スーツを選ぶとき、これまでデザインとブランドは気にしてきた、でも生地はさほど気にしてこなかった・・。
生地のブランドは知っている、でも内容はちょっと・・。
そんな貴方、今すぐに考えを改めて下さい。
なぜなら、貴方にとって本当に価値あるスーツを選ぶためには、生地の知識が不可欠だからです。
生地の知識があれば、良いものを安く買う目を養うことができます。
いわゆるツープライスショップでも良い生地のスーツが置かれている場合があり、それを見つけることができれば、即買いです。
一方、ブランド品であっても、目的によっては不適切な生地が使われていることがあり、生地の知識がなかったがために後悔する場合があります。
それぞれスーツを購入される方の目的は異なります。
目的にあった生地を使うことで、コストパフォーマンスを最大にすることができます。
生地の知識を身につけて、価値ある買い物をしましょう。
生地選びのポイント
生地選びは、品質とブランドの両方が大切です。
それは、第1に、高い技術を必要とする品質への信頼性がブランドにより確保されるからです。
そして、第2に、ブランドにより微妙な仕上がりの違いがあり、そこに付加価値がでるからです。
生地の品質
素材
スーツ素材の基本はウールです。
ウール以外のものが混紡されることもありますが、ウール100%の方が見た目や着心地等で勝るので、こちらを選ばれる方が良いと思います。
ただし、かなり過酷にスーツを着続けるような職業の場合、ポリエステルが入っていた方が耐久性に勝りますので、その場合は、混紡品を選ばれた方がよいでしょう。
番手
番手とは、糸の太さを表わす単位です。
使用している羊毛(原毛)の太さを表す場合は、SUPER表示を用います。
これは、原毛1kgで距離100kmの長さの糸を作ることができる場合に、Super100’sと表します。
原毛1kgで200kmの場合は、Super200’sであり、数字が大きいほど細い繊維であることを示します。
原毛1kgで200kmの場合は、Super200’sであり、数字が大きいほど細い繊維であることを示します。
一般に、この数値が高いほど良いと言われますが、目的により適した範囲が違いますので注意する必要があります。
例えば、営業職のサラリーマンが使用するのに適した太さは、せいぜいSuper120’s程度までであり、それ以上細いと耐久性に問題があり、好ましくありません。
ちなみに、Super80’s以下はSuper表示しませんので、既製品スーツでは多くの場合、Super表示はありません。
撚り
撚りの程度により、生地の雰囲気が変わります。
強く撚られればカッチリとした質感になりますし、弱く撚られれば柔らかな質感になります。
外出が多い方がお求めになられるのであれば、強く撚られた糸で織られた生地をお勧めします。
シワがつきづらくサラッとしており、手入れがしやすいからです。
目付け
生地150cm×100cmの生地の重さを目付けと言い、グラム数で表示します。
生地スペックに、「350g/m」のように書かれています。
重さは生地に織り込まれているたて糸とよこ糸の本数により決まり、重いほど緻密に織り込まれています。
一般的には、細い糸を使用しながらも目付量が大きい場合は、肌触りや質感に上質さを感じます。
但し、緻密であれば良いというわけでなく、緻密すぎると固くなってしまうので、触感で適否を見極める必要があります。
イタリア製冬物生地では、260~300gほどであり、英国製では280~420gほどのようです。
感覚
上記してきたような数字以外に感覚での評価も大切です。
例えば、触感です。
生地の滑らかさ等については、実際に生地に触って確かめてみてください。
生地の柔らかさや弾力性を感じてみてください。
しっかりとした生地は、いわゆるコシがあり、シワなどに対しても高い回復力を持っています。
光沢感やツヤ感も大切です。
上質な原毛はもともとの毛に含まれる油が残るので自然な光沢感を持ちますが、低品質なものは原毛中の油が少なく、加工過程で人工油を添加するため、安っぽい光沢になるようです。
ブランド
国内外の有名ブランドが多数あります。
それらの製品であれば品質としては間違いありません。
但し、ブランドに引かれて生地の選択を誤ると後悔しますので、注意してください。
例えば、SUPER150’sの生地でできた高級ブランドスーツを購入すると、耐久性に劣るため、過酷な使用状況下ではすぐに使えなくなります。
一方、品質表示が良いものであっても無名ブランドの場合は一部不適切なものがありますので、ウールマークの確認は怠らないで下さい。
まとめ
以上、生地がどう作られており、どういう性質を持つものかの大枠をご説明しました。
あなたのスーツに関する知識に深みを加えることができましたでしょうか?
高級ブランドのスーツが、高級な生地が使われたスーツであることは間違いありません。
しかしながら、必ずしも着る方の用途に適したものとは限りません。
高級な生地は繊維が細いものが多く傷みやすいので営業マンのようにスーツを酷使する方にはあまり適していません。
その場合は、むしろ繊維が太目で生地の耐久性が高い低価格の物の方が適しているでしょう。
目的に合った生地の品質とブランドの両方を考えて選ばれると、最適なものを得ることができると思います。
あなたのスーツ選びの参考になれば幸いです。