春のアウターは流行りのステンカラーもいいけど、ダンディに決めるならやっぱりトレンチコート。
草食男子なんて言葉が行き交う昨今、女性が真に求めるのは「男らしい男性」だってご存知でしたか?
年の差婚では若い男性が母親くらいの女性と結婚したりしますが、一説によるとあれは母親像を無意識に求めているから。
若い女性は反対に、自分の存在を庇護してくれる、父親のような頼れる男性を求めます。
これはもう、時代関係なく、普遍的なものなのだとか。
見かけがカッコイイ男の子は観賞用やオトモダチとしてはいいけど、深く付き合うならしっかりした頼れる男性が断然モテますよ。
そんな頼れる男性像を象徴するのがトレンチコートではないでしょうか。
スタイリッシュなシルエットだけでなく、防水機能や吸湿性を兼ね備えた多機能なコートを選ぶ男性は、しっかりして頼りになりそうな印象です。
そしてそのコートがその辺の大量生産品ではなく、トレンチの本場である英国の老舗ブランドだとしたら、彼女の中のあなたの「デキる男度」がぐんと上がっちゃいますよ。
トレンチコートは主張してカッコつけたらアウトなので、あくまでもさりげなく着こなしてくださいね。
そんなこと言ったって、どう着こなしたらいいかわからない、と言うあなた。
では、トレンチコートの着こなし方をはじめ、おすすめのブランド、トレンチコートの機能性まで、トレンチコートの全てをご紹介しますね。
読み終える頃にはトレンチコートを熟知しているので、お好みのトレンチコートの目星をつけられますよ。
トレンチコート|春の着こなし
ただ羽織るだけでも格好が付くトレンチコートですが、着こなし方によってワンランクアップすることができます。
トレンチコートはスーツにはもちろん、ジーンズにも合う優れもの。
これからジャケパンスタイル、スーツスタイル、カジュアルスタイルに分けて、その着こなし方を見てみましょう。
トレンチコートとジャケパンスタイル
コートに限らず、洋服はサイズ感が第一。
春にもしシャツの上から羽織るなら、スーツの上から着ることも想定するトレンチだとダブつくことが考えられますね。
着るシーンによってどんなサイズ感のものを購入するかを決めるのも大切です。
オーソドックスなジャケパンスタイルにリネン混のトレンチコート。
トレンチもリネンが使われた生地だと、さらに軽やかになります。
最近ではリネンも秋冬に着ることを提唱するブランドが出てくるなど、オールマイティな季節に使えるので真冬を除いては着まわしやすいアイテムですよ。
オフホワイトのハーフ丈トレンチコート。
インには白に近いニット、ダークな色のパンツを合わせています。
上半身に白っぽい色を持ってくると、爽やかな印象になるので、オフホワイトに白っぽいニットは、素材感よりも爽やかな印象が勝ち、肌寒い日に真似したい春のコーディネートです。
タートルネックのニットとパンツに合わせたスタイルです。
ジャケットは着ていないですが、このスタイルならジャケパンを合わせればカジュアルオフィスにも合うということで、ジャケパンスタイルに分類しました。
さりげなく首にかけた揺れるスカーフがアクセントになっていますね。
黒のトレンチコートでも、明るめのブラウンと合わせたり、軽い素材のスカーフと合わせたりすることで重くなりすぎないコーディネートが楽しめます。
同じ黒のトレンチコートにブラウンのニットを合わせたコーディネートをもう一つ。
若干薄めのグレーのテーパードパンツを合わせて抜け感を出しています。
足元に濃いブラウンを持ってくることで、全体が引き締まり、なおかつまとまっていますね。
トレンチの定番、オフホワイトのトレンチコート。
中にはホワイトシャツの上に襟付きのニットを合わせています。
上半身はリラックスしているのにウールのパンツを合わせてベルトを締めると、ジャケパンに匹敵するきちんと感が出ますね。
トレンチコートはそれ自体がカッチリとしたスタイルなので、ラフな格好の上から羽織るだけで決まるのが良いところ。
トレンチコートとスーツスタイル
昭和の頃に流行ったトレンチコートは肩幅が狭くタイトに着るスタイルでしたが、今はたっぷり目に着るのがトレンドです。
ブラックやネイビーのトレンチコートはビジネス色が強く、スーツにとてもよく合います。
ベルトで縛るスタイルは簡単にでき、かつ誰にでも似合う方法。
ボタンは閉めても閉めなくても、ベルトが押さえてくれるので決まりますよ。
肌寒い時はもちろん、平時も襟を立てると一瞬でかっこよくなるのがトレンチの真骨頂。
前ボタンも閉めずに羽織っただけ・・・でもバッチリ決まるのがトレンチ。
とても雰囲気がありますね。
トレンチは後ろ姿もカッコ良いのがミソ。
ウエストのベルトをこんな風にラフに垂らしておくのも、独特な雰囲気を生み出しますね。
トレンチコートとカジュアルスタイル
ジーンズと、ラフに着こなしたトレンチコート、そして中折れ帽。
3つのアイテムだけでワイルドな雰囲気を醸し出しているコーディネートです。
きちんと着ないで少し崩したくらいが、ワイルド感が出てきますね。
ブルーやパステルミントなど、最近はカラーのトレンチコートもいろいろ出ています。
春ならカラフルなトレンチも許容範囲内。
カラフルなトレンチコートなら、それを主役にしてインはモノトーンで決めるとすっきりとしたコーデになりますよ。
ぜひトライしてみては?
ラフな格好に大きめ襟のトレンチコート。
マフラーやリュック、ニット帽が効いていますね。
こんな着方も楽しい。
トレンチコートをよく知っている上での着こなしは、幼くなりすぎないカジュアルなので、女性からは好印象なスタイルです。
シャツの代わりにトレーナーでもいけそうですね。
トレンチコートのお勧め3ブランド
せっかくトレンチコートを購入するなら、本格的なものをと思いますよね。
そこでお勧めしたいのが本格仕様のトレンチコートを作り続けている3ブランド。
元祖トレンチコートと言われるバーバリーとアクアスキュータム、そして冒険家のために開発されたグレンフェルです。
それぞれのトレンチコートをご紹介しますね。
トレンチコートの元祖|バーバリー
バーバリーでは2017年現在、4タイプのクラシックなトレンチコートを展開しています。
それぞれチェルシー、サンドリンガム、ケンジントン、ウェストミンスターと地域の名前がついており、ビジネスライクなもの、カジュアルにも着られるものなど、それぞれ個性あるラインです。
生地はいずれも防水加工が施されたコットンのギャバジンが使用されており、機能的にも抜群です。
バーバリーには他にもカシミアやウールなど、多彩なトレンチコートが揃っています。
もう一つのトレンチコートの元祖|アクアスキュータム
アクアスキュータムのトレンチコートはスタイリッシュなシルエットが特徴です。
普段着のアウターの延長を洗練されたスタイルにしたシアーウォーター、最もクラシカルなコービー、チャーチルやケーリー・グランドが愛用したことでも有名なブロードゲイト、ステンカラーとトレンチの間をとったフィリー。
特にコービーのダブルブレストは第一次世界大戦の際に英国軍のために開発されたままの要素を多く残したモデルで、ハンフリー・ボガートが愛用したコートとしても有名です。
冒険家のためのトレンチコート|グレンフェル
グレンフェルのトレンチコートは、クラシックなラインと現代的にアレンジされたラインがあり、それぞれで商品展開がなされています。
冒険家で医師でもあったグレンフェル卿に要請されて作られただけあり、南極や北極探検で隊員の命を守った本格的な高機能なトレンチコート。
生地はグレンフェル・クロスと呼ばれる防水・防風・通気性を備えたオリジナル生地を使用し、裏地やライナーにはミックスウールやアルパカを使用するなど防寒も万全。
しかもライナーを取り外せば春先まで着られるので、秋から冬をまたぎ、春から梅雨の時期まで活躍します。
モダンなラインはグレンフェル・クロスを使用し、なおかつ現代的なスタイルにアレンジされたものです。
ちなみにこのブラックトレンチコートは、ファーの部分が取り外せるので春秋にはファーなしで着用し、冬の寒い時期にはファーをつけて首を暖かくすることができます。
ベルトなどのディテールもスタイリッシュでビジネス・カジュアル両方に使うことができ、汎用性の高い一着ですね。
トレンチコートの7つのディテールと機能
トレンチコートには肩の飾りベルトや右胸の胸当て、ウエストのベルトのDの形をしたリングなど、どんな意味があってついているのかわからないディテールが沢山ありますよね。
これらのディテールは、実はそれぞれ必要があって作られたものなのです。
トレンチコートの起源
トレンチコートの起源は、第一次世界大戦の際、イギリス陸軍から要請されて作られた防水機能に優れた防寒着でした。
イギリスといえば雨の多い土地として有名ですが、戦場で何十日も外で戦わなければならない兵士たちは、雨風や泥、寒さで体力を奪われます。
そんな時に役立ったのが、特別な防水加工が施されたコットン生地(ギャバジン)で作られたコートでした。
第一次世界大戦では雨でぬかるんだトレンチ(塹壕)での塹壕戦で、いかなる天候にも対応したこのコートが大変重宝されました。
英国軍に要請されて作ったトレンチコートの元祖は、バーバリーとアクアスキュータムと言われています。
また、実用性に富んだこのコートは戦後も人々に愛用され、特に機能美にも優れていることから、冬の定番アイテムとしてその人気を不動のものとしました。
さらに、ハンフリー・ボガートなどの俳優が映画の中やプライベートでも着用したことにより、トレンチコートはハードボイルドなイメージが定着していったのです。
トレンチコートの各部位と役割
トレンチコートのディテールの名称とその役割を、上から順番に見ていきましょう。
トレンチコートの肩部|エポレット
まず、肩にあるショルダーストラップですが、「エポレット」と言い、階級を表すバッジをつけ、肩章と同じ意味を持ちました。
機能的には銃や水筒、双眼鏡などをかけて滑り止めの役割をしたほか、味方の兵士が倒れた時にはこのエポレットを掴んで引っ張るのにも役立ったと言います。
トレンチコートの胸当て|ガントラップ(ストームフラップ)
次に右胸にある布です。
この名称を「ガンフラップ」「ストームフラップ」と言い、その名の通りライフルガンを発砲する際に肩への衝撃を和らげる働きをしました。
また、襟を全てボタン留めにした時に、雨だれの侵入を防ぐ役目もあったといいます。
男性用コートには右、女性用コートには左に施されていますが、これは合わせの上につけることで雨を防ぐからで、現在でも右前(女性)もしくは左前(男性)と合わせが上になる方のみにつけられています。
トレンチコートの首ストラップ|スロートラッチ
襟の後ろにあるベルトですが、スロートラッチといい、雨や風が侵入するのを防ぐため、フック留めした襟元をさらに上から保護するためにつけられています。
本格的なクラシカルなトレンチコートに見られるディテールで、チンウォーマー、チンストラップとも呼ばれ、現在では省略されたトレンチコートも多いです。
トレンチコートの背中|ストームシールド
肩につけられた通称アンブレラヨークは、ストームシールドとも呼ばれ、肩から背中が二重構造になっています。
これは、激しい雨でも水が侵入するのを防ぐ役割を持つほか、庇(ひさし)のように水滴を落とす役目も果たしました。
トレンチコートの輪|Dリング
ウエストのベルトについた金属製のDリングは、手榴弾を吊り下げる役割がありました。
誤って落とさないよう、しっかりと固定されており、今もその名残としてこのディテールが残されています。
トレンチコートの手首のストラップ
手首についたストラップは、ウエスト同様締め具合の調節がききますが、このストラップを締めることによって、冷たい風の侵入を防ぐ役目がありました。
トレンチコートの裾|インバーテッドプリーツ
背後の裾部分には大きくとったプリーツが施されています。
プリーツは左右から摘んだひだ山を突き合わせた構造で、内側にはボタンがついています。
戦場で馬に乗るときなどは、このボタンを外すと布地が大きく開くようになり、足さばきを妨げないために考案されたとのこと。
春のメンズトレンチコートまとめ
本格トレンチコートは、ジャケパンにもビジネススーツにも、そしてジーンズスタイルにも合う、コーディネートしやすいコートです。
また、ライナーがついているものを選べば、秋口から冬、そして春まで着られて汎用性が高いのも魅力。
軍用や冒険家のために開発されたとあって、コートの中では防水・防風・耐久性など機能性も飛び抜けて優れています。
しかも軍服の上から着ていただけあって、カッチリとしたデザインはきちんと感があり、ワイルドな雰囲気もありますよね。
女性は機能的でスタイリッシュなアイテムを身につける男に惹かれます。
機能的でスタイリッシュなトレンチコートは、男らしくて頼りになりそうで、しかもワイルドといっても野性味の意味ではなく、包容力がありそうなイメージ。
そんなトレンチコートを選ぶ男性は間違いなくできる男だと思うでしょう。
また、トレンチコートを着るなら知っていると楽しいミニ知識として、各ディテールの名称や機能の由来をご紹介しました。
実際に戦地で使われていた名残りだと思うと、歴史を受け継いでいる気がしてロマンを感じますよね。
機能性を兼ね備えたしっかりとしたブランドのトレンチコートを選ぶ際におすすめの3つのブランドは、バーバリーとアクアスキュータム、そしてグレンフェル。
バーバリーとアクアスキュータムはトレンチコートの元祖と言われるブランドだし、グレンフェルは冒険家で医師でもあったグレンフェル卿の依頼によって作られたトレンチコートなので、何れ劣らぬ高機能な生地のコートです。
それぞれのブランドのトレンチコートには個性があり、どれを選ぶかはお好みの問題です。
しかしどのコートを選んだとしても、ダンディに決まることは間違いありません。