あなたは、メガネのネジが緩んで、テンプルがグラグラになる、あるいは、ネジをなくしてしまった、といった経験をしたことがないでしょうか?
ネジなしフレームのメガネであれば、そういった煩わしさもなく、フレームの歪みに強いなどのメリットもあります。
最近では、ネジなしフレームのメガネは珍しくありませんが、そんなネジなしフレームのメガネを製造しているブランドの中から、これぞというブランドを厳選してみました。
IC! BERLIN(アイシー!ベルリン)
1997年にドイツのベルリンで、ハラルド・ゴシュリング、フィリップ・ハフマンス、ラルフ・アンダールの三人により創立されたブランドです。
三人が美大時代の「ネジと接着を使わないでメガネを完成させる」という論文をきっかけに、それまで例のなかった、シートメタルと呼ばれる、医療工業用で0.5mmという薄さのステンレスを使用したメガネを開発しました。
頑丈かつ柔軟で薄いステンレスを使用した、約10gの軽いフレーム、そして最大の特徴で特許にもなっている「ネジを一切使わない」差し込み式バネ蝶番(ヒンジ)で注目され、1998年のSILMO(フランスで開催されている世界最大級のメガネの展示会)で、メガネのアカデミー賞ともいわれている「シルモドール」を初出展で受賞しました。
裏話として、この受賞の前年、展示会に出展する費用がない彼らは、イタリアの展示会で、自分達が着ているコートの内側にサンプルのメガネを縫い付け、展示会場内で世界中から集まったバイヤーをはじめとする来場者に見せていて人だかりができ、ちょっとした事件になった、という話があります。
ベルリンの自社工場で手作りにより作られているそのメガネは、軽さに加え、溶接を使用していないことで可能となる壊れにくさ、工具を使うことなくすべてのパーツの組立・分解が可能といった特徴があります。
また、掛け心地の良さや、スーツなどのフォーマルなスタイル、Tシャツなどのカジュアルなスタイルのどちらでも合うファッション性の高さも評価されており、いわゆるオンとオフで取り替えなくてもよいと言われています。
LINDBERG(リンドバーグ)
1985年に検眼士ポールヨルン・リンドバーグによりデンマークで創業されました。
1980年代初頭にリンドバーグ自身メガネが必要となり、その時の「重く、堅く、掛け心地が悪い」メガネを掛けた体験から、理想のメガネ作りを目指したのが、ブランド設立のそもそものきっかけでした。
建築家のハンス・ディシングとの共同研究を開発パートナーに選び、チタン素材を用いたネジを一切使わない構造のフレーム「エアチタニウム」を考案しました。
超軽量かつ高い強度を誇るこのフレームの登場は、アイウェアの世界市場において革命をもたらしともいえる出来事でした。
リンドバーグのメガネは日本をはじめ、ドイツ、イタリア、フランスなど世界中の47もの権威あるデザイン賞を獲得しています。
フレームは約1.9gと超軽量で、ネジやリベットの使用、ロー付け接着は一切行われていません。
フレーム素材のチタンは、ペースメーカーや歯科医用として利用されている安全なもので、肌に優しいとされています。
またノーズパットやテンプルティップにも、低アレルギー性で、ずり落ちが防止できる医療用の安全なシリコンが使われています。
チタンの柔軟な性質により、メガネフレームが鼻を締め付けたり、ずり落ちたりするのを防ぐ調整が可能です。
spec ēspace(スペックエスパス)
2001年にデザイナーの山岸誉氏により日本で創業されました。
ブランド名は「空間・宇宙などの構造・性能」を意味し、「フレームによって空間を作り出す」というブランドコンセプトを掲げています。
メガネの名産地である福井県鯖江市の東部に位置し、個人で眼鏡製造業を営む職人が多く点在する河和田地区(旧河和田村)で、職人たちが受け継ぐ確かな技法と熟練の作業により生産されています。
平坦な日本人の顔に立体感を与えるフレームデザインのほか、主力モデルに使われている、ネジやヒンジの使用とロー付け溶接を行わない「シートメタル一体型フレーム」があり、そのフレームを使用したメガネは、軽さ、掛けやすさ、高い耐久性などが評価されており、最近ではアウトドアやスポーツ時に着用する人が増えています。
また、眼鏡職人の西野正美氏により手作業で仕上げられている、セルロイド製フレームのメガネも有名です。
10年近く眠らせてあったセルロイドを使用しているので形が歪みにくく丈夫で、弾力性により使用するほど顔に馴染むといった特徴があります。
まとめ
以上、ネジが使われていないメガネを製造しているブランドを3社取り上げてみました。
ネジがないことで、ネジを締め直す、ネジが緩んではずれる・紛失するなどの煩わしさから解放されたり、軽量化できたりといった様々な利点があります。
あなたもご自分のメガネにそのような煩わしさを感じたら、これらのメガネを手に取ってみてはいかがでしょうか?