電車で座った対面に他の乗客がいるとき、あなたはどこを見ますか?
スマホや読書に疲れて顔を上げたとき、真正面の顔より足元に目が行くのは自然な目線の流れだと思います。
あなたの対面に座られている方にとっても同じ事です。
あなたの足元に目線が注がれます。
その時、あなたは足元に自信がありますか?
特にスーツでビシッと決めているとき、足元もスキなく配慮していますか?
スーツやシャツ、靴までは気を配っても靴下までは気がまわらず、知らないうちに恥をかいているかも知れません。
靴下は立っているときにはほとんど隠れています。
ですが、座ったり、靴を脱いだりする際にはかなり目立つ存在となります。
最後の詰めを甘くして恥をかかないため、スーツに合う靴下の選び方を知っておいていただきたいと思います。
靴下の位置づけ
1780年
ご存知の通り、スーツは欧州が発祥の地です。
欧州ではスーツと靴下と靴とは一体として考えられ、これらがまとまって一つのスタイルを形作るという考え方が根付いています。
といいますのも、中世欧州の上流階級では半ズボンが主流でしたので、足のオシャレには、ズボンと靴下と靴とが同じくらいの重要さで扱われていたからです。
翻って日本では、そのような文化は形成されませんでした。
したがって、日本人は靴下を重要なものと考える習慣ができていません。
ですから、スーツと靴下と靴とを一体として考えるべきスーツ文化の導入時に靴下が置いてきぼりになり、ついつい扱いが疎かになったのではないかと考えられます。
しかしながら、スーツ文化を導入する限り、やはり欧州と同じく靴下もスーツファッションの一環としてとらえ、一体感ある装いをする必要があると思います。
靴下の選び方
素材
スーツにあう素材は、夏は綿か麻混、冬はウールが基本です。
綿とはいってもスポーツソックスのように厚地のものは好ましくありません。
透けて見えない程度の薄地のものがスーツには良く合います。
たまに肌まで透けて見えるほど薄い靴下を履かれる方がいらっしゃいますが、すね毛が肌に張り付いて目だって見えますので、おやめ下さい。
見ていて気持ちが良くないものは避けるのがマナーだと思います。
色
まず、白は絶対におやめ下さい。
全身真っ白のスーツと靴で決められるなら話は変わると思いますが、一般的デザインのスーツであれば全く合いません。
お葬式に白ネクタイをしていく位、スーツの着こなしの分野ではありえない選択です。
スーツに合わせる靴下は、原則として無地で柄の目立たないものが好まれます。
基本はスーツに溶け込むような色合とします。
したがって、色の選択は、スーツの色と同じか、スーツの色と靴の色の中間色とするのが無難な選択となります。
どうしても靴下でオシャレをしたい方は、結婚式の二次会等おめでたい席で華やかさを歓迎される場合に限れば問題ないと思います。
長さ
足を組んだときに地肌が見えない長さのものを履いてください。
くるぶしから上の長さが15cmほどある靴下を履かれると良いと思います。
最近は、従来の「ソックス」や「ハイソックス」より長い「(ロング)ホーズ」と呼ばれるものが販売されています。
これは、ソックスの2倍ほどの長さがあり、ふくらはぎをカバーするのでずり落ちることもなく、スマートな装いを維持することができます。
ホーズを履くことのもうひとつの利点として、汗が直接スーツに付着せず、スーツを保護する役割もあります。
まとめ
靴下の位置づけの考え方と、スーツに合う靴下の選び方についてご紹介しました。
靴下は、自分ではあまり気付かない部分ですが、他人の目からは結構目立つ部分だと思います。
スーツは、ジャケットとパンツだけで構成されるのではなく、それに靴下と靴を加えて完成するものだとお考えいただければ、自然に靴下にも気を配ることとなるでしょう。
基本は、目立たず、他人に不快な思いをさせないことです。
スーツに合わせた色合とし、地肌やすね毛が見えない長さであって、やや薄手の生地のものを履いて頂ければ、恥をかくことはありません。