「小さな腕時計の中に小さな宇宙がある」
「ムーンフェイズ」に惚れ込んだ、ある老舗腕時計店店主の言葉。
ムーンフェイズとは、月の満ち欠けを表示する、腕時計の機能の一つ。
クロノグラフやデイ表示など、数ある腕時計の複雑機構の中でも、人気の高い機能です。
かつては、機械式腕時計における技術進化の極みであり、スイス高級腕時計のみが成し得た、手の届かない存在でした。
しかし時代は、機械式時計からクォーツに変わり、ムーンフェイズは次第に隅に追いやられ、忘れられた存在に。
それでも、スイス製機械式時計がクォーツショックから立ち直るにつれて、その人気も徐々に復活。
特に、アンティーク時計が注目される中で、クロノグラフと共に最も人気が高かった機能が、ムーンフェイズでした。
「小さな腕時計の中に小さな宇宙がある」
冒頭の老舗腕時計店店主が、若かりし頃から集めてきた百点を超える名腕時計の中でも、特に惹かれたという、ムーンフェイズの機械式腕時計。
文字盤に存在するだけで、不思議な高揚感のある「ムーンフェイズ」を「小さな宇宙」と表現したのは、まさに言い得て妙。
今回は、機械式腕時計が持つ、夢とロマンと芸術性の象徴とも言うべき、「ムーンフェイズ」の魅力をご紹介いたします。
ぜひその「小さな宇宙」が織りなす、美しさと世界観をご堪能ください.
ムーンフェイズとは?
ムーンフェイズとは、月齢を表示する機能。
月齢は、月の満ち欠けを知る目安で、新月から何日経過したかを表しています。
新月を0として、14~15日で満月になり、また新月に戻っていくサイクルが約29.5日。
このサイクルを表示するのが、ムーンフェイズ。
そんなムーンフェイズが、古くより機械式腕時計の技術の粋として認められ、また現在においても強い人気を誇る理由は何故でしょうか?
以下にその理由について検証していきます。
ムーンフェイズの魅力
月の満ち欠けの、時を超越した魅力。
古代から私たちの生活と密接に結び付き、影響を与えてきた月のパワー。
月はその位置や距離によって、様々な影響を地球に与えています。
古くから、自然現象や動物の行動などとの結びつきが観察され、人間の生活にも深く根を下ろしてきました。
もっとも顕著な例が、海の潮の満ち引き。
月の満ち欠けによって変化する、大潮や小潮によって魚の釣れ方や、波の状態が変わってきます。
また、人間の体の7割を占める、体液成分が海水に似ているため、月の引力の影響を受け、満月や新月、満ち潮の時は事件事故や出産が多いとの統計も。
中世ヨーロッパに機械式時計が登場して以来、時計にムーンフェイズ表示がしばしば加えられてきたのも、月と人間の生活との深い結びつきに端を発すると言ってよいでしょう。
古来より、月と人との関わりが密接だったことを考えれば、早くから時計にムーンフェイズが取り入れられるようになったのも当然ともいえ、また現在の関心の高さ、人気の高さについても、納得がいくものと言えます。
その芸術性、ロマン、美しさだけではない、ムーンフェイズの魅力。
太古より、私たちの生きるリズムに、大きな影響を与えてきた月の満ち欠けを表示するムーンフェイズ。
そんなムーンフェイズの魅力を持った、極上腕時計を以下にご紹介いたします。
ムーンフェイズ機構搭載腕時計3選
ブレゲ クラシックムーンフェイズ 7787
18世紀、フランス・パリでその輝かしい歴史の幕を開けた名門ブランド 「ブレゲ」。
ブレゲ考案の機能やデザインは、時計界に大きな影響を与え、多くの模倣を生んできました。
すっきりとしたケースに、シンプルなダイアルのクラシックシリーズ。
その中でも、ギョーシェ模様の刻まれたダイアルが美しい、ムーンフェイズモデル「7787」。
シンプルでしっとりした、白のエナメル文字盤に映える、エレガントなブレゲ数字と青焼きされたブレゲ針。
特徴的な長い針がより際立ち、一層、格調高い雰囲気を醸し出しています
その品格の高さと芸術性は、いくら模倣されたところで、容易に他の追随を許すものではありません。
同じくムーンフェイズを搭載した定番「7137」に比べ、デイト機能を省略したことで、ムーンフェイズが強調されています。
ロマン溢れるムーンフェイズに、格調高いクラシカルな雰囲気。
並みのブランド品とは一線を画す、まさに極上の逸品です。
ジャガー・ルクルト マスター・ウルトラスリム・パーペチュアル
一目見て、恋に落ちるような圧倒的な美しさ。
歴史と技術に裏付けられた、堂々たる存在感。
ウルトラスリムという名に恥じない、9.2㎜という驚異的な薄さのケースに詰まった超絶技巧の数々。
パーペチュアル機能(永久カレンダー)、月・日・曜日を表示したトリプルカレンダーに西暦を表す4桁の表示。
そしてこの熟練を超えた、神の領域とも言うべき機能にとどめを刺す「ムーンフェイズ」。
ジャガー・ルクルトの卓越した技法が生み出す、端正かつ洗練された装いは、目の肥えた高級時計愛好家の心ですら、激しく揺さ振ります。
スイスの高級時計メーカーの中でも、数少ないマニュファクチュールだからこそ起こせた奇跡の一つ。
マスター・ウルトラスリム・パーペチュアル
間違いなくジャガー・ルクルトの歴史、いや世界の腕時計史に名を残す名品。
もう一度写真を見てみましょう。
ため息が出る美しさです。
オメガ スピードマスター ムーンフェイズ クロノグラフ・マスター・クロノメーター
アポロ計画において、月面で着用された最初の時計である「スピードマスター」。
このパイオニア精神あふれる遺伝子を引き継ぐ「スピードマスター ムーンフェイズ・クロノグラフ・マスター・クロノメーター」。
2015年に認証されたMETAS(スイス連邦軽量認定局)による厳格な新精度基準をクリアした、世界初のマスター クロノメーター認定モデル。
そもそもスピードマスターがNASAの公認クロノグラフとなり、人類と共に、初の月面着陸を果たした経緯については、様々なテストに対してその高い性能を示し続けた結果です。
1965年、NASAは宇宙空間でも使用に耐える腕時計を選定するため、各社各種の時計を購入し、耐熱性、耐寒性、耐衝撃性など様々な試験を行ないました。
この結果、高性能なムーブメントと頑丈なケース、高い耐環境性能を備えた「スピードマスター」のみが合格。
そこから「世界初の月面に降り立った腕時計」という有名なキャッチフレーズを冠するに至ったという経緯があります。
そんな月との深い関連性を持った、スピードマスターに搭載されたムーンフェイズ機能はまさに、スピードスターを象徴するかのような、インパクトの強い高度機能です。
しかも、このムーンフェイズに表示された、黒と白のコントラストはNASAの精密写真に匹敵するくらい緻密で鮮やかな姿。
腕時計全体のデザインを見てみると、大胆なブルーの色使いがその「ムーンフェイズ」に独特な表情を与えます。
サンブラッシュ仕上げのダイアルとセラミック製ベゼル、レザーストラップはすべて鮮やかなブルー。
ステンレススティール製のケース、そして、ロジウムプレート仕上げによるサークル採用のサブダイアルが、対称的に配置された美しいデザイン。
誰をも唸らせ伝説に甘んじることなく、機能においてもデザインにおいても常に、究極(Ω=オメガ)を追求する姿勢。
「スピードマスター」はオメガだけでなく、時計界を代表する、最も人気のあるシリーズの一つ。
そんなオメガ スピードマスターを象徴するかのような、「ムーンフェイズ クロノグラフ マスター クロノメーター」
このラインアップの追加により、スピードマスターは永遠の定番モデルという、価値高いコレクションの地位を、より不動のものにしたと言えるでしょう。
まとめ
「ムーンフェイズ」の美しさ、ロマン、芸術性。
太古の昔から、密接に結びついてきた、月の満ち欠けと人との関係性。
それらから私たちを自然と魅了するムーンフェイズ。
その魅力の正体をお伝えできましたでしょうか?
「小さな腕時計の中に小さな宇宙がある」
これこそ機械式時計の本質、そしてムーンフェイズの真髄。
古代から大切にされてきた、月の満ち欠けの大いなるリズム。
機械式時計が歩んできた、技術追求の栄光の歴史。
あなたも、そんな大いなるものと共に歩んではみませんか?
あなたの腕にムーンフェイズという「小さな宇宙」を身に着けることによって。