春の足音が聞こえ始めてきたら、いつまでも重くて暗い色のウールのジャケパンを着ているわけにもいきませんね。
もしあなたが秋冬からオフィスビジネスのジャケパンデビューを果たしたなら、春のジャケパンにはどんなアイテムを選んだらいいのかと思案中かもしれません。
ジャケパンは年2回だけの衣替えですむスーツと違い、季節感が重要。
そこで、ここではオフィスで使える春のジャケパンスタイルについて、総ざらいしていきます。
季節感を取り入れて、上手に着こなせるようになりますよ。
春のジャケパン|ジャケット編
春を意識したジャケパンには、まずジャケットの季節感が重要です。
ジャケットの季節感、何で判別します?
色は春夏でもネイビーや黒などを使うので、あてにできません。
とすると、ジャケットの季節感を判別するのは、素材と薄さです。
まず生地の素材
生地の素材は触って分かれば良いのですが、わからないときは品質表示のタグを見てみましょう。
使われている素材は大抵複数混ざっていると思いますが、メインの素材を見ます。
メインの素材とはパーセンテージが高いもののことで、例えば「シルク5%、ウール85%、リネン10%」などと記載してあれば、一番多く含まれるウールがメイン素材。
春物はリネンやシルクリネンがメイン素材になっていることが多いです。
特にサラッとした風合いのリネンは、春夏の素材として覚えておきましょう。
次にコットンですが、厚手のコットンは秋冬でも使われていることがあるので、直接触って薄さを確かめてみます。
サラッとして薄いもの、またはザラザラした手触りのものは春夏のものが多いです。
ウールもまた同じように、薄さで判断します。
ウールはザラザラしていてもツイード生地などもあるので、わからなければ店員さんに聞いてみましょう。
最近ではリネンツイードなど、ツイードだけど春夏でも着られるものもあります。
ホップサップなどは一年中対応できる仕様で作られているジャケットもあるので、判断が難しいですね。
大抵一年を通して着られるものは、「4シーズン」などと記載があります。
また、ジャケパンの場合、スーツの衣替えのように「今日から夏服」「今日から冬服」と区別されているわけではありません。
素材にしても、極端に厚手や薄手でない限り、これが春夏、これが秋冬などとされていないのが通常です。
むしろ、少しくらいずれ込んでも個人の見解に任されるところがあります。
しかし、「季節は先読みするのがお洒落」というように、少しくらい季節を先取りして選んでみると「お洒落に敏感な人」というイメージも付きますよ。
春に着たい色
春のイメージはパステルカラーなどの淡くて薄い色を思い描く人が多いと思います。
しかし、ジャケットの場合、薄手の紺ブレでも春は十分表現できるので、それほど色にこだわる必要はありません。
素材感や薄さで春を表現できますが、それでも春はなんとなくウキウキもして、明るい色を着たいと思う人もいるでしょう。
もし淡い色を着たいなら、春のジャケットでお勧めしたい色は、薄い茶色か薄いブルーなどです。
また、ボルドーを薄くしたようなくすんだピンクや、黄色も生成りに近い、薄いクリーム色ならオフィスでも可能でしょう。
着まわしのしやすい色としては、ライトグレーがあります。
基本的にグレーはビジネスライクな色なので、職場でも違和感なく着ることができ、合わせやすいので重宝する色です。
それに対してネイビーのジャケット、いわゆる紺ブレは季節を通して着られる色。
春夏なら中に白やオフホワイトを合わせれば爽やかで軽快な感じになるでしょう。
チーフやネクタイを明るめにして春らしさを演出するのもいいですね。
ネイビーはきちんとした印象を相手に与えるので、一着持っていると便利です。
また、光沢のあるネイビージャケットは、素材自体が華やかになるので春夏にはうってつけです。
光沢感のあるジャケットは使いにくいと思うかもしれませんが、リネンやシルク、ウール、モヘアが使われている上質のジャケットなら、粗雑なジャケットを着るよりよっぽどお洒落に決まります。
そのほか、カジュアルオフィスが許されている職場なら、ボルドーを薄くしたようなくすんだピンクや、オレンジがかったサーモンピンクなどもおすすめ。
例えばこんなジャケットはいかが?
ボリオリの光沢感のある春のジャケットです。
無地のジャケットなら素材感で勝負。
明るいベージュのチェック柄のジャケット。
落ち着いたチェックならビジネスにも使用できます。
ラルディーニのコードレーンジャケット。
細かい縦ストライプのラインが入っています。
凹凸感のあるストライプが肌にさらりと気持ちよく、春夏に快適に着られるジャケットです。
リネンのシャツと合わせれば、とても涼やかに過ごせますね。
ラルディーニのダークネイビーのホップサップジャケットです。
ウール100%のホップサップは春夏の定番。
グレーのスラックスや白いカラーパンツ、コットンパンツと合わせて、爽やかに着用できます。
ホップサップジャケットは着た感じも軽く、3シーズン対応なので一着は持っているととても便利。
ちなみにホップサップとは、ホップサップツイードと言い、ビールの原料であるホップの運用に用いられていた麻袋の織り方のことです。
春のジャケパン|パンツ編
さて、ジャケパンというからにはパンツも選ぶ必要があります。
ビジネスシーンでジャケパンを考えるとき、春で明るい色にしたくても、ジャケットを派手なものにはできませんよね。
そこで提案したいのが、パンツを明るめにすること。
ジャケットは茶色やネイビー、グレーなどの定番の落ち着いた色にし、パンツをホワイトやライトブルー、ライトグレーなどの明るい色にします。
すると、全体が軽いコーディネートになり、一気に春らしくなりますよ。
コーディネートの原則として、ボトムスを暗い色にすると安定感のある落ち着いたものに、明るくすると軽い雰囲気になります。
これを利用して、視覚効果を狙いましょう。
パンツの素材と厚さ
パンツも春仕様なら薄手のものを選びましょう。
まだ肌寒い春の初めの頃なら少し厚めのコットンでも対応できます。
その場合、明るい色味で軽さを演出。
本格的に暖かくなってきたら、薄手のウールやコットンをチョイスし、快適に過ごしましょう。
春夏パンツの定番色
春夏のパンツの定番色といえば、ライトグレーやライトブルーなど白に近い色ですね。
ベージュやオフホワイト、生成りなども涼しげです。
ネイビーや黒は上に着るジャケットにもよりますが、ジャケットが薄い色の場合、パンツが重くて暗い色だと少しアンバランスになります。
反対に、ジャケットが濃い色やネイビーなど暗めの色ならパンツが暗い色でもおかしくありません。
その場合のコーディネートは、ジャケットの下に着るシャツは白など明るい色にするのが鉄則です。
春のジャケパン|小物編
春のジャケパンスタイルで意外と便利なのが小物。
小物はいつものジャケパンスタイルの雰囲気をガラッと変えてくれるお役立ちアイテム。
また、寒さ対策や冷房対策など、機能的にも是非活用したい便利なものです。
小物で肌寒さを調節する
コートを着るのはもうおかしいけどまだ肌寒い、そんな時はストールが重宝します。
薄い生地のストールでも空気をはらんでくれるため、首にかけておくだけで温かさが違うのです。
また、初夏に近くなると、汗ばむことも多くなり、ジャケットを脱いで手に持つこともありますね。
そんな時期にもストールは役に立ちます。
汗はシャツの襟部分にたまりがちですが、シャリ感のあるリネンや汗を吸い取るタオル地でできたストールを首にかけておけば、快適に過ごすことができますよ。
ストールは洗濯表示に従って手洗いすれば、自宅でも簡単にケアすることが可能。
また、夏の寒すぎる冷房対策にも良いです。
ストールは巻き方を色々と工夫して楽しんでみてくださいね。
二つ折りにして首にかけ、片側の輪にもう片方をくぐらすワンループや、一周ぐるっと巻くだけの一周巻き、首元にぐるぐる巻きつけて首元にボリューム感を出すグルグル巻きなど。
巻き方についてはのちほど詳しくご紹介します。
小物で春らしさを演出する
春のジャケパンコーデでお勧めしたい小物は、ストール、チーフ、ネクタイなどです。
小物を明るい色やカラフルな模様にすることで、春らしい装いが演出できます。
風に揺れるストールで表情を出す
ストールは使い慣れない人も、マフラー感覚と思えばハードルが低くなると思います。
お洒落な表情を作り出すだけでなく、寒さ対策など機能的にも優れたアイテムです。
二つ折りにした輪の部分にもう片方をくぐらすワンループ。
マフラーなどにもよく使われるお手軽な巻き方です。
ぐるっと一周、一周巻き。
コーディネートしやすく、首元の輪大きさを調節することで、表情を変えることもできます。
首元にボリュームを出すグルグル巻き。
首元にボリュームが出ると、小顔効果もあります。
グルグル巻きは、1周巻きの要領で左右の先端の巻き終わりを、巻いたストールの内側にしまいこむだけです。
または、2周させたストールを最後軽く結び、結び目が後ろに来るように向きを整える方法もあります。
ネクタイのように巻く、プレーンノット巻き。
男性にとっては一番お馴染みの巻き方かもしれません。
馴染みやすいといえば、オススメのストールはブルーやモノトーンの色。
ジャケットの色にも馴染みやすく、入門編としては入りやすいのではないでしょうか。
ポールスミスのグラデーションストール。
ふんわりと軽やかな風合いが、爽やかさを演出してくれます。
同じくポールスミスの、エンブロイダリーストール。
おとなし目の色でストールデビューには最適です。
小さな面積で絶大な効果を出すチーフ
最近ポケットチーフもだいぶ市民権を得てきました。
チーフは少しの面積で絶大な効果が期待できるアイテム。
暗い色のジャケットでもチーフ一つでパッと華やかにしてくれます。
春なら明るめのピンクやライトグレー、黄色などがおすすめです。
ドット柄や花柄など、柄物を試すのも楽しい雰囲気を出せますね。
また、通年で使用できるリネンのチーフは、持っていて便利です。
本来リネンのチーフは、正式な場所につけていくものですが、最近ではお洒落なスタイルにも多用されるようになりました。
エルメスのポケットチーフ。
広げてみると総柄なので派手なのでは?と思いますが、畳んで胸にしまう時は小さな面積になるので、思ったほどではありません。
鎌倉シャツのコットンポケットチーフ。
シンプルなコモン柄が爽やかです。
カシミヤ混のコットンのチーフなので、扱いやすく、色も使いやすい色ですね。
なお、ポケットチーフの簡単な降り方はこちらの記事に記載しています。
<やってみて!実は簡単だったポケットチーフの折り方>
ノーネクタイでもいいジャケパンに、あえてのネクタイ
ジャケパンスタイルが定番になっている人は、もしかしたらネクタイを着用していない人も多いかもしれません。
しかし、スーツでは決してつけることのできない、派手めのネクタイがジャケパンには許されます。
明るい黄色のネクタイですが、模様にネイビーが入っていることで、ビジネスシーンでも使いやすいネクタイです。
細かな網目が面白い模様となって浮き出ている、レッド系のネクタイです。
赤でもこのくらいの軽い色味なら職場でも浮きません。
カジュアルなニットタイも、春夏には爽やかです。
ネクタイが細い分、シャツの面積が大きくなり、明るいシャツなら明るい面積が大きくなりますね。
シンプルな花柄がキュートなネクタイ。
ベージュや明るめの茶系のジャケットにもよく合います。
独特なブルーがフレンチさを醸し出す、南仏より取り寄せた生地を使ったネクタイ。
南仏の明るい太陽を連想させます。
ネイビーやグレー、ベージュにも似合いそうです。
春のジャケパンスタイル|まとめ
重苦しいウールのコートを羽織る季節ももうすぐ終わり、ピリッとするような寒さの中にもほのかに春らしい暖かな空気をフッと感じる事があります。
いつまでも暗くて重いジャケットを着ているわけにはいきません。
春のジャケパンは、まず春らしい薄い生地を選びましょう。
シャリ感のあるリネン混や薄手のウール、コットン素材などです。
薄さは手触りで確認し、わからなければ店員さんに聞きましょう。
また、ホップサップ生地のジャケットは基本的に春夏の生地として知られていますが、通年着られるものもあり、とても便利です。
春に着たい色は、ライトグレーやライトブルー、ベージュや生成りなどです。
薄手の色は軽やかで、春を感じさせてくれますね。
また、ネイビージャケットも白と合わせれば爽やかさが出るのでオススメです。
・ボリオリの光沢感のあるグレージャケット
・明るいベージュとブルーのチェックジャケット
・ラルディーニのコードレーンジャケット
・ダークネイビーのホップサップジャケット
・明るいベージュとブルーのチェックジャケット
・ラルディーニのコードレーンジャケット
・ダークネイビーのホップサップジャケット
などをご紹介しました。
また、ジャケットとともにパンツも薄手のものにしましょう。
ウールやコットンなどで、色の薄めのものにするとコーディネートしやすいですよ。
定番の色はライトグレー、ホワイト、オフホワイト、ベージュなどです。
ジャケパンで意外と活躍してくれるのが、小物類。
ストールなどは、まだ肌寒い日もある浅い春の日には寒さ対策として、冷房の効きすぎた真夏の建物やタクシーの中では冷房対策としてオススメです。
ストールは首に巻いたり垂らしたりするだけで、風に揺れて雰囲気を出してくれるアイテム。
優しい雰囲気が春にはよく似合います。
また、小さな面積でも効果を発揮してくれる、ポケットチーフ。
広げると総柄で派手だと思うものでも、折りたたんでポケットに入れてしまえばそんなに派手ではないことに気づくはず。
少しくらい派手と思うくらいのものを選んでみましょう。
また、リネンのチーフは正式な場でも使用できるので、一枚持っているといいでしょう。
ジャケパンスタイルではネクタイをしない人も多いと思いますが、スーツではつけることのできない派手目の明るいネクタイをしてみるのも面白いです。
明るい色やポップな柄で、春を演出してみてください。