スーツにも寿命があるとよく言われますね。
でも、正直言いまして、私にはピンと来ません。
使わなければいつまでも買ったときと変わりませんし、よく使えば当然すぐにダメになります。
それなのに、スーツの寿命は3年とか5年とか言われます。
どうしてそんな数字が出てくるのでしょう。
本当のところ、そんな寿命があるのでしょうか?
寿命があるのなら、それを伸ばして長く使う方法も知りたいですよね。
そこで、スーツの寿命と延命方法について調べてみました。
その結果から、私なりの寿命の判断基準も作ってみました。
個人的判断基準「ときめき」
色々な情報を集めて寿命について考えましたが、
一言で言うと、そのスーツに魅力を感じなくなったとき、
「ときめかなくなった時」が寿命ではないかと思います。
近藤麻理恵さんの提唱されている「ときめくものだけに囲まれて暮らす」のと同じ考え方です。
寿命には3種類あると思います。
○ テカリや生地の破れが出る物理的寿命
○ 自分の体型が変わったことで着られなくなってしまう体型的寿命
○ デザインが古くなり魅力を感じなくなってしまうファッション的寿命
どれが該当しても「着たい」という気持ちは起こりませんよね。
そのものは、この先もおそらく着ることはないでしょう。
そうであれば、そのスーツは寿命が来たというように考えてはいかがでしょう。
裁判等で使われる一般的判断基準
個人の判断は、そのものに魅力を感じる程度により異なりますので、
同じものでも一律に寿命だと言い切ることはできません。
しかしながら、一般的な判断基準として出されている指針がありますのでご紹介します。
衣類の平均的使用年数を、国と消費者団体、弁護士会、
学識経験者で構成されたクリーニング賠償問題協議会が作成しています。
表をご覧いただくと、思っていたより短いと感じられるのではないでしょうか。
ただ、これは平均的なものであり、お手入れ次第で使用年数は伸びます。
もちろん、ここでは物理的な使用年数についての記載です。
ちなみに、厚生労働省認可のクリーニング店では、
この表に基づいて損害賠償額を算出する場合が多くあります。
品目 品種・用途等 素材 使用年数
背広 夏物 絹毛 3
スーツ 夏物 その他 2
合冬物 4
ジャケット 夏物 2
ブレザー 合冬物 獣毛高率混 3
ジャンバー 合冬物 その他 4
スラックス類 夏物 2
合冬物 4
礼服 礼服 10
略礼服 5
出典:クリーニング事故賠償基準(運用マニュアル)別表1 商品別平均使用年数表より抜粋
寿命を延ばす
体型的寿命は、頑張ってスタイルを維持するしかありません。
食事と運動に気を配ってください。
ファッション的寿命は、その人の感性により異なりますのでなんともなりません。
強いて言えば、流行に敏感になり過ぎないように気持ちにゆとりを持つことでしょうか。
物理的寿命については延ばす方法がありますので、
ここでは、代表的方法をいくつかご紹介します。
物理的寿命の判断基準
破れや擦り切れは当然ですが、
テカリが直らなくなった時点で寿命と考えてはいかがでしょうか?
テカリは、スーツそのものだけでなく、それを着ている人も安っぽく見せます。
テカリを直す方法はいくつかありますが、
それでもダメな場合は寿命と判断した方が良いと思います。
寿命を延ばす3つのポイント
① スーツの連続着用を避ける
毎日同じスーツを着ていると、
汗などで傷んだ生地が回復する間もなく次の日の負荷を受けることになります。
人もスーツも同じで、疲れても休めば回復しますが、
負荷がかかり続けると回復できなくなり、致命的なダメージを受けるに至ります。
1日着たら、その次は2日間おいて着るようにしてください。
その場合、毎日スーツを着る方ですと3着のスーツが必要になります。
一見お金がかかるようですが、
長期的にみれば最もコストが安くあがる方法ですので、実行していただきたいと思います。
② ブラッシング
家に帰ってスーツを脱いだら、
スーツ用の太めのハンガーに掛けてブラッシングをして下さい。
生地に入り込んだ埃を落とし、
押されたり擦れたりして寝てしまった繊維を起こして、
生地を生き返らせていただきたいと思います。
③ クリーニング回数を減らす
何かで汚した場合は直ぐにクリーニングに出して下さい。
しかし、汗をかいたからとかシワができたからという理由で
頻繁にクリーニングに出すのは控えたほうがよいでしょう。
クリーニングは溶剤を使いますので、
羊毛に含まれるオイル分を取り去ってしまい、繊維が傷みやすくなります。
1シーズンに1回のクリーニングが適当です。
まとめ
スーツの寿命というものについて、判断基準から考えてみました。
何となく納得していただけましたか?
最初に書いた“ 個人的判断基準「ときめき」”では、私の考えをお話ししました。
賛成いただけるのであれば、この考え方を参考とし、
そうでなければ、もちろん各個人のお考えで判断いただければ良いと思います。
「ときめかなくなった時が寿命」と考える場合、
体型を維持しておりファッション的寿命についても
自信を持って着ることができる方であれば、
あとは物理的寿命だけを気にされればよいと思います。
大切にされているスーツであれば、
10年・20年経ったものでもまだ寿命とは言えないでしょう。
スーツの寿命は、着る人の「着たい」という気持ちと「ときめき」で決めれば良いと思います。
ご自身が「どうかな?」と思われたら、そろそろ寿命だなと判断されてはいかがでしょう?
ちなみに、ファッションに敏感な女性の場合は、
巷で言われる3年~5年がやはり衣類の寿命の相場のようです。