高級腕時計といえば、スイスブランドの機械式を思い浮かべる方がほとんどだと思いますが、取り扱いに気をつかったり、維持費用が高額だったりと、敷居が高いと思われている方もけっこう多いのでは?
一方、日本が誇る世界的時計ブランドのセイコーが開発し、一時はスイスブランドの機械式腕時計を窮地に追い込むほどのセンセーションを巻き起こしたクォーツ腕時計。
どうしても機械式と比べて下に見られがちなクォーツですが、機械式と比べてメリットがあるのも事実です。
そんなクォーツを知るこの記事で、あなたもクォーツを見直したくなることでしょう!
クォーツとは?
クォーツとは、電圧をかけると規則的に振動する水晶(クォーツ)の特性を利用したムーブメント(時計の動作機構)で、電池を動力源に、電子回路で針の動き(歯車の動き)を制御しています。
その歴史は意外と古く、1927年に初めてアメリカでクォーツ時計が作成されました。
しかし、当時の仕様では時計のサイズがタンスほどにもなったため、研究機関などでの使用にとどまっていました。
セイコーは1958年からクォーツ時計の開発に乗り出し、1964年の東京オリンピックで、大会公式時計として提供したクォーツ時計は、壁掛け時計ほどのサイズへの小型化に成功するとともに、実用に耐えうる性能を実現しました。
1967年に世界初のアナログ回路を用いたクォーツ腕時計のプロトタイプが登場しました。
それは、スイスの「Centre Electronique Horloger」の「Beta1」とセイコーの「アストロン」の二つの腕時計でした。
1969年にセイコーから発売された世界初の市販クォーツ腕時計「セイコー クォーツ アストロン」は、当時の価格で45万円と、小型乗用車ほどの価格でしたが、その後急速に価格が下がりました。
1970年代に入り、セイコーが特許を公開したことにより、各メーカーがクォーツ時計の製造に参入することになり、世界の時計市場を席巻したため「クォーツショック」と呼ばれる現象が起きました。
この影響で、機械式腕時計を生産のメインとしていた、スイスの腕時計産業が急激に衰退することになりました。
クォーツが向いている人・向いていない人
向いている人
常に正確な時間を知りたい人、時間の正確さを求められる人。
(機械式が日に15秒程度狂うのに対して、月に15秒程度しか狂わない精度を誇ります。)
取り扱いに気をつかうことなく、気軽に使いたい人。
(機械式と比べ対衝撃性に優れ、磁気の影響も受けにくいです。)
維持管理に手間やお金をかけたくない人。
(電池が切れなき限りは、機械式のように定期的に「りゅうず」を巻く必要がありません。)
(機械式は3・4年ごとにオーバーホール費用が数万円かかります。)
向いていない人
腕時計に個性やこだわりを求める人。
(機械式と比べると、どうしても個性が薄い印象が否めないクォーツは、マニアを唸らせるのが難しいでしょう。)
お気に入りの腕時計を長く使いたい人。
(水晶振動子に寿命があるため、だいたい10年くらいで部品交換が必要となり、その時に部品が無い場合は修理不能となります。)
針の見た目や視認性(時間の見やすさ)にこだわる人。
(機械式と比べて動力が弱く、機械式のように長く太い針が採用できないため、視認性で劣ります。)
おすすめのクォーツ腕時計
グランドセイコー
モデル:SBGV005
年差±10秒の高精度。
午前0時に2000分の1秒で切り替わる「瞬間日送りカレンダー」。
下地処理にザラツ研磨を施すことで、歪みのない鏡面に磨き上げられたケース。
多面カットの略字で高い視認性を確保。
価格:¥300,000(税別)
ザ・シチズン
モデル:CTQ57-0955
年差±5秒の高精度。
使用時の落下の危険性を減らし、簡単なワンタッチの脱着を可能とする「三ツ折れ両プッシュタイプ中留」を採用。
軽く、錆びにくく、低アレルギー性のチタンを採用。
価格:¥280,000(税別)
オメガ
モデル:SEAMASTER AQUA TERRA 150 M QUARTZ 38.5 MM
日差ー0.5~+0.7秒.
傷の付きにくいサファイアクリスタルガラスを採用。
15気圧(150m)防水。
実勢価格:¥220,000(税別)前後
まとめ
クォーツ腕時計は、精度の高さ、扱いの気軽さなど、機械式腕時計にはないメリットがあります。
なかでも、上記に挙げた3製品などは、長く使うに値するものです。
機械式高級腕時計に憧れはあるものの、その敷居の高さに気後れしているあなたも検討してみてはいかがでしょうか?