オーダーのタキシードと既製品のタキシード、どう違うかご存知ですか?
タキシードは出番が少ないから、既製品でいいだろうとお考えの方も多いはず。
しかし、ビジネスもグローバル化の時代、これからはビジネス関係のセレモニーなどで「ブラックタイ」着用の機会も増えてくると思われます。
その際には堂々と、自分の体型に合ったタキシードを着ていきたいもの。
肩が落ちていたりズボンが太すぎたりすると、まるで「貸衣装です」と言わんばかりの姿を晒してしまうことにもなりかねません。
グローバル社会で活躍するビジネスパーソンなら、最低でも一着は、自分の身体にフィットしたスタンダードなタキシードを持っていたいですね。
今回は、既製品タキシードとオーダータキシードを徹底比較し、どう違うのか、なぜオーダーはいいのかをお伝えします。
これからタキシードが必要でしたら、是非参考になさってください。
既製品のタキシードは万人向け
タキシードと言うと、結婚式の花婿さんなどを思い浮かべる人が多いと思います。
タキシードは元々海外の礼服で、日本の冠婚葬祭の正装・礼服は、日本独自のもの。
日本のいわゆる「ブラックフォーマル」は、海外のゲストも出席するような場では通用しないのが普通です。
一般の人がタキシードを着る機会は、自分の結婚式か自分の子どもの結婚式、または二次会用のカジュアルなタキシードくらいでしょう。
そう、タキシードは一生のうち、何度も着るものではないという認識が一般的です。
そのため、既製品のタキシードは、若い人から高齢の人までが着ることのできる、いわば万人向けスタイルになっています。
既製品のタキシードは肩周りが大きい
既製品のタキシードは、肩周りがゆったりできています。
具体的にはアームホール、身頃と袖の継ぎ目となる部分です。
アームホールが大きいと、細めの人は脇の下に生地が余ってしまうため、脇の下や背中に、余計な縦ジワが出来てしまいます。
既製品のタキシードは肩パッドが厚い
既製品は流行に影響されないせいか、肩パッドが厚めのものが多いです。
肩を大きくしてかっちりさせ、男らしく見せるのが目的かもしれませんが、下手をすると肩が落ちたり、服の中で身体が泳いだりしてしまいます。
既製品のタキシードはパンツが太め
ウエストから下の部分は、年齢によって体型が変化することが多いですね。
既製品のパンツは様々な年齢層を考慮しているため、万人向けに作られています。
そのため、おしりから腿にかけてのラインがゆったりしているものが多く、全体的に足が太く短く見え、だらしのないシルエットになりがちです。
既製品のタキシードはウエスト部分が太い
パンツと同じで体形の変化への対応から、ジャケットのウエスト部分もほとんど絞っていないものが多いので、BOX型のシルエットです。
そのため若々しさに乏しく、お腹が出ているようにも見えます。
既製品のタキシードは肩の反りが調節できない
猫背の人、背中が反っている人、肩の位置は人それぞれです。
そのためどんな肩の位置にも対応できるように作られた、アームホールの大きな既製品では、袖の背中側にしわができてしまい、腕全体も丸みを帯びたようになり、腕が太く見えます。
既製品のタキシードは選択肢が狭い
既製品のタキシードは、色々な場で使用することが想定されているため、無難なものが多く、好みの生地を選んだり、好みのボタンにしたりすることができません。
紳士服の量販店で、冠婚葬祭用のスーツを見たことのある人はご存知だと思いますが、タキシードもわずか数種類の中から選ぶことになります。
だけど既製品はこんなメリットも
既製品のデメリットについて、散々お伝えしましたが、既製品ならではの良い面ももちろんあります。
それは、なんといっても価格が安いということと、購入したらすぐに受け取れるという点です。
オーダーは自分の身体にフィットするように色々カスタマイズするため、どうしても割高になってしまいます。
また、採寸してから裁断・縫製・仮縫いなど、いくつもの工程があるため、最低でも完成までに1ヶ月以上はかかります。
その点既製品は、売り場で気に入った物を数万円で購入でき、購入したその時から着用することが出来ます。
タキシードが急に必要になった場合などは、百貨店や紳士服店などで購入できるのが、大きな利点です。
オーダータキシードの魅力
オーダータキシードの最大の魅力は、その人の体のクセや丈に合わせて作るため、体にジャストフィットし、基本的に余計なシワができないことです。
その上“もたつき”や動きづらさも解消されます。
オーダータキシードは、全体のシルエットを考慮しながらバランスを取っていくため、着た時にスッキリとスマートに見えるフォームに仕上がります。
オーダースーツを作ったことのある人なら、すぐにご理解いただけると思いますが、自分の体型にジャストフィットした洋服は、とても着心地が良く、疲れることがありません。
タキシードは堅苦しいイメージがありますが、オーダーのタキシードなら自然な着心地で必要以上に体に力が入らないため、余計な緊張感から解放されます。
また、タキシードを着用するような場では、パートナーをエスコートすることもあるでしょう。
考えてもみてください。
女性がしっかりと華やかに着飾っている隣で、スマートにタキシードを着こなしてエスコートしている自分の姿を。
これが、オーダーでなく既製服のタキシードで、肩が落ちて脇下には変なシワが沢山でき、ズボンはダボダボ・・・それではせっかく美しく着飾ったパートナーの魅力も半減してしまいます。
また、見るからに自分の体に合っていないタキシードを着て行っては、やっつけ感がにじみ出てしまい、招待してくれたホストに対しても、失礼に当たるかもしれません。
ここはやはり、ご招待いただいて嬉しい、楽しんでいますという雰囲気を表現したいところです。
そのためには形だけのブラックタイではなく、ピシッと体にジャストフィットしたタキシードで決めたいものですね。
オーダータキシードのもう1つの魅力は、生地やデザイン、オプションが選べるということ。
オーダーメイドは自分の身体のサイズを測り、生地やディテールを選択するという一連の工程があります。
その過程の中で、自分の好みを反映させたり、目的やシーンに合わせて作ったりすることが可能です。
オーダータキシードのデメリット
オーダータキシードの最大のデメリットは、出来上がりまでに時間がかかることです。
これはタキシードだけでなく、オーダー服全般に言えるデメリットです。
オーダーで作ると、工程がさまざまあり、自分の納得のいく1着が出来上がるまでに、少なくとも1ヶ月~3か月はかかります。
また、世界にひとつだけの1着を作るので、価格もそれなりになります。
イージーオーダーでも10万円程度から、フルオーダーでは15万円程度かかります。
著しく体型が変わった場合、せっかく高額で作ったタキシードが着られなくなる可能性も出てきます。
既製品とタキシード、どちらもメリット、デメリットがありますので、どこに主眼を置いて考えるかが、購入の基準になります。
そもそもタキシードとは
ところで、タキシードはどうして着るようになったか、ご存知ですか?
ここではちょっとした豆知識として、タキシードの歴史をご紹介します。
パーティーでのちょっとした小ネタや、バーで素敵な女性と遭遇した時のつかみにも使えますよ。
元はくつろぎ着だったタキシード
欧米でタキシードといえば、夜の礼服のこと。
しかし、元々は、英国紳士が部屋でくつろいでタバコを吸うための洋服で、「ラ・スモーキング」と呼ばれ、1870年初めに流行ったウェアでした。
ラ・スモーキングは燕尾服の裾をカットし、幅広のショールカラーと折り返しの袖が特徴のジャケットで、襟と袖はキルティングの拝絹で出来ていました。
やがて、ドイツやフランスの上流階級の人々の間で、カジノでこれを着ることが流行り、「ラ・スモーキング」の名称で親しまれるようになりました。
1876年、イギリス皇太子、エドワード7世がラ・スモーキングをいたく気に入り、イギリスの高級リゾート地ワイズ島カウズに持ち込みました。
これを元にディナー・ジャケットを考案し、パーティーなどで着用、ついには夜間の礼服として公認されるようになりました。
タキシード事件勃発!
1886年、アメリカ・ニューヨーク州のタキシード・パークで、第一回タキシード・クラブが開催されました。
タキシード・クラブとは、アメリカのタバコ王、ピエール・ロリラード4世が主催する、上流階級の社交会のことです。
全員が燕尾服姿の中、息子のグリズウォールド・ロリラードは、真っ赤なラ・スモーキングジャケットを着用して出席しました。
グリズウォールドが夏にヨーロッパを訪れた時に見た、流行のスタイルを取り入れたのを、周囲のアメリカ人たちが「間違って着替え忘れた」と勘違いしたという説もあるようです。
これをタキシード事件と言い、後にその斬新な姿が話題となり、アメリカで流行しました。
若者のトレンド、タキシード
1890年代、タキシード事件を受けて、ニューヨークを中心に、若者の間で色とりどりのスモーキングジャケットと、燕尾服のズボンを組み合わせたファッションが流行しました。
この頃から、アメリカでは「タキシード」という名称が定着しました。
礼服としての登場
1920年代には、タキシードは夜の正礼服・燕尾服に次ぐ礼服として認知されるようになりました。
そのころから黒い蝶ネクタイと黒のカマーバンドまたはカマーベストが用いられるようになり、ブラックタイと呼ばれるようになります。
また、ショールカラーだけだったジャケットに、燕尾服のようなピークラペルが加わりました。
ダブルジャケットが登場したのもこの頃です。
タキシードの名前の由来
タキシード事件でご紹介したように、タキシードの名は「タキシード・パーク」から取られたものです。
「タキシード」そのものは、アルゴンキン・インディアン族の「タクシット(Tuxsit)」から派生したもので、「丸い足を持つ動物」、オオカミやクマを表す言葉とのこと。
因みに現在タキシード・パークは、ニューヨーク州にあるオレンジ郡の小さな町で、2000年の調査では人口約730人。
今でもスキーセンターなどがある観光地として有名です。
昔も自然豊かな土地だったことが容易に想像できますね。
世界の常識、タキシード=蝶ネクタイ
日本でも海外でも、昔は階級や地位などを表すため、正装が厳しく求められていました。
現在の正装は、T.P.O.を重視し、場に相応しいことが求められます。
セレモニーやパーティーなど、その場に相応しい正装、礼装は、その場を楽しむうえで必須です。
もし場違いな礼装をして参加してしまうと、自分が気後れしてしまうばかりでなく、招待してくれたホストにも恥をかかせてしまいます。
グローバル・スタンダードの礼装を知り、堂々とパーティーに臨みましょう。
海外では、タキシードでなくても蝶ネクタイをすると礼服とみなしてくれるということをご存知ですか?
日本人は、タキシードというと夜のフォーマルを思い浮かべますが、欧米諸国などでは、フォーマル=タキシード=蝶ネクタイと連想します。
つまり、蝶ネクタイはフォーマルの象徴なので、蝶ネクタイをつけていれば、たとえブレザーやビジネススーツ、カジュアル、もちろんブラックフォーマルでも礼服と見てくれるそう。
普通ホワイトタイ(白蝶タイ)といえば燕尾服、ブラックタイ(黒蝶タイ)といえばタキシードで、蝶タイが礼服には欠かせませんが、昼間のパーティーやビジネス関連のパーティーでは、ブラックスーツに白ネクタイの略式礼装よりも、スーツに蝶ネクタイの方が、よほど礼にかなった装いとのこと。
ビジネスパーソンなら、蝶ネクタイの一つや二つは用意しておきたいものです。
こんなにお得にできるの?オーダータキシード厳選お薦め店【東京篇】
ここでは、東京でオーダーメイドのタキシードを、お得に作れるお店を2つ、厳選してご紹介します。
ノーブレック
東京駅、銀座、新宿に店舗を構えるメンズオーダーフォーマルスーツ専門店、「ノーブレック」。
結婚式の新郎用タキシードのオーダーメイド店が多い中で、ビジネスパーソン向けの一流タキシードがオーダーメイド出来るお店です。
また、店内でネクタイやワイシャツ、ポケットチーフやカマーバンドなど、必須の小物も選べるので大変便利です。
ノーブレックは2011年、イタリア・ローマで開催された、マスターテーラー世界大会に、メンズオーダースーツ部門の日本代表として出品しました。
マスターテーラー世界大会とは、1910年より全世界の実力あるテーラーが、技を披露する場として開催される、歴史ある大会です。
マスターテーラー世界大会に出品できるのは、過去に各種大臣賞を受賞した技術者、もしくは国際紳士服業者連盟のデザイナー認定試験に合格した者だけです。
その誇り高い大会に日本代表として出品したことにより、日本最高峰の技術店ということを証明しました。
ノーブレックは、T.P.O.に合わせるだけでなく、格好いいフォーマルにこだわり、「格好良く見えるシルエットに仕立てる技術」を採用しています。
仮縫い付きのお仕立て(オプション)は、採寸個所が約30箇所。
採寸の多さが顧客の体型をより把握し、ジャストフィットにプラス格好良さを添えるシルエットラインを見出し、着た人の自信ある立ち居振る舞いを可能にします。
価格:フォーマルタキシード(ジャケット、パンツ) 125,000円
THE GENTS TOKYO
東京・青山にあるオーダーメイドウェディングウェア&タキシードのお店。
”古き良き時代の伝統と新しい時代のマインドをまとったニューラグジュアリー”をコンセプトとするThe GEN’Sでは、クラシック&エレガントなタキシードをオーダーメイドで作れます。
また、ルールを大切にしながらも、常識にとらわれない自由な発想のタキシードも提案しています。
伝統的なモダンジェントルマンスタイルでありながら、チャーミングなタキシードラインの「アステア」は、ウェディングだけでなく、カジュアルな着こなしを楽しみながら蝶タイでフォーマルも押さえたい人にピッタリのモデルです。
オーダータキシード専門のフィッターが、身体の役30箇所を採寸し、一人一人の体に合ったサイズに仕上げます。
生地はイタリア、イギリスなど、世界の名門生地が、一律の価格で選択でき、ボタンは定番のクルミボタンからカジュアルな水牛ボタンまで、自由に選べます。
縫製は伊勢丹や阪急などの大手デパートが使用している国内の熟練工場で行われるため、最高級品質の仕上がりです。
価格:129,000円
まとめ
オーダータキシードと既製品のタキシードについてお伝えしてきましたが、いかがでしたか?
前半ではオーダータキシードと既製品タキシードの違い、後半ではタキシードの歴史や、東京でお勧めのオーダータキシード店をご紹介しました。
既製品は広範囲の年齢層が着ることを考えて作られているため、肩周りやパンツがどうしても大きめに作られています。
そのため余計なシワができたり、太って見えたり足が太く短く見えてしまったり。
しかも、無難なスタイルが重視されているため、数種類の中からしか選べず、生地やディテールは選択できません。
その点オーダーメイドなら、自分の身体を採寸して作るため、自分の身体にジャストフィットし、着心地はもちろんスタイルよく着こなせるタキシードが作れます。
デザインやディテールも、もちろん自由自在。
日本では、ブラックタイ=タキシードが常識ですが、欧米諸国をはじめ世界では、蝶ネクタイ=タキシード。
カジュアルスーツやビジネススーツでも、蝶ネクタイをしていれば礼装とみなされます。
グローバル社会で活躍するビジネスパーソンなら、オーダーのタキシードを持っていればベストですが、急なパーティーにも慌てないよう、出張の折りにはトランクの中に蝶ネクタイを2、3入れておくと完璧ですね。
これを機に、オーダータキシードを一着作っておいてはいかがでしょうか?