□ スーツが大好きなので、その歴史まで知ってみようと思われた方
□ スーツへの興味はそこそこだけど知識を広げるのが好きな方
□ 会話のネタを探されている方
こんな動機の方がこのページを訪れて下さっているのでしょう。
もちろん、これら以外にも様々な動機の方がいらっしゃるでしょうが、スーツの歴史に興味を持たれている事は共通していると思います。
歴史を知ると、スーツに対する理解を深めるだけでなく、少し上品な会話のネタとしても使うことができます。
ひょっとすると、気になる女性から一目置かれるキッカケになるかも知れません。
貴方の歴史に関する知識にスーツの歴史を上乗せして、オシャレで知的な会話を楽しむ機会を増やしていただきたいと思います。
スーツへの変化の始まり(18世紀)
1780年
1789年のフランス革命を境に男性のファッションが大きく変わります。
18世紀のほとんどの期間は、17世紀にチャールズ二世が出した「衣服改革宣言」に基づき、ベストと、上に羽織るコート、たっぷりフリルのついた白いシャツ、半ズボン、タイという組み合わせでした。
しかし、フランス革命後は、ズボンが革命服である長ズボン型に変わり、上着が前裾を切り落とし後ろが長いデザインに変化しました。
ここから、現在のスーツに向けての変化が始まります。
デザインの完成(19世紀)
スーツの原型考案(19世紀前半)
1805年
1800年代初頭からテールを持つ燕尾型の上着が普及しはじめました。
同一の生地で、上着とベスト、長ズボンの三点セットを作るディトスが考案されたのもそのころです。
このディトスが今のスーツの原型となります。
また、この間に、上着の前裾の長さが長くなり、ズボンの裾幅が広くなってきて、着心地のよい実用的なデザインに変化してきました。
スーツデザインの完成(19世紀後半)
1900年
それまでは、燕尾型の上着が主流でしたが、19世紀後半になってラウンジスーツが登場して変化が始まります。
このラウンジスーツは、今私達が着ているスーツとほぼ同じデザインでした。
このラウンジスーツについて説明を補足いたします。
当時の上流階級では、服装に関して窮屈なマナーがあり、例えば夕食時には必ず燕尾服着用がルールでした。
さらに食事時の話題も制限され、強い酒やタバコも禁止ということでリラックスできなかったと言われています。
そのような中、食事後はラウンジルームに移って男だけで談笑するのですが、その間だけはもっと楽な格好をしたいということで新しいデザインの服が開発されました。
それが、身体を締め付けず、燕尾服のようなテールのない、現在のジャケット様デザインの上着でした。
この上着の着心地がよいことから次第にラウンジから外に出て行き、世の中全体のスーツの主流となっていきました。
興味深い記事が1897年の「テイラー・アンド・カッター」誌5月20日号に記載さています。
ロンドンの街角に立って、男性の通行人の上着を調査した結果です。
ラウンジジャケット:530人
モーニングコート:320人
フロックコート:150人
ロンドンでは、19世紀末にすでに半分以上がラウンジジャケットを着ていたということです。
スーツの普及(20世紀以降)
1930年代
20世紀に入って以降は、日本を含め世界中にスーツが普及していきますが、大きなデザインの変化はありません。
各メーカーが競って着心地よく時代のトレンドに合わせたスーツを提供してきています。
ただ、その中でも「クラッシック」なものを好まれる方も多くいらっしゃり、1900年代初頭のデザインに近いものが現代でも流通しているのはご存知の通りです。
まとめ
中世の服装から現在のスーツに至るまでのスーツの歴史についてまとめました。
スーツの歴史はおよそ200年であり、燕尾服のようなものから次第に実用性を重んじるようになって今の形に変化してきました。
この歴史を見てみると、2つの大きな変化があることがわかります。
第1は、17世紀に始まった「衣服改革宣言」に基づく服装が18世紀末のフランス革命後に変化し、男性の服装が半ズボンから長ズボンに変わったことです。
第2は、19世紀後半のラウンジスーツ前後でテールを持った上着からテールのない上着に変化したことです。
そして、これらの変化はおよそ100年毎に起こっています。
では、それからおよそ100年経った今はどうでしょうか。
今のところ私達の回りで大きな変化は感じられません。
しかしながら、タイミング的にはそろそろ何か変化が始まっていてもおかしくはないと思います。
ひょっとすると、私たちの知らないファッションの最先端では、何か新たな企画が進行しているのかも知れません。
こんなことを想像しながらスーツの歴史を会話のネタに加えると、知識だけでない広がりも出て、
より知的な会話を楽しめるかも知れませんね。