スーツ業界は今、革命期の真っ只中。
スーツショップや百貨店はもちろんのこと、大手スーパーまでスーツを売り出しており、品質を問わなければいくらでも安いものが手に入ります。
しかし。
オーダースーツについて調べているあなたが求めているのは、使い捨ての安いスーツではなく、自分だけの、高品質で、手触りがよく、着心地の良い、極上のスーツのはず。
であればオーダースーツで大正解です。
ただ、オーダースーツには種類がいくつかあり、どのオーダー方法を選ぶか、どのブランドの生地を選ぶかによって、仕上がりの質も金額も変わってきます。
この記事を読めば、オーダースーツの種類と、自分が求める仕上がりにはどのブランドの生地を選べば良いかが分かり、お店に行っても話がスムーズに進んで、きっと店員さんに「この人は詳しいな」と思われます。
この記事を読んでおけば、店員さんの説明も頭に入りやすくなり、より良いスーツの仕上がりに繋がりますので、是非最後まで読んでみてください。
オーダースーツの肝は生地のブランド選び
オーダー方法が決まったら、次に決めたいのが生地のブランド。
フルオーダーでも、見当違いな生地を選んでしまうと、イメージとかけ離れたスーツに仕上がってしまいます。
ブランドによって価格帯が異なるのはもちろん、ツヤ、耐久性、柔らかさ、重さに違いがあるので、吟味して選んで頂ければと思います。
尚、本記事で紹介する4つのブランドはいずれもイタリア製で、どれもお勧めのブランドです。
また、イメージが掴みやすいよう、コストパフォーマンス重視のブランドと、高級志向のブランドに分けて紹介するので、自分のイメージに近いものが見つかれば幸いです。
コストパフォーマンス重視~一流ブランドをお手頃価格で~
コストパフォーマンス重視で紹介する2つのブランドは「カノニコ」と「レダ」。
両社とも自社で紡績・製織・仕上げを行う一貫生産体制で、高品質且つリーズナブルな価格での製品供給を得意とします。
「イタリアンブランドを着てみたいけど高くて手が出ない・・・」そんな人には是非、手に取って頂きたいお勧めしたい2つの生地です。
カノニコ
創業から350年の歴史を持つ、老舗中の老舗です。
イタリアのビエラに本拠地を置き、近年はコンピューターによる生産管理システムを導入。
糸の生産管理から保管、色の管理、梱包、あらゆる行程をコンピューター制御することにより、品質を担保し、無駄を省き、コストの低減に努めています。
そんなカノニコは世界的にも評価が高く、アルマーニ、バーバリー、ポールスミス、ヒューゴボス、ラルフローレン、と有名アパレルブランドの製品に生地が採用されています。
実は日本でも、ユナイテッドアローズ、ビームス、アーバンリサーチといったアパレルブランドの製品に生地が使われており、このことから如何に生地の品質と、リーズナブルな価格設定が両立されているか、分かって頂けるのではないでしょうか。
そしてカノニコの生地の特徴ですが「光沢感」、「しなやかさ」、「耐久性」といった点で高く評価されています。
レダ
レダは1865年創業の生地メーカーで、約150年の歴史を持っています。
カノニコと同じくイタリアのビエラに本拠地を置きつつ、ニュージーランドに3万ヘクタールの牧場を持ち、そこで飼育している羊から選出した羊毛を使用しています。
また使用する羊毛については、取れた時期、取れた羊といった情報を管理し、いつでも基を辿れるシステムを導入することにより、製品ごとに品質の差が出ないよう、管理を徹底しています。
工場では他のメーカーに先駆けて高速織機を導入して生産性の向上を図ったり、生産ラインの見直しを定期的に行ったり、品質の担保と同時にコスト面の効率化にも努力を怠りません。
レダは世界的に評価が高く、アルマーニ、ブルックスブラザーズ、ラルフローレン、ヒューゴボス。
日本ではグリーンラベルリラクシング、TAKEO KIKUCHIと言った国内外のアパレルブランドに採用されています。
カノニコ同様に品質の高さと、リーズナブルさが両立しているからこそ、こういったブランドに採用されていると言えるでしょう。
特徴としては、軽く、柔らかく、弾力性・耐久性に富んでおり、着心地の良さが評判です。
高級志向~絶品を目指すなら~
「イタリアの生地ブランドトップ2」としばし呼ばれるゼニアとロロピアーナ。
これらの生地を使用したスーツは数十万円の価格設定で、まさに一流のスーツです。
政治家、実業家、ハリウッド俳優、一流スポーツ選手といったセレブリティにも愛用者が多く、高級紳士服の代名詞とも言えるのではないでしょうか。
また両社とも素材であるウールの品質に拘っており、オーストラリアやニュージーランドから厳選して取り寄せたウールを使用しています。
それでは両社について説明しましょう。
ゼニア
正式名称は「エルメネジルド・ゼニア」。
創業は1910年、イタリアのトリヴェロにて。
創業者のエルメネジルド・ゼニア氏は「世界で最も美しいファブリックを作る」をモットーに、ニュージーランドとオーストラリアから最高級の繊維を買い付けました。
そして自社工場で生地を生産し、イタリアはもちろん国外へも販路を広げていった結果、当時世界のシェアの大半を占めていた英国産の生地を抜き、その名が世界に知れ渡るようになったのです。
現在でも素材のウールの品質チェックは厳しく、まず羊の脇と肩の部分しか使用されません。
そして長さ、色、密度、強度などを精査し、基準を満たしたものだけを使用されます。
それは同時に、基準に達しなかったものは処分されることを意味し、コストが掛かってしまう贅沢な生産体制ですが、それでも品質を優先し、最高級の生地を世に提供することにより支持を得ています。
ロロピアーナ
正式名称は「ピエトロ・ロロ・ピアーナ」。
創業は1924年、イタリアのヴァルセシアにて。
創業当初から高級ウーツを武器に、世界規模の生地メーカーへと成長していきました。
ロロピアーナの興味深い点は、1980年代から自社のアパレルブランドを立ち上げ、ニューヨーク、ミラノ、ヴェネチアへと直営店をオープンし、ここ日本にも北海道、東京、愛知、大阪、兵庫、広島と展開しています。
またアパレルだけでなく、インテリア界にも進出し、ソファーや椅子といった家具はもちろん、飛行機内のインテリアのラインナップも。
尚、現在、航空宇宙産業用の国際認証を取得中とのことで、今後は更なる展開が期待できそうです。
しかし、だからと言って本業の生地業が疎かになっている訳ではありません。
その証拠に高品質な羊毛の仕入れは大優先しており、一般的に1kgあたり数百円で取引されるSuper230’sランクを、22万円で買い占めたというエピソードがある程。
厳選された素材を用いて作られる生地ですが、その中でもロロピアーナの名を一気に世界に広めたレーベルが「タスマニアン」。
オーストラリア産のウールを使用しており、蒸発性、断熱性、耐久性、軽さに優れた生地で、着心地を良いと高評価を得ています。
知っておきたいオーダースーツと既成スーツの違い
既製スーツは文字通り、出来上がった状態で売られているスーツですが、店舗での裾直し等の処理はほとんど当日中に終わるので、買った次の日から着られますし、価格も安い傾向にあります。
既製スーツが出来上がるまでの流れとしては、デザインから縫製まで専門業者が行い、工場で大量生産することにより、原価が抑えられ、店舗でも安い値段で売ることが可能になる、という仕組みです。
一方でオーダースーツについてですが、特注品のため、自分の体にピッタリのサイズに仕上がり、色や生地も自分で選べるので、自分だけの特別なスーツを作る事ができます。
その反面、出来上がるまでに時間がかかり、価格も既製スーツより高くなってしまいます。
人によっては毎日スーツを着用するため、質よりも数を揃えなければいけない、と言う人もいるかもしれません。
ですが大人たるもの、大事な商談でお客様と会ったり、部下をまとめたりする立場で、身なりはきちっとしておきたいもの。
着るスーツ全てを特注、というのは難しいかもしれませんが、夏と冬で1着ずつ、ここぞ、という日のためにオーダースーツを持っておくのも良いのではないでしょうか。
オーダーの方法は3種類
オーダースーツには大きく分けて3つの種類があります。
既製スーツをベースにするため最も安価にオーダーできる「パターンオーダー」、既製の型紙を利用することによりコストを抑えつつカスタム度もある「イージーオーダー」、生地のブランドからボタン一つ一つの種類まで選べる最上級の「フルオーダー」。
生地のブランドについては後程説明しますが、まずはどのオーダー方法にするか考えてみましょう。
パターンオーダー
既製スーツの中から好みの物を選び、裾直しだけでなく、袖丈や身丈まで調整して、より自分にフィットしたスーツに仕上げる、と言う流れのオーダー方法。
メリットは安さと納期の早さで、既製スーツのメリットを活かしながらも、既製スーツでは対応できないレベルでの微調整が可能となり、スーツの数を多めに用意したい人にお勧めのオーダー方法と言えるでしょう。
一方で、パターンオーダーは既製スーツがベースであるため、注文者の体に合わせてデザインされておらず、他のオーダー方法に比べるとフィット感が劣ってしまうのが玉に瑕。
イージーオーダー
イージーオーダーは、スーツの設計図である「型紙」の段階から微調整することができます。
型紙自体は既成のものとなりますが、パターンオーダーよりもより注文者の体形に合わせたデザインに仕上げられるので、パターンオーダー以上に良いフィット感が得られます。
金額はパターンオーダーよりも上がり、納期もそれなりに掛かりますが、フルオーダーに比べればリーズナブルなので、初めてオーダースーツを作る人に人気のオーダー方法です。
フルオーダー
フルオーダーは無の状態から全て特注するオーダー方法です。
まず注文者の寸法を測り、型紙を作り、裁断・縫製などの工程は機械を使わず、全て手作業で行われます。
ボタン、ポケットの生地、チャックの種類、ありとあらゆるディテールを指定することができ、「世界に一つだけ」のスーツを作る事ができます。
そういったメリットがある一方で、3種類の中で最も納期と費用が掛かります。
どこで購入するか?
オーダーの種類と、オススメの生地のブランドについて紹介してきましたが、最後にどこで購入するか?という点についてお話しようと思います。
現状日本では主に6つの選択肢があるのですが、一つずつ紹介していきます。
百貨店
三越、高島屋、西武、そごう、伊勢丹といった、「デパート」とも呼ばれるお店。
客層は比較的年齢層が高く、長年の信頼、安心感が魅力です。
ゼニアやロロピアーナといったブランドについても、直営店が入っていることが多く、事前にチェックしておけば高い確率で見つける事ができるでしょう。
また、各種類のオーダースーツに対応している店舗も多く、安心できる選択肢と言えるのではないでしょうか。
大手スーパー
イオン、西友、イトーヨーカドーといったスーパーでも紳士服売り場でスーツが売られています。
特にイオンはどのスーパーよりも先に「1万円スーツ」を売り出し、話題になりました。
オーダースーツの販売は行っておらず、本記事で紹介したイタリアンブランドの扱いもありませんが、「スーツ=仕事着」と割り切って、着心地や見た目といった付加価値を求めないのであれば、良い選択肢かもしれません。
セレクトショップ
Beams, United Arrowといったセレクトショップではカノニコとレダのスーツが時々見かけられます。
常時ある訳ではないのですが、定期的にお店を訪れたり、店員さんと情報交換ができれば入荷の時期なども教えてくれるでしょう。
また、TomorrowlandやEdificeはセレクトショップとしては高めの価格設定で、ゼニアやロロピアーノのスーツが扱われています。
日本人の体型を熟知した上でのラインアップが定評で、スーツのシルエットも流行且つ日本人に似合うスタイルの物が多いようです。
尚、ショップによってそれぞれパターンオーダー、イージーオーダーに対応しており、チェックする価値ありです。
スーツ量販店
青山、AOKI、コナカ、はるやま、といったスーツショップ。
いずれも全国展開のスーツ専門店ということで、各店舗独自の機能性をアピールしつつ、信頼性が高く安心なのがポイントですね。
「洗濯機で丸洗い」、「シャワークリーンスーツ」など、クリーニングに出さなくても自宅で洗えるスーツというのが近年の売りのようです。
尚、本記事で紹介しているイタリアンブランドについては、何度か足を運んでチェックしていますが、目にしたことはありません。
ツープライスショップ
“The Super Suits Store”, “The Suit Company”, “Orihica”, “スーツセレクト”、”P.S.FA”と言った都市部を中心に店舗展開しているスーツショップ。
元々は全ての商品が2つの価格帯のみで売られていることから「ツープライスショップ」という名がつきましたが、今では3つの価格帯を用意しているところが多いのが実情です。
安い価格帯で、流行のデザインの商品を扱う事により、20代〜30代の若いビジネスマンを取り入れる事に成功しているようです。
また、数は少ないのですが、レダやカノニコの生地を使ったスーツもしばし扱われていて、掘り出し物を見つける楽しさもあります。
またパターンオーダーを受け付けているショップもあり、安価に気軽にオーダースーツを作れる選択肢と言えるでしょう。
オーダースーツ専門店
有名どころとしてチェーン展開しているお店を挙げると”Sada”, “Global Style”, “麻布テーラー”、”Dankan”, “Hanabishi”など。
オーダーの種類としてはパターンオーダーやイージーオーダーの類いですが、例えばSadaはコンピューターを使用して型紙を作り、機械で仕上げることにより「マシーンメイドのフルオーダー」と謳っており、個性のあるオーダースーツと言えるかもしれません。
尚、イタリアンブランドの生地の扱っている店舗は多く、本生地で紹介した生地もオーダーする事が可能です。
まとめ
「【お勧めブランド4選】オーダースーツのブランドならこの四つ」と題し、オススメの生地ブランドにはじまり、オーダースーツと既成スーツの違い、オーダーの種類、購入できるお店と紹介しました。
生地のブランドについてはコストパフォーマンス重視と、品質重視で分けて二つずつ紹介したのですが
・カノニコ
・レダ
・レダ
はコストパフォーマンス重視、
・ゼニア
・ロロピアーナ
・ロロピアーナ
は品質重視。
カノニコとレダはコストパフォーマンス重視ということで、金額に目がいってしまいがちですが、両ブランドとも100年以上の歴史を持つイタリアのブランドで、品質も世界中から高い評価を得ています。
一方でゼニアとロロピアーナは、原材料の仕入れにそれぞれの基準を設けており、その基準を満たしたものしか使用されません。
そのためコストが膨れてしまうのですが、それでも品質を重視しており、だからこそハリウッドのセレブや、政治家、実業家、一流スポーツ選手などにも愛用される品質を実現できているのでしょう。
また、オーダースーツは敷居が高いかもしれませんが、本記事で紹介しているお店は全てチェーン店で全国展開していますし、ショッピングモールに入っているお店も多いので、休みの日にフラっと立ち寄って店員さんに話を聞いてみても良いかもせん。