パーティウェアと言えば、思い出すのがタキシードでしょう。
映画のワンシーンや授賞式など、華やいだ場所で男性がセクシーに、そして視線を集めている場面には必ずタキシードが登場します。
また、ちょっと格式高いパーティに呼ばれたときに、気後れして一歩を踏み出せなかった経験はありませんか?
そんな場所にも、タキシードがあれば躊躇することなく自信を持って足を運べますし、会場でのあなたのジェントルマンな雰囲気と、セクシーさが惜しみなく発揮されることでしょう。
タキシードはこのように格式高いパーティはもちろんのこと、
・友人の二次会パーティ。
・女友達とのデート。
・ロマンチックなレストランでのディナー。
・女友達とのデート。
・ロマンチックなレストランでのディナー。
こんなカジュアルな場面にも着回すことができる、便利なアイテムです。
そろそろパーティやデートにスーツばかり着ていくのはやめて、タキシードで華やいだ雰囲気と、ちょっとした非現実感を演出し、いつもと違うセクシーな気分であなたの周りの人を酔わせてみてもいいかも・・・。
それでは、大変便利なアイテムであるタキシードについてお話します。
タキシードとは
グローバル・スタンダードな礼服
タキシードとは、世界中の多くの人が認め、そして愛用している「礼服」です。
ほとんどの国で「礼服」として公認されているタキシードですから、正しい礼装の基準も存在します。
しかし、それは年に1度あるかないかの晩餐会での話。
日本ではタキシードに気軽なイメージがあまりありませんが、世界基準で見るとタキシードは気楽なパーティでも気軽に着られる「礼服」という位置づけなのです。
でも、元はカジュアル
タキシードはフォーマルなスーツと同じように考えていませんか?
多くの日本人は、アメリカで行われる「宮廷晩餐会」で見かける「タキシードの正礼装」しか知りません。
このイメージが日本で定着したために、タキシードをフォーマルスーツと勘違いし「格式高い」「値段も高い」「特別な時だけの」まるで「衣装」のように扱っているのです。
しかし、タキシードは「楽」に着るためのものから始まっています。
色々な色のシャツやパンツ、小物を合わせることでカジュアルなシーンでの相性も抜群なのです。
「正礼装」を求められるシーンではふさわしくありませんが、カジュアルなパーティなど、シーンにふさわしい自分らしく遊べるフォーマルが、タキシード本来の姿と言えるでしょう。
タキシードは「エンタメ」
おしゃれな男なら、タキシードは一着持っていたいアイテムです。
カジュアルなパーティで女子ウケも狙いたいなら、必ずタキシードは一着持っていたいところ。
その理由は、タキシードを着る場面とは全て「エンタメ」な場所だから。
パーティや特別なデートは、すべて「相手を楽しませ」ながら「自分も楽しむ」場であるはず。
これは「エンターテイメント」の定義「能動的に周りの人々を楽しませ、自分も楽しむ」にぴったりと一致しています。
普段のあなたを一瞬で「エンターテイナー」に変身させるアイテムがタキシード。
タキシードを着るだけで、気分もガラッと変わり、自信を持って周りを楽しませならが、楽しませている自分も存分に楽しむことができる。
そんな不思議な力をタキシードは持っています。
緊張しがちなパーティなら、特に効果が期待できるアイテムだと言えるでしょう。
タキシードの歴史
1870~1890年代
〈1870年代〉
ドイツ、フランスのカジノにおいて、へちま襟(ショールカラーと呼ばれる襟)の尾のない燕尾服が流行りました。
この「尾のない燕尾服」は、元は自宅の部屋でくつろぎ喫煙するときに着用する「喫煙服」のデザインを取り入れていました。
(現代のガウンに近いイメージですね。)
そして、このデザインを「スモーキング」と呼んでいたそうです。
〈1876年〉
当時のイギリス皇太子である「エドワード7世」が、スモーキングのファッションを英国に取り入れ「ディナー・ジャケット」を考案します。
そしてエドワード7世は、パーティなどで着用するようになりました。
これがタキシードの始まりでしょう。
〈1886年〉
タキシード事件と呼ばれる、現在のタキシードのデザインの元ともなる事件が起こります。
ニューヨークのタキシード・パーク倶楽部において、全員が燕尾服を着ている秋の正装舞踏会へ、一人の男性が真っ赤なスモーキングジャケットを着用してパーティへ参加したのです。
この事件が発端となり、アメリカでのタキシードが始まったと言われています。
この事件には「着替え忘れてパーティへ参加した」という説と、この男性が夏に訪れた「ヨーロッパの流行を意図的に取り入れた」という説がありますが真相ははっきりしていません。
〈1890年代〉
この頃から、アメリカではタキシードという呼び名が定着しはじめます。
名前の定着と同時、若者の間ではタキシードと小物、色とりどりのスモーキングジャケットを組み合わせるファッションが流行。
タキシードがカジュアルな位置づけとして受け取られた時代です。
1900~1960年代
〈1900年代〉
人気のタキシードが変化します。
ジャケットは黒。
燕尾服用のパンツ。
立て襟、ウィングカラーのシャツ、白のベスト、白蝶ネクタイという礼装スタイルが、アメリカで市民権を獲得します。
〈1910年代〉
タキシードのインに、当時大流行していた「アロー社」のカジュアルシャツである「ヒダ胸シャツ」を組み合わせる着こなしが大流行します。
〈1920年代〉
タキシードが夜の正礼装として「燕尾服の次に礼装である」と、世界中に認知されるようになります。
黒蝶ネクタイ、黒のカマーバンドが用いられるようになり、この頃から「ブラック・タイ」というドレスコードは「タキシード」を示すようになりました。
また、へちま襟(ショールカラー)しかなかったタキシードジャケットに、ピークトラペルのジャケットが加わったり、フロントもダブルのジャケットが流行するようになりました。
〈1930年代〉
夏のリゾート用に「白のタキシードジャケット」が登場。
色物のカマーバンドに、色物のポケットチーフ。
しかし、蝶ネクタイは黒だったようです。
〈1945年〉
第二次世界大戦後、アメリカで取られた特別措置から、大学生が急増します。
これまで上流社会だけのものであったタキシードが、あらゆる階層や人種の一般市民へ普及しました。
〈1950年代〉
色物のタキシードやクロス・タイ、フリルやレースや色物のシャツが流行します。
〈1960年代〉
タキシードは再び「黒一色」に戻ります。
シャツや小物と組み合わせることで楽しむようになり、パーティそのものを楽しむようになったと言われています。
1970~現代
〈1970年代〉
上下が白のタキシードにフリルシャツの組み合わせが「花婿の衣装」として流行。
これは現在も続いていますよね。
〈1986年〉
タキシード100年。
自由の女神100年。
コカ・コーラ100年。
自由の女神100年。
コカ・コーラ100年。
オーストラリア建国100年。
これらのイベントに、タキシードに普通のネクタイを組み合わせた取材陣が多く登場。
また、昼間のタキシードも目立つようになりました。
〈1989年〉
「カリフォルニア・ブラックタイ」「テキサス・ブラックタイ」と呼ばれる、新しく大胆なタキシードの着かたが登場。
〈1990年代〉
タキシードシャツと呼ばれる「立襟シャツ」が流行。
立襟シャツと蝶ネクタイと合わせることで、ほとんどの服が「タキシード」な礼服として使えることが認識されていきます。
〈現在〉
正礼装だけではなく、タキシードジャケットと小物を合わせたり、正礼装中から何か1点だけ使うことで、楽しくハズしたタキシードを楽しむようになっています。
タキシードを構成するアイテム
正礼装のタキシードを構成するアイテムを紹介します。
上着
色は黒または濃紺が一般的です。
生地には「カシミヤ」や「パラシャ」と呼ばれる素材が使われることが多いようです。
フロントは「シングル」と「ダブルブレスト」があり、襟には「拝絹」と呼ばれる光沢をもった生地が付けられた「へちま襟(ショールカラー)」が一般的。
ピークトラペルの襟のものも存在していますが、正礼装を考えると「へちま襟」がおすすめです。
スラックス
上着と同質のもので、上着が何色であってもスラックスは「黒」が基本です。
脇には1本の側章があり、カマーバンドを用いるのが一般的です。
ネクタイ
ブラック・タイと呼ばれるくらいなので「黒蝶ネクタイ」が基本です。
ポケットチーフ
白麻が基本です。
上着が色物の場合に限って、黒や色物の絹も選ばれています。
革靴
黒のエナメルが基本ですね。
もう一歩踏み込むと「舞踏靴」という選択もありです。
靴下
黒の絹、ナイロン製が基本。
帽子
無帽でも問題ありません。
ただし帽子を被る場合には、黒か濃紺のボンブルグハットを選んでください。
夏場はパナマハットを選びましょう。
コート
チェスターコートの黒や紺、グレーを選びましょう。
トレンチやPコートは、正礼装には向きません。
マフラー
冬にマフラーをしたいときは、白の絹製がおすすめです。
タキシードの選び方
デザイン
タキシードには色物もありますが、市民権を得ているのは「黒」。
ジャケットもシングルでノーベンツ。
へちま襟で拝絹付きが1着目ならおすすめです。
タキシードは流行に左右されにくいので、変わったデザインのものや色のモノよりも、スタンダードなものを選ぶようにしておきましょう。
「1年の間に何度もパーティがあって。」
そんな方は2着目として、変わったデザイン色物を選んでみてください。
拝絹
襟のところに光沢があるのが、タキシードの特徴です。
モーニングやスーツには、この光沢はありません。
この襟の光沢が「拝絹」と呼ばれていて、タキシードの品質の善し悪しを見分けていた頃もあったそうです。
現在は素材と技法の開発で「拝絹」を見ただけでは、品質の善し悪しを判断できないようです。
フロント
タキシードにはシングルとダブルがあります。
アメリカで言われる「宮廷晩餐会」のような席へ出席されるのなら「ダブル」が必要になります。
しかし、年に1度くらいの「正礼装」。
後はハズして着ることが多いのなら「シングル」がおすすめです。
襟
へちまのように下へ向かうほど丸くなっている「ショールカラー」。
スーツにもよく見かける、先が尖った「ピークトラペル」。
どちらがおすすめかと言いますと、1着目なら「ショールカラー」を選んでおきましょう。
ショールカラーなら「正礼装」でも問題ありませんし、カジュアルなシーンでも違和感がありません。
ピークトラペルの場合は「正礼装」の主流ではありませんし、カジュアルなシーンでは堅いイメージになってしまうこともあります。
パーティが多くて、タキシードを何着か持っている方なら「ピークトラペル」を持っておいても良いですね。
シーズン
タキシードは、元々「スモーキングジャケット」ですから部屋着です。
そのため、屋外で長時間着用していることを想定していません。
夏物、冬物という区別がなく、一年中着用できる素材と仕立てになっています。
タキシードの正統派着こなし
ドレスコードに「ブラック・タイ」とあれば、タキシード着用でということ。
そんなときは「正統派」の着こなしが必要です。
まず上着は「黒」か「濃紺」でショールカラーのシングル。
襟は「拝絹」と呼ばれる光沢のある仕立てになっていることが基本です。
ベンツはなく、「くるみ式」と呼ばれるボタンが備わっていることが一般的。
スラックスは「黒」。
シャツには白無地が基本で、黒無地の蝶ネクタイというのが正統派。
忘れていけないのは「ポケットチーフ」。
ブラック・タイ指定なら、白無地のシルクか麻のものを用意しましょう。
折り方も指定や決まりはありませんが、
・シルクなら「パフドスタイル」
・麻なら「スリーピークス」
・麻なら「スリーピークス」
が一般的です。
またアクセサリーですが、正統派の場合には着用は避けておくのが無難です。
時計や携帯電話なども身につけないで、その場を祝う、楽しむ精神が大切です。
タキシードのハズした着こなし
タキシードは正統派だけではありません。
正統派をハズして着こなすことで、大人の余裕、男の色気を際立て楽しむことができるアイテムです。
グローバルな着かた
タキシードジャケトに色々なパンツやシャツを組み合わせ、自由に楽しむのが大人の余裕を魅せるポイント。
ジャケパンのように使ってしまうのが、正解ではないでしょうか。
あえてボタンを外してラフな印象で。
楽しいパーティを心から楽しみながら、あなたのエンタメ性を存分に発揮してみてください。
小物はコレ
流行のシャツやカジュアルシャツを合わせてもいいですね。
冬なら黒のタートルネックでシックにハズしてもOK。
正統派ではないので、ストールを巻いたり、腕にはシルバーやゴールドでキラリと光る腕時計なんかも遊び心を演出できます。
色柄モノもOK
カジュアルなシーンなら、柄物のタキシードジャケットもOKです。
また柄物のタキシードジャケットがないという場合には、スラックスだけ黒のタキシードにして、ジャケットに柄物を合わせてもOKです。
夜しかダメ、ではありません
今やタキシードは「夜」だけのものではありません。
特にハズして着るのなら、お昼でも大丈夫。
自分にとっての「メインイベント」の場がどこなのか。
ここに合わせたふさわしい服装を選びましょう。
ネクタイでハズす
ネクタイというアイテムは、それだけでイメージが固定されています。
・蝶ネクタイなら「フォーマル」
・ノーネクタイなら「カジュアル」
・普通のネクタイなら「ビジネス」
・ノーネクタイなら「カジュアル」
・普通のネクタイなら「ビジネス」
カジュアルやビジネスでのパーティで「蝶ネクタイ」は、大人の余裕を見せつけるハズしかた。
エンタメ性が高いので、あなたのお陰で盛り上がるかもしれません。
まとめ
グローバル・スタンダードな礼服として認められているタキシード。
スーツやジャケパンでは、相手によって「フォーマル」「カジュアル」の認識が違ってきますが、タキシードについては、世界中の多くの人が「礼服」であると認めます。
また、タキシードは流行とは無縁ですので、パーティやセレモニーの場にふさわしいものを、と迷ったときは一生モノのタキシードを黙って選びましょう。
まだまだ日本では「タキシード」というと、タキシードの本場であるアメリカで言う「フルドレス」のイメージが強いですが、それは本場での「宮廷晩餐会」のドレスアップのひとつでしかありません。
でも本当は、正統派なスタイルにも、ハズしたおしゃれにも使いやすいのが定番のタキシード。
一生モノのタキシードを一式持つことで、気後れせず自信を持ってパーティやデートに足を運んでもらいたいと思います。
ぜひ、世界基準で楽しめるタキシードを、あなたのワードローブへ迎えてみてください。