マローネ
実際に、いろいろなトーンのアズーロ・エ・マローネを見て見ましょう。
ネイビージャケットに薄いベージュのパンツを合わせたコーティネートです。
シャツもサックスで薄い青を使用しています。
濃いネイビーは落ち着いた印象がありますが、パンツに明るいトーンを持って来ることで、重さを逃しています。
同じネイビーのジャケットを使っていますが、こちらは少しダークな茶色のパンツとの組み合わせ。
色のトーンを落とすと、ベージュのパンツに比べて重さがプラスされ、少しシックな印象になりますね。
シャツも同じ色ですが、ネイビーのタイを更に乗せることで全体が引き締まっています。
こちらはパンツが少し黄色を帯びた茶色です。
色自体は濃くても、黄色寄りにすることで、カジュアルさがプラスされます。
ネイビージャケットの中には明るいターコイズのニット。
ターコイズも青の仲間の中では少し明るめで、カジュアル寄りの色です。
同じネイビーのジャケットでも、こんな風にパンツの色でかなり印象が左右されることがわかりますね。
ネクタイとシャツに注目。
ネクタイのベースは濃いこげ茶で、ペーズリーの柄はブルーですね。
このブルーとシャツのサックスが、うまく調和しています。
そして、こげ茶のトーンがスリーピースのグレーと同じトーンなので、色が3色入ってもガチャガチャしていません。
この場合、暗めの同じトーンですが、反対に明るめの同じトーンでも統一感が出て、まとまりやすくまります。
こげ茶のスーツにネイビーの花柄ネクタイ。
ネイビーとこげ茶は同じくらいの暗めのトーンですが、ネクタイに柄を入れたことで華やかさを添えていますね。
ネクタイは、同じ色でも柄の中に別の色が入る割合や模様によって動きが出るので、これをうまく利用するのも一つの方法です。
アズーロ・エ・マローネのコーディネート
イタリアの伊達男はどのようにしてアズーロ・エ・マローネを取り入れているのか、画像を見ながらご紹介していきましょう。
アズーロ・エ・マローネ|秋冬編
ジャケットからして茶色と青のウィンドウペーンですが、それに合わせるようにジーンズ生地のシャツ、そしてキャメルのコートを合わせていますね。
ダブルブレストのジャケットとコートだけを見ると、ビジネスシーンでも使えそうですが、ジーンズのシャツを合わせることでラフに逃しています。
シャツをシンプルな白いシャツにしたら、ビジネスシーンでも通用しますね。
濃いネイビー&ネクタイ&ニットに、茶色のトーンをずらして合わせたコーディネート。
ネイビーは一色にし、合わせる茶色に濃淡を効かせることで、複雑で飽きさせないコーディネートにしています。
それぞれが反対のアズーロ・エ・マローネになっていますね。
向かって左側の人物は、ネイビーを中心に薄めのこげ茶を絡ませたコーデ、右側の人物は明るいベージュのコーデに濃いネイビーのネクタイを合わせています。
一見全く別々のコーディネートに見えて、ネイビーと薄い茶色がお互いにリンクしている遊び心たっぷりな二人組み。
ネイビーのネクタイ、グレーのパンツにキャメルのコートとこげ茶の靴を合わせたアズーロ・エ・マローネ。
ネイビーやグレーが硬めの色な分、キャメルを入れることで柔らかさと上品さが全体を中和してくれています。
茶色のネクタイ、ベージュのニットにネイビーのコート。
日本人は、ネイビーのコートなら同じネイビーのスーツやグレーのスーツに合わせがちですが、茶色を入れることで少しオシャレ上級者のように見えます。
ベージュは上品できちんと感のある色なので、意外と使いやすいですよ。
アズーロ・エ・マローネ|春夏編
今度は春夏編のコーディネートをご覧いただきましょう。
春夏はベージュのジャケットを使用しがちですが、軽い印象にならずに春夏らしさを出せる、見習いたいコーディネートを見つけてみました。
早い春先に、カーディガンやベストを着用するパターンのコーディネート。
明るいシャツと明る目の茶色だけだと、かなりカジュアルな印象ですが、ジャケットのグレーが明るい色を包み込んで、全体を落ち着いた雰囲気にしてくれています。
ネイビージャケットとベージュのパンツの組み合わせ。
ネイビーのジャケットは、この季節にはとても着まわしやすいアイテムですよね。
ネイビーと多色の組み合わせは、ベージュ、ライトグレー、ネイビー(同色)、白など、ネイビーを一着持っていると一週間を乗り切れてしまうほどバリエーションが広がります。
このコーディネートでは、白のTシャツを挟むことで軽さをプラスし、春夏らしい爽やかさをさりげなく表現していますね。
カジュアルスタイルならではの、赤味の効いた茶色のジャケットとベージュのパンツの組み合わせ、そしてネイビーのシャツです。
どのアイテムも少しカジュアルな色味ですね。
あまり考えないでただ着ただけのように見えて、しっかりコーディネートしているのはさすがです。
日本ではちょっと真似できないスーツかもしれませんが・・・、色の組み合わせだけを見てみると、ベージュ、キャメル(黄土色)、青の組み合わせは他にも流用できる組み合わせです。
ベージュとキャメルにネイビーを合わせると落ち着いた感じに、明るい青を組み合わせると軽やかな感じになりますね。
リラックス感が漂うのに見事におしゃれな着こなしをするラルディーニのルイジ氏。
靴だけが茶色で、あとはトーン違いのネイビーです。
そういえば、イタリアの男性はよく、こげ茶色の靴を履いている印象がありますよね。
ネイビー中心のジャケパンで、靴だけを茶色にする組み合わせは、真似しやすいコーデですね。
これのどこがアズーロ・エ・マローネかって?
わずかですが胸ポケットに刺さっているチーフの色と、メガネのレンズが茶色なんです。
ほんのわずかな差し色でも、これがあるとないのとでは印象が結構違うんですよ。
茶色はニュアンスを与えてくれる色なので、コーディネートを少しソフトにしてくれます。
ベージュのスーツに鮮やかな青のシャツを合わせたコーディネート。
日本人なら白かサックスのシャツを合わせてしまいそうなところを、あえて鮮やかで強い色の青を持ってきたところがオシャレ度をアップさせています。
もし手持ちのベージュのスーツがあるなら、パーティーなどに使えそうな手ですよね。
ビジネスマンにオススメする「アズーロ・エ・ネロ」とは
ビジネスマンの装いに必要なことは、清潔感と信頼感。
では、清潔感と信頼感を出せる色とは?
そう、誰もが一着ずつは持っているネイビーとグレーのスーツです。
ネイビーは青系統の色ですが、グレーは系統で言うと黒なんですよね。
社会的に清潔感や信頼感が要求される、アナウンサーや銀行員が着ているスーツの代表は、ネイビーやグレーの色です。
ですのでビジネスシーンに着るなら青と黒のトーン違いならあまり外すことはありません。
一つ注意したいのは、真っ黒はNGということ。
真っ黒はお葬式を連想させるほか、威圧感を与える色でもあります。
黒一色のコーディネートは避けましょう。
アズーロ・エ・マローネは青と茶色ですが、アズーロ・エ・ネロは青と黒の組み合わせ。
青に茶色だとビジネスの場では少し遊び要素が強くなってしまう、と感じるのなら、青と黒のコンビネーションをお勧めします。
黒といっても薄いグレーから真っ黒まで幅広いので、使いやすいのではないでしょうか。
ジャケパン派ならネイビージャケットとグレーのパンツは鉄板ですよね。
ネイビーのスーツでも、靴やベルト、カバンなどを全て黒でまとめてしまえばきちんと感と清潔感を出すことができます。
また、黒髪の日本人には黒がよく似合うので、黒のトーンは使いやすい色。
スーツだと堅すぎるけどカジュアルなジャケパンでもなぁ、という時にはネイビーのジャケットとグレーのウールパンツがお勧め。
目上の人と会うのにも失礼に当たらないし、清潔感がありスッキリとした印象を与えます。
黒のインにネイビーのカーディガン、ネイビージーンズを合わせたコーディネート。
ネイビー一色や、インを白にするコーデも素敵ですが、中に黒を入れるとちょっとずらした感が出て、微妙なニュアンスを表現できます。
マネキンが着ているのは、ビジネスライクなグレーのダブルブレストスーツにネイビーのネクタイ。
そして向かって左の人物が着ているのはネイビーのタートルネックに黒のジャケット。
ネイビーに黒はシックな感じがしますね。
カジュアルなアイテムでも色をネイビーと黒にすれば、落ち着いた雰囲気を醸し出せます。
ネイビーのスーツに黒のタートルネック。
深いネイビーと黒の組み合わせは、大人の雰囲気ですね。
これがタートルネックではなくシャツだと、ちょっと怖いイメージになってしまうかもしれませんが、ニットというソフトな素材も雰囲気を和らげてくれる要因になっています。
アズーロ・エ・マローネまとめ
イタリア人の伊達男なら誰もが知っている・・・と言うより身についている、アズーロ・エ・マローネ。
青と茶色はトーンが異なっても上品で華やかに見せてくれる、黄金のカラーコンビネーションです。
・配色の割合は、半々よりもどちらかを差し色で使うと成功する
・暗いトーンほど落ち着いて見え、明るいトーンはラフでカジュアル
・初心者なら暗いトーンが間違いない
・明るい色は遊びの要素が強くなる
・同じネイビージャケットでも合わせるパンツによって印象が異なる
・同じ暗さの色を合わせると統一感が出る
・ネイビーを中心に置き、茶系のトーンをずらすと複雑なのにまとまる
・茶系でもキャメルやベージュはソフトで上品
・明るい色のコーデをモノトーンで包むと落ち着いた印象になる
・ネイビージャケットは春夏の必須アイテム
・わずかな割合でもアズーロ・エ・マローネを実践するとソフトなニュアンスに
・鮮やかな青を効かせたアズーロ・エ・マローネはパーティーに吉
・ビジネスマンには清潔さと信頼感を引き出すネイビー&ブラック
・ネイビージャケット&グレーのウールパンツなら目上や顧客にも失礼に当たらない
・ネイビー&ブラックはカジュアルアイテムでも落ち着いた雰囲気を醸し出せる
・暗いトーンほど落ち着いて見え、明るいトーンはラフでカジュアル
・初心者なら暗いトーンが間違いない
・明るい色は遊びの要素が強くなる
・同じネイビージャケットでも合わせるパンツによって印象が異なる
・同じ暗さの色を合わせると統一感が出る
・ネイビーを中心に置き、茶系のトーンをずらすと複雑なのにまとまる
・茶系でもキャメルやベージュはソフトで上品
・明るい色のコーデをモノトーンで包むと落ち着いた印象になる
・ネイビージャケットは春夏の必須アイテム
・わずかな割合でもアズーロ・エ・マローネを実践するとソフトなニュアンスに
・鮮やかな青を効かせたアズーロ・エ・マローネはパーティーに吉
・ビジネスマンには清潔さと信頼感を引き出すネイビー&ブラック
・ネイビージャケット&グレーのウールパンツなら目上や顧客にも失礼に当たらない
・ネイビー&ブラックはカジュアルアイテムでも落ち着いた雰囲気を醸し出せる
これからはあなたもアズーロ・エ・マローネを上手に取り入れて、イタリアの伊達男のように上品で落ち着いたワンランク上のファッションで周りと差をつけてみては?