質問ですが、あなたは今、どんなベルトを使っていますか?
もしかして、そんなに誰からも見られないと思い、何年も前に買って、ボロボロになったベルトを使い続けていませんか?
ジャケパンなど紳士服のコーディネートはジャケットやパンツ、靴など、目に入りやすい物が優先的に投資の対象とされがちです。
確かにベルトはコーディネートの中では見えにくく、限られた予算の中でお金の使い道を考えたら、目に入りやすいグッズを優先する人が多いのは当然かもしれません。
ベルトのような小物にもこだわりを持ち、お金を使えるか否か。
もしかすると、これが本当にカッコいい大人の男と、そうではない男の分かれ道かもしれません。
あなたはどちらになりたいですか?
ということで今回はジャケパンにおける小物のエース格「ベルト」についてお話させてください。
なぜベルトをつけるのか?
そもそもなぜ我々はベルトを使うのでしょうか?
これは後々大切になってくるテーマなので、考えてみましょう。
まず一つ目は「ズボンの固定」。
ベルトを使うと着用中にズボンが落ちてこないよう、固定することができます。
ベルトの他にサスペンダーも同じ役割でしばし使われることも皆さんご存知でしょう。
「ズボンが落ちないように」という用途の他にも、「ズボンだけで止まる位置よりも高い位置でズボンを固定できる」という利点もあります。
しかしジャケパンにおけるズボンのサイズ選びはジャストサイズが基本。
腰周りの生地にシワが寄ってしまってシルエットが乱れるので、ベルトが必要となるサイズ選びはNGです。
二つ目は道具の取り付け。
ジャケパンスタイルにおいてこの意味合いは少ないかもしれませんが、現代においても警察官がベルトに拳銃を取り付けていたり、鳶職人がベルトに工具や命綱を取り付けていたりします。
また、ストリートファッションにおいては、鍵やウォーレットチェーンをベルトに取り付けることもあり、こういった道具や小物を取り付けることもベルトの用途の一つと言えるでしょう。
・「ズボンの固定」
・「道具の取り付け」
・「道具の取り付け」
以上二つはジャケパンにおいてはあまり重用視されない、という話の流れになっていますが、次こそがジャケパンにおけるベルトの重要点。
それは「装飾」。
もし今スーツを着ていたり、ジャケパンを着ていたりしたら、ベルトを抜いて鏡の前に立ってみてください。
何か物足りない気がしませんか?
というのも、スーツやジャケパンにはあるカラクリが秘められていて、首、腕、脚など各パーツの端に実は、装飾アイテムが配置されています。
例えば首には、シャツの襟やネクタイ。
腕にはジャケットの袖から出るシャツの袖や時計。
ズボンの足には靴。
そして足とは反対側のズボンの端である腰部分、ここにベルトが位置しているのです。
また、上半身と下半身の境目となるので、視覚上はベルトの位置で脚の長さが決まり、スタイルの印象を左右します。
ですので、ベルトを使う理由は「装飾」の意味合いが大きく、これを踏まえた上でベルトを選んでいきましょう。
ジャケパンにはこの3色があれば大丈夫
ファッションにおけるセオリーでよく言われるのが、ベルトと靴の色をマッチさせること。
黒色の靴の場合、黒のベルトを合わせるのは分かりやすいのですが、茶色は濃い茶色から薄い茶色まであります。
そのためもし可能であれば
・黒
・茶色
・焦げ茶色
・茶色
・焦げ茶色
の3色があれば理想的です。
また紺や灰色といった色の靴の場合ですが、黒色のベルトでコーディネートは問題ないので、必ずしも同じ色で合わせる必要はなく、同色系であればベルトの色が浮かないので大丈夫です。
材質とデザイン
靴とベルトの組み合わせに関して、色と共に重要なのが質感のマッチです。
色をマッチさせるのも大切ですが、似た素材で合わせて質感を合わせるのも重要。
例えばツヤのある革靴ならば、ベルトも革のモノでマッチさせましょう。
またスウェードの靴であれば、ヌバック、キャンパス、ウールと言った素材のベルトで合わせることがオススメです。
ということで、それぞれの素材とデザインを紹介するので参考にしてみてください。
革
革は靴だけで無く、カバンや腕時計のバンド等でもよく使われる素材なので、革のアイテムでまとめると全体的に一体感のあるコーディネートに仕上げられます。
よって革のベルトは必ず持っておきたいところ。
また、革は使い込む程風合いが増す素材なので、経年による変化が楽しめる素材です。
スウェード革
スウェードも「革」の一種なのですが、サンドペーパーなどで擦り、起毛させることにより、スウェード独特の手触り感が生まれます。
尚、スウェードと似た素材として
・ヌバック
・ベロア
・バックスキン
・ベロア
・バックスキン
などが挙げられます。
「ヌバック」は、スウェードが子羊や子牛の革の裏側を起毛させるのに対し、革の表側を起毛させたもの。
「ベロア」はスウェード同様に子羊や子牛の革の裏側を起毛させるのですが、スウェードよりも革の毛が長いのが特徴です。
そして「バックスキン」ですが、これは子羊や子牛ではなく、鹿の革を使用したもの。
ちなみに「スウェード」の語源は国名の「スウェーデン」です。
基を辿るとスウェーデン製の手袋がフランスで流行ったのですが、その手袋の生地が今の「スウェード」でした。
これがキッカケでこの生地をフランス語でスウェーデンを意味する「スウェード」と呼ぶようになり、今に至っているのです。
メッシュ
革とスウェードはフォーマルなコーデにピッタリな材質ですが、メッシュデザインのベルトは休日のカジュアルコーデにもってこい。
スニーカーを履く時にこのベルトがあると便利で、一つは持っておいて損はないでしょう。
フォーマルコーデで使う時は、メッシュの縫い目が細いものがオススメで、粗い程カジュアルな印象になります。
尚、メッシュデザインのベルトは縫い目に留めることが出来るため、革やスウェード材のように穴を開ける必要がないのもメリットと言えるでしょう。
ベルト着用時の基本ポイント3つ
素敵なベルトを持っていても、ポイントを疎かにしていると台無し。
ベルトはズボンの周りに巻いて、締めるだけの単純なものに見えるかもしれませんが、細かいポイントがいくつかあるので紹介します。
ベルトループ
「ベルトループ」とはズボンの腰周りに付いている、ベルトを通すための輪っかです。
基本的ではありますが、必ず全てのループにベルトを通しましょう。
特にズボンを履いた状態でベルトを通すと、体の裏側は見えないため、通し忘れてしまうことがあります。
その場合はズボンを履く前にベルトを通して、全てのループにベルトが通っていることを確認してから履くのも良いかもしれません。
尚、ズボンによってはこのループが小さいものもあるので、ベルトを選ぶ際は太さにも注意しましょう。
ということで次はベルトの太さについて。
幅はどれくらいがジャケパン向け?
ベルトは幅が太い方がカジュアル、細い方がフォーマル、と言われています。
具体的には30mm以下が細い部類でフォーマル、30mmから35mmが中太でややカジュアル、それ以上は完全カジュアル、という目安。
色や質感によって数mmの違いに視覚上、誤差は生まれるので必ずしもこの数値通りではありませんが、細めの方がジャストなサイジングのコーデには合うので、結論、ジャケパンには細めのベルトが合うでしょう。
長さ(余りの長さは要確認)
ベルトはほとんどの場合、バックルの裏部分あたりに「34/86」と言った具合に数値が記載されていて、これがベルトの長さを示しています。
ただ厄介なのが、ブランドによってバックルから真ん中の穴までの距離を示しているものもあれば、バックルから一番遠くの穴までの距離を示しているものもあり、一概に参考にできないということ。
なので、例えば通販での購入であっても、実店舗に行って実物を試着して、サイズ感を確認してから購入することをオススメします。
また、ベルトには穴がいくつか空いていますが、例えば5つの穴があったら3つ目の穴、3つの穴があったら2つ目の穴、といったように真ん中に位置する穴で留めてください。
なぜなら、端の穴で留めてしまうとベルトが必要以上に余ってしまったり、あるいは余りがほとんど無くなってしまったりします。
ベルトが必要以上に余ってしまうと邪魔ですし、逆に余りが少なすぎると太っているように見えてしまうので気をつけましょう。
なので、ベルトのサイズ選びは真ん中に位置する穴で留めて試着し、きつ過ぎないか、あるいは緩くて隙間が空いてしまいバックルが下向きになっていないかチェックし、いずれに当てはまらなければサイズチェック完了です。
手入れ
ベルトの選び方も重要ですが、購入後の手入れも大切です。
特に革のベルトは紹介した通り、使い込むほど味が出てきますが、手入れがされていないと、古くボロボロになっていくだけなので、味が出るよう手入れしていきましょう。
まず手入れの基本は布で拭く事。
日用雑貨店で専用の製品を探すのもアリですが、古着や使わなくなったタオルでも代用可です。
ベルトには知らぬ間に埃や汚れが溜まっているものですし、雨の日の着用後なんかは必ず水分を拭き取ってあげましょう。
次のステップは、クリームやオイルを塗る事。
クリーム/オイルを塗る事によって、ひび割れにくくなったり、柔らかくなったり、という効果があり、長持ちします。
物によって撥水性を加えたり、ツヤを与えたり、カビ防止の効果があったりと様々なので、是非チェックしてみてください。
尚、クリーム/オイルには無色の物と、色つきのものがあります。
使い込むうちにベルトの色が落ちるのも風合いになりますが、もし気になる場合は色つきのクリーム/オイルを使うと良いでしょう。
またクリーム/オイルを塗る際ですが、薄く伸ばすことがオススメです。
必要以上に塗っても、スポンジが水分を吸いこむようなレベルで染みる訳ではないので、必要最低限の量を塗ってください。
また塗った後は数分放置し、そして布で拭きましょう。
こうすることによって、余ったクリーム/オイルがズボンに付着することを防げます。
収納
手入れの次に考えたいのが、手入れしたベルトの収納方法。
主な収納方法は以下の二つです。
・ベルトハンガーに吊るす
・巻いて箱やクローゼットにしまう
・巻いて箱やクローゼットにしまう
ベルトハンガーはベルトだけでなく、ネクタイやアクセサリー等も吊るすことができるので、限られた収納スペースを有効活用できます。
そして丸めて箱やクローゼットにしまう場合ですが、オススメの丸め方があるので紹介させてください。
まずベルトの端を下記の写真の要領で、バックルに挿入します。
そしたらバックルに挿入したベルトの端を円の中心にし、クルクル巻いていってください。
すると、この通り。
この状態で保管しておけば、無造作に丸めた時と違い、ベルトが緩まず、収納し易くなるので、お試しあれ。
オススメのブランド
ベルトについて色、着用時のポイント、材質、そして手入れと収納方法について説明してきましたが、最後にオススメのブランドを紹介します。
Paul Smith
Paul Smithは1970年創業のファッションブランド。
英国発祥のブランドということで、トニーブレア元首相のスーツを在任中の10年間担当したり、英国サッカー代表チームへスーツを提供したりという実績から、英国ナンバーワンの呼び名が高いブランドです。
日本への進出にも熱心で、1984年の青山店オープンを機に展開しており、今では日本限定のラインもあるほど。
Paul Smithのベルトはシンプルながらも、他のメーカーでは扱っていないようなデザイン、色のベルトが多いのが特徴です。
フォーマルコーデの小物は無難になりがちですが、Paul Smithのベルトならばフォーマルコーデにもちょうどよいアクセントになるのではないでしょうか。
Takeo Kikuchi
Takeo Kikuchiはその名の通り、日本発祥の男性向けファッションブランド。
ベルトのラインナップは、1万円未満のモデルから2万円以上のモデルまで、カジュアルなモデルからフォーマルなモデルまで取り揃えています。
今回紹介したいTakeo Kikuchiのベルトは以下の二つ。
・フリコスムースレザーベルト
・ダブルフェイスグレンチェックベルト
・ダブルフェイスグレンチェックベルト
「フリコスムースレザーベルト」は特許取得済みの機能を搭載したベルトで、ピンがなく、穴もありません。
どうやって留まるかというと、振り子形状のバックルがベルトを締めつける仕組みになっており、ベルトのどの位置でも留めることが可能になっています。
体調や着る服によりベルトの位置は微妙に変わるもの。
今までは空いている穴に合わせるため、我慢していた人もいるかもしれませんが、このベルトならmm単位で留める位置を選ぶ事ができます。
「ダブルフェイスグレンチェックベルト」は「ダブルフェイス」という名の通り、二つの顔を持ったベルト。
バックルが回転式になっており、ベルトの裏と表の両面を使えるリバーシブル仕様になっています。
靴の色と、ベルトの色を合わせるのがコーディネートの鉄則ですが、このベルト一本あれば二本分活躍してくれでしょう。
尚、上記二本のベルトはいずれも幅が30mmで細めなので、ジャケパンコーデにピッタリです。
Dunhill
Dunhillは1893年創業、120年以上の歴史を持つイギリスの紳士服ブランド。
馬具店にはじまり、ライターやパイプ等のタバコ用品、そして運転用のサングラスやグローブ等の車関連グッズと、いつの時代も大人の男を虜にするモノを世に発信してきました。
また紳士服についても15年以上、サッカー日本代表のオフィシャルスーツに選ばれており、世界ではもちろんですが日本でも大人気です。
そんなDunhillのベルトですから、もちろんカッコいい。
ちなみにオススメは、リバーシブルバックルシャーシ革製ベルト。
特徴は何といってもベルトの幾何学模様で、一瞬見えるだけで「この人のベルトはオシャレだ」と思われることでしょう。
尚、リバーシブルバックルなので、模様の無い滑らかな裏面を使用することも可能です。
模様がついている面も派手過ぎず、フォーマルなコーデにも使えますが、気分によっては無地な面も使えるのは便利ですね。
まとめ
ベルトはジャケットやパンツに比べたら目立たないかもしれません。
しかし、ジャケットの前ボタンを開けながら歩いている時。
「チラ」っとベルトが見えるその一瞬を、人は見ています。
そしてその一瞬で「あの人はオシャレだよね」から「あの人のファッションはイマイチだよね」まで、印象が分かれていきます。
特に女性は男性のファッションをそういった目で見ている傾向が多いのではないでしょうか。
本記事で紹介した
・三つの色
・3つの革の種類
・3つの革の種類
については是非知って頂きたいですが、幅や長さについても参考になあるかと思います。
また、
・手入れ
・収納
・収納
についても、ベルトを買った後アフターケアとして、知っておいて損はないはず。
そしてPaul Smith, Takeo Kikuchi, Dunhillはいずれも一流のブランドですので、是非次の休日に近くのお店でチェックしてみてください。