二着目のコートには少しカジュアルなジャケットやコートを、と思っていても、スポーツ仕様の中綿ジャケットやダウンジャケットをスーツに合わせるのはちょっと野暮ったい。
それならラベンハムはいかがでしょう。
ラベンハムは日本に上陸した途端、スーツの上にキルティング・ジャケットを合せたコーディネートが瞬く間に流行り、冬のビジネススタイルのスタンダードとなったブランドです。
スーツにラベンハムのキルティング・ジャケットは、スマートかつエレガントなので、女性から見ても好感度の高い着こなし。
似たようなキルティングのジャケットやコートも出回っていますが、乗馬界でも用いられるほどしっかりとした作りと、窮屈さを感じない着心地の良い仕立てはラベンハムだけ。
ここではそんなラベンハムのジャケットラインをまとめてご紹介します。
後半では着用例のコーディネートもお伝えしますので、じっくりとご覧ください。
ラベンハムとは
ラベンハムのダイヤモンド・キルティング・ジャケットは日本でもすっかりおなじみになっていますが、どこで作られているのか、どんな企業なのかはあまり知られていません。
ここではLAVENHAMについてご紹介します。
ラベンハムの歴史
ロンドン北東部、SUFFOLK州にLAVENHAMという小さな美しい村があります。
17世紀の建物をそのまま保存し、石炭採取によって地盤沈下したために傾いた家も多くあるため、THE CROOKED HOUSE(クルックハウス)と呼ばれています。
その美しく歴史ある小さな村にラベンハムが設立されたのは1969年。
創設者Mrs. Elliotは、当時エリザベス女王に使える女官で、ある時女王の乗る馬用の毛布をキルティング加工した生地で作ることを思いつきました。
その当時馬用の毛布に使われていたのはジュート麻で作られたもので、保温性が悪く、濡れやすいものだったと言います。
Mrs. Elliotが発案したナイロン・キルティングのホース・ブランケットは王室だけでなく世間一般にも販売され、瞬く間に英国中に広まって乗馬用具業界での地位を確立しました。
それが1969年、LAVENHAMの誕生です。
その後、丈夫で軽く、保温性の高いキルティングは、その生地で乗馬愛好家自身が着用するジャケットを作って欲しいという声が高まりました。
1972年、多くの要望に応えてナイロン・キルティング・ジャケットが発売され、英国では愛馬とお揃いのジャケットを着た乗馬愛好家が増えました。
そして、同年LAVENHAMを象徴する「ダイヤモンド・キルティング・ジャケット」も発売され、LAVENHAMを決定的なブランドへと押し上げました。
このキルティング・ジャケットは実用性と高いファッション性、高品質さが高く評価され、現在のLAVENHAM製品の基盤となるものです。
当初はナイロンだけでしたが、その後はっションアイテムとしての需要も高まり、1982年にはポリエステル、ウール、カシミア、コットンなど、様々な素材が用いられるようになりました。
日本でも、ビジネススーツの上にLAVENHAMのジャケットを着るスタイルがよく見られますが、このスタイルは1990年にイタリアで流行ったものです。
また、GUCCIやA.P.Cを手がけるほか、乗馬ブランケットは英国王室とベルギー王室で使用されています。
現在「キルティング・ジャケットといえばLAVENHAM」と言われるほどその地位を確立し、英国産業界で最高名誉に当たる「クイーンズ・アワード」の2度にわたる受賞など、国内外でその実力が認められています。
ラベンハムのキルティングが他の製品と違う理由
ラベンハムの製品は、現在もサフォーク州サドバリーの自社工場で作られています。
ラベンハムの「ダイヤモンドキルト」は、ダイヤモンド型の角を交差させ、伸縮性のあるナイロンの上糸と、あえて毛羽立たせたポリエステルの下糸を使用しています。
そうすることでほつれを防ぎ、耐久性を高める工夫をしています。
キルティング生地も自社で製作しているため、様々な要望に応えることができ、馬の形やイギリス地図など、変形キルトを作ることも可能です。
ラベンハムのジャケットは、自社工場で一貫して作られていて、生地、スタッド、ウェッビングなどが厳選され、一着ずつ丁寧に縫製されています。
また、途中で何度も検品を重ね、高品質なものだけを世に送り出しています。
定番の「RAYDON」
RAYDONの4インチのダイヤモンドキルトは、サフォーク海軍にも提供されている防水ポリエステル。
クラシックスリムフィットキルトを使用しているため薄くて軽いですが、襟付きで暖かく、雨の日でもしっかり防寒してくれます。
フロントホック仕様のタイプ。
ボタンがないため開閉が楽な上、シルエットもダウンしてくれます。
ボタンを留める仕様。
内ポケットがあるため財布や定期券などが入れられます。
バックに通気孔をもつ2つのパッチポケットもあり、手を出し入れしやすい斜めの差し入れ口。
2016年秋冬は、内側の生地が明るい黄色をベースとしたプリント。
プリントは乗馬の絵柄です。
こんなところにもLABENHAMのこだわりが。
後ろ姿は動きやすいサイドベンツ。
よりアクティブに活動できます。
最もスーツに似合う「LEXHAM」
LEXHAM(レクサム)は、「ラベンハム史上最もスーツ似合うジャケット」と言われているジャケット。
現代的な細身のシルエットのスーツによくにあう逸品です。
前肩体型が多いと言われる日本人にも似合う前肩仕様で、肩の縫い目ラインが若干前に傾いたデザインにより、後ろ身頃のツッパリ感も感じさせません。
また、シルエットがシャープになるようにウエストには少しのくびれができるよう設計され、腕部分は自然に腕に沿うように前振り仕様になっています。
そのため着心地がよりフィットし、腕を上げても見頃が吊られにくくなりました。
暖かなヘリンボーン「HELMINGHAM」
ラベンハムのHELMINGHAM(ヘルミンガム)は、胸元にハンドウォーマーポケットがついたヘリンボーンのウールジャケット。
100%ブリティッシュウールを使用したこのジャケットは、ウエストポケットにもフラップ(蓋)とボタンがつき、他のジャケットと比べると野外向けにできており、外回りの多い人に重宝されています。
着丈はスーツの裾が出ないくらいの長さで、ジャケットとの重ね着やビジネススーツとの組み合わせにオススメ。
他に黒のスタンダードなヘリンボーンのデザインもあり、黒のコーディロイカラーは共通。
内側にはポリエステルライニングがあるので着脱もスムーズ。
通勤用として、また休日のカジュアルスタイルとしても楽しめます。
下半身もカバーする長めコート「CHILLESFORD」
暖かなキルティングコート。
ウールをメインとした混紡素材にはシルクも用いられており、上質な肌触りを実現。
腿まで隠れる長めの丈は、暖かさを増してとても機能的です。
生地にはカシミアとバージンウールのミックスフランネルを使用し、裏地はジャガードポリエステル。
フードの取り外し可能「DENSTON 2S」
定番のDENSTON(デンストン)が2016年秋冬からモデルアップして登場。
以前のものと比べて襟が小さくなり、着丈がほんの少し長くなりました。
また、2014年のスタンダード・ポリエステルがリニューアルされ、従来よりもマットな風合いで上品さがアップ。
さらに強度もアップし、撥水加工もされています。
デンストン2Sはすっきりとしたシルエットで、スーツの裾が隠れるのが特徴で、ビジネスシーンのスーツスタイルとして最適なコートです。
またフードの取り外しもできるため、休日のカジュアルスタイルのアウターとしても使用でき、オンオフに幅広く使えるヘビロテ必須のアイテム。
ステンカラーコート仕様「EUSTON」
EUSTON(ユーストン)はステンカラーコートタイプのキルティング・ジャケットです。
ステンカラーコートのディテールが踏襲されていて、襟は比翼仕立てでお尻まですっぽりと包み込む十分な長さでありながら、キルティング・ジャケットの特徴である軽量で保温性もあるため、ステンカラーとキルティングのいいとこ取りの優れたコート。
ステンカラーコートは上半身にボリュームが出るため、細身のスーツの上から合わせたオンのスタイルにマッチします。
バックスタイルはセンターベント、袖口には太さを調節するベルトがついているため、寒い日でも風が袖から侵入するのを防ぎます。
動きやすい「HINTON」
ラベンハムのラブンスター・キルティングと一枚のメルトンを切り替えたフード付きのモデル。
メルトン部分はバックスタイルの上部にも使用されているため通気性が確保され、後ろの袖をラグランにすることで運動量があります。
フードも立ち上がりが高く、スポーティーなスタイルです。
作業やカジュアルに「HENLEY」
後ろ身頃上部と下袖(後ろの袖)がメルトンの一枚布になっているため、腕の上げ下げがしやすくなっているモデル。
スポーティーな要素が多いため、スーツの上からというよりは休日のカジュアルファッションやセーターの上から羽織りたいジャケットです。
インナーにもOK「METTINGHAM」
ノーカラーMETTINGHAMは、袖丈が短めに設定してあるため、アウターとしてはもちろんインナーとしても着用可能。
特徴的なひょうたんキルト生地を使用しています。
ジョッキー気分なブルゾン「SNAPE BC」
完全にカジュアル仕様ですが、ジャケットというくくりのためご紹介しますね。
SNAPE BC(スネイプ)は裏地のカラフルなホースプリントが特徴的なジョッキーをイメージしたブルゾン。
ジョッキーの勝負服「ジョッキーシルク」のディテール、スタンドカラーやフロントのファスナー、見頃の前後差などをデザインに採用しています。
ジョッキーが身につけるシッキーシルクは、オーナーによって配色や切り替えのデザインが違うそう。
休日のアクティブなスポーツシーンに大活躍するデザインですね。
ラベンハム|コーデコレクション
ジャケパンのジャケットにラベンハム。
襟の位置が高いコート・ジャケットは上までボタンを閉めてしまえば保温性も抜群。
冬の寒い時期にはありがたいアイテムですね。
元々は乗馬のためのジャケットですが、ファッションとしての需要が高く、ビジネスに使えるジャケットのラインがたくさん出ています。
内勤でジャケパン愛用者なら、こんなスタイルでの通勤も可能。
こちらはニットジャケットの上に着用。
ジャケットとコートの間のデザインだからこそできるコーディネートですね。
スーツの上に着用するラベンハム。
ビジネスマンはこのスタイルが一番多いのでは。
カラーもグレーやブラック、ネイビー、カーキなど、ビジネススタイルに合う落ち着いた色味が多いのも嬉しいところ。
ネイビーのキルティング・ジャケットは、まるでスーツの一部のように、紺のスーツに自然に馴染みますね。
紺はビジネスのスタンダードなので、グレーのスーツにもオススメの色。
ラベンハムのコートは、ハーフ丈が充実しているため、スーツの裾が出ず、ゆったりと着られます。
キルティング・ジャケットの中にキルティングベストを着た、最強スタイル。
ラベンハムはキルティングベストもたくさん出しています。
ベストと合わせれば冬の通勤も暖か。
ベストとコートを同素材のキルティングで組み合わせたオシャレなコーディネート。
ウール地のマットな仕上げのキルティングは、落ち着いた印象です。
ダークネイビーのジーンズと。
ヌバックのシューズがキルティングの暖かさをさらに引き立てています。
キルティング・ジャケットを、ネイビージャケットのように着用した好例。
トリコロール・ニットのボーダー、こげ茶のシューズがブリティッシュ・トラッド感を演出しています。
休日にもジャケパンスタイルに活躍するラベンハムのジャケット。
軽くて着心地が良いのにきちんと感も出せるため、だらしなくならないのが良いですよね。
日本のビジネスマンにはブラックやグレーが主流のラベンハムジャケットですが落ち着いたカーキ色ならビジネスにもカジュアルにも着用可能です。
ちょっとかしこまったタウンデートにも。
ビジネスシーンでもカジュアルシーンでも着回せるデザインは重宝します。
ラベンハムの薄いキルティングだからできる、ジャケットにキルティング・ジャケットをインナーとして着用している例。
ヘリンボーンのコートは見た目にも暖かです。
タートルネックの襟元で完全防備。
晩秋の一泊二日の旅行などにこんなコーディネートもオシャレですね。
ラベンハムのジャケットは軽くて暖かなので、旅行や出張にもぴったり。
寒い時期のツーリングにもラベンハムは活躍します。
スポーツタイプのジャケットはもちろん、日頃通勤で使用しているジャケットだって、ジーンズにもよく合うんです。
ジャケットの襟を立てて着れば、オシャレ度もアップする上、首元から侵入してくる風も防いでくれます。
ラベンハム まとめ
ラベンハムのジャケットラインを一挙にご紹介しました。
ジャケットと一口に言っても、用途や着用スタイルによって求める形が変わって来ますが、それぞれのスタイルに細かく対応できるのがラベンハムのジャケット。
スーツの上からハーフコートのように羽織るビジネス仕様に、ジャケパンの代わりに着るジャケットに、完全にコートのように着用するために、休日のカジュアル仕様にも着られるオンオフ兼用にと、様々な選び方ができます。
ラベンハムのキルティングが丈夫なのは、乗馬にも耐えられるよう特殊なキルティングの縫い方をし、厳しい検品を何度もしているから。
また、撥水加工が施してあるものもあり、防寒防雨対策にも是非欲しいブランドです。
ご紹介したラインナップは、
・ラベンハム定番の「RAYDON」
・スーツの上に着るなら「LEXHAM」
・シックなヘリンボーン仕様の「HELMINGHAM」
・丈が長いコート「CHILLESFORD」
・フードの取り外しが可能な「DENSTON 2S」
・ステンカラーコート仕様「EUSTON」
・動きやすさ抜群の「HINTON」
・腕が動きやすい「HENLEY」
・ノーカラーの「METTINGHAM」
・ジョッキーシルクを真似て作られた「SNAPE BC」
そして、最後にラベンハムの様々な着こなしの参考になるコーデコレクションをご紹介しました。
ジャケパン、ビジネススタイル、カジュアルスタイルの参考にしていただければ幸いです。
二着目のコートにはラベンハムを選び、軽さと動きやすさ、そして暖かな着心地を堪能してくださいね。