一世紀以上の歴史がある機械式腕時計。
機械式腕時計は、扱いが面倒くさそう。
機械式腕時計は、時間がすぐ狂いそう。
機械式腕時計は、維持費がかかりそう。…など
あなたの機械式腕時計へのイメージはどんなものでしょうか?
そんな機械式腕時計についてのご参考にどうぞ!
機械式腕時計とは?
スイスの時計ブランド「オメガ」が1900年に、一般向け腕時計を発表してから一世紀以上の歴史があり、今も高級腕時計の象徴として、時計マニアから絶大な支持を得続けている。
機械式腕時計の心臓部にあたり、ケースの中に収められていて、時計の針を規則正しく動かしている装置を「ムーブメント」という。
機械式腕時計の「ムーブメント」はその駆動に、動力源となる「ゼンマイ」、動力を伝達する「歯車」、動力消費や歯車の回転速度を一定に保つ役割の「脱進調速機」の3つの部品で構成されている。
また、それらの部品のほぼ全ては、金属の機械部品である。
動力源が「ゼンマイ」なので、定期的にゼンマイを巻く必要がある。
この巻き上げ方式には、「手巻き」と「自動巻き」がある。
「手巻き」はその名の通り、「りゅうず」を手で回してゼンマイを巻き上げる。
「自動巻き」は、「ローター」と呼ばれるゼンマイを巻き上げる装置が、ムーブメントの中に組み込まれていて、腕時計を着けている人の腕の動きによってゼンマイを巻き上げる。
精度について
機械式腕時計は、一日あたり数秒から数十秒狂うとされている。
スイスのクロノメーター認定では、日差ー4秒から+6秒以内の精度が要求される。
日本のセイコーの自社規格「GS規格」では、日差ー3秒から+5秒以内を基準としている。
また、腕時計をつけている時間、着けている人の動き、気温などに左右されるので、日差は人によって、また日によってまちまちとなる。
部品の伸縮の影響で、暑いと遅れ、寒いと進むとされている。
厚さについて
機械式腕時計は、その仕組みと耐久性などを考慮した作りのため、基本的に厚いものが多い。
厚いものは、ケースの厚さが15mmを超えるものがある一方、高級腕時計ブランドである「ピアジェ」の世界一薄い機械式腕時計「Altiplano 900P」は、厚さ3.65mmと極薄。
価格について
安いものは、日本の「セイコー」のもので定価2万円台くらいから、高いものはスイスの「パテック・フィリップ」のもので億を超えるものまで、ピンキリである。
しかし、精度と価格には関係性がなく、高ければ精度も高いというわけではない。
高いものは、ブランド性であったり、宝飾が豪華で高価という理由が多い。
また、「ムーブメント」の違いが価格の違いにも表れており、汎用品のムーブメントを使用しているものと、自社生産のムーブメントを使用しているものでは、大きな価格差がある。
スイス時計でいうと、一般的に50万円以上するものは、自社生産のムーブメントを使用しているものが多い。
他は、外装の材質や仕上げであったり、ムーブメントの仕掛けの複雑さなどが価格の違いとなっている。
故障について
基本的に磁気や衝撃に弱く、複雑な仕組みのムーブメントを搭載するものなどは、壊れやすい傾向にある。
テレビやパソコンのそばに置いたり、落下させたりといったことで壊れる可能性があるので、取り扱いにはそれなりの注意が必要。
また、スポーツをするときなどの使用にも不向きである。
日常生活防水の仕様のものが多いが、基本的に水にも弱いので、洗顔の後はりゅうずの周りなどの水をしっかり拭き取るなどの注意が必要。
また、りゅうずを引き出したまま水に触れると、内部に水が侵入しやすいので特に注意。
メンテナンスと保管について
精度を安定させるために、常にゼンマイが十分な動力エネルギーを持っている必要がある。
「手巻き」の場合は毎日決まった時間に、十分にりゅうずを回してゼンマイを巻き上げる。
機種によって差はあるが、一般的にりゅうずを40〜50回程度回すと、ゼンマイが完全に巻き上がるとされている。
りゅうずが回らなくなってから、さらに回そうとするとゼンマイが切れ、故障の原因になるので注意が必要。
「自動巻き」の場合は、毎日8〜10時間くらい着用する必要がある。
「自動巻き」に「手巻き」機能が付いているものについては、手で巻き上げることもでき、ゼンマイの巻き過ぎによる故障防止のための機能も付いている。
また、長時間使用しない場合は、潤滑油の固着を防ぐために、月に一回程度はりゅうずを回してゼンマイを巻き上げることが望ましい。
ワインディングマシーンという、自動巻きの機械式腕時計を保管するものもあるが、あくまで時計を止めないためのものと考え、手巻きでゼンマイをしっかり巻き上げるほうがいい。
埃が多い、湿気が多い、磁気が強い、直射日光が当たる、火気のそば、振動が強い、高温、気温差が激しい、などの場所での保管は避ける。
オーバーホールについて
オーバーホールとは、時計の部品を全て分解し、清掃し、注油して元どおりに組み上げる作業のことで、一般的に3年から5年に一回くらいしたほうがいいとされている。
時計の誤差が大きくなった、よく止まるようになった、カレンダーの切替わりが遅くなったなどの症状が現れたら、オーバーホールが必要な時期。
作業料金はメーカーによってまちまちだが、3万円から8万円くらい。
まとめ
機械式腕時計は、クオーツ式に比べ、取り扱いやメンテナンスに気をつかう、オーバーホール費用が高額、精度が劣るなど、好きじゃないとなかなか付き合っていくのが難しい側面もありますが、熟練された技術を持つ時計職人の手によって、一本一本手作業で組み上げられた、こだわりの一品は、クオーツ式にはない味わい深さがあります。
あなたも一度試されてみてはいかがでしょうか?