今、日本のファッションブランドに勢いがあります。
岡山のデニムの技術が海外で高い評価を受け、トップブランドで「ジャパニーズデニム」として生地に使用されていたり、日本独自の生活から生まれた「空気を含む服」「シンプルで無駄のない粋」を表現するブランドが現れたりしています。
元々海外から入ってきた文化や技術を自己流にアレンジすることが得意な日本ですが、歴史の中で培ってきたその技術と、持ち前の繊細さや緻密さは海外からも注目されていますね。
ファッション界でも次々と新しい国内ブランドが生まれていますが、この国内ブランドを「ドメスティックブランド」と呼びます。
国内外で注目されるドメスティックブランド、あなたのお気に入りブランドもきっとあるはず。
今回は、そんなドメスティックブランドの気になるランキングをご紹介します。
あなたのご贔屓のブランドは何位でしょうか?
消費者アンケートNo.1はAKM
ドメスティックブランドも、ロック系やストリート系、アメカジやハイファッションなど、分野も様々なので、一概に人気No.1と決めつけてしまうのは少々気が引けます。
ただ、やはり全体を見渡して、需要が多い順になるのではということだけご理解いただければ、と思います。
某メンズファッションに関するランキングサイトでは、口コミや消費者のアンケートを元に、ドメスティックブランドの人気ランキングを行いました。
それによると、
1位:AKM(エイケイエム)
2位:ATTACHMENT(アタッチメント)
3位:LOUNGE LIZARD(ラウンドリザード)
4位:LAD MUSICIAN(ラッド ミュージシャン)
5位:SHELLAC(シェラク)
となっていました。
その後にリチウムオム、ファクトタム、ダブルジェイケイ、パラノイドと続いています。
【AKM(エイケイエム)】
1位のAKMは20〜40代までの幅広い世代のファン層から支持されるブランドで、上質なミニマムファッションを展開していることで知られています。
また、雑誌LEONやOCEANSなどにもたびたび登場し、クオリティの高いメンズファッションブランドとして有名で、年配の方でもおしゃれに着られるのがポイントの高さではないでしょうか。
【ATTACHMENT(アタッチメント)】
20〜30代くらいの世代を中心に支持されていて、糸から作るこだわりのあるブランド。
シンプルでモダンなデザインが人気で、計算されたシルエットを楽しむ比較的若い層向けのメンズブランドです。
【ラウンジリザード】
コストパフォーマンスが良く、作りも良いということで20代のメンズファッション雑誌にも良く取り上げられているブランド。
ラウンジリザードは、八重樫学氏、東郷達也氏、有働幸司氏の3名によって立ち上げられたブランドです。
その後オリジナルブランドを立ち上げるために有働氏と東郷氏が脱退しています。
製品はシャープかつシンプルで、どんなファッションにも合わせやすいアイテムが多いのが魅力です。
そして、同じ型の商品をあまり出さないため、どのアイテムも「自分のためだけの一着」というオリジナル感を味わえます。
【LAD MUSICIAN(ラッド ミュージシャン)】
音楽とファッションが基本コンセプトとなっているブランド。
音から得られるインスピレーションを基に、独自の形を作り上げています。
性別や国境、年齢を超えた自由な世界を表現し、良い力の抜け方をした服が魅力的。
価格帯もお手頃で、シンプルでシャープすぎないデザインが広く受け入れられていると考えられますね。
【SHELLAC(シェラク)】
SHELLACとは、「打ちのめす、ぶち壊す」という意味を持つスラング。
ありふれた常識を壊す「男」の本質と美学を追求し、骨っぽさと色っぽさの共存をコンセプトとしているブランドです。
レザー製品を得意とし、反骨心や滲み出るパワーを表現した織りや染めで世界観を作り出しています。
GQ番付でNo.1はヨージ・ヤマモト
2015年に世界が注目するアメリカのメンズファッション雑誌「GQ」の日本語版で発表されたドメスティック番付。
結果はご覧の通りでした。
この番付の評価基準は、こうなっていました。
1) 世界に通用するクリエーションとクオリティを備えていること
2) 大人が着ても似合うこと(ラグ・ストはこの限りではない)
3) 今の時代にあっていること
この3項目を基準に厳選したと言っています。
ちなみにラグ・ストとはラグジュアリー・ストリートの訳で、大人も着られるストリートファッションという意味です。
ストリートファッションまで含めてしまうと、もうカオス状態になってしまうので、今回は判定には最初から参加させていないよ、ということなんですね。
そして、上位を占めたのはやはり世界に通用するということで、ヨウジヤマモトやイッセイミヤケ、ギャルソンなどでした。
この番付は、あくまでもパリコレの常連であるなどラグジュアリーなハイファッションと呼ばれるものが評価されていますよね。
普段タウン着として実際に購入するのにはちょっと奇抜すぎるデザインだったり、価格的に手が届かないと思う人も多いはず。
【ヨウジヤマモト】
黒い服で有名なヨウジヤマモトですが、1981年のパリコレで、当時タブーとされていた黒を全面に押し出したショーを発表し、「黒の衝撃」と称されました。
体と服の間に空気を孕むようなシルエット、素材感で表現するレイヤードヤドレープは、ファッションの美意識を覆しました。
また、メンズ服の伝統をレディースに取り入れるなど、あらゆる固定概念を打破する反骨精神を突きつけ、モード界に革命を起こしてと言われています。
【イッセイミヤケ】
1971年、三宅一生がイッセイミヤケとしてニューヨークにコレクションを発表したのが始まり。
創業当初から現在まで「一枚の布」という概念に貫かれた服作りは、一本の糸からオリジナルの素材を開発し、体とそれを覆う布の間に生まれる「ゆとり」や「間(ま)」の関係を追求しています。
【コム・デ・ギャルソン】
1969年にデザイナー・川久保玲によって設立されたプレタポルテブランド。
アシンメトリーな造形美を持つ独特な服はあまりにも有名。
ファ板の意見は?
ファ板とは国内最大の掲示板「2ちゃんねる」のファッションに特化した書き込みを集めた掲示板のこと(http://fashion-news.doorblog.jp/)。
その掲示板に、ファッション通からのGQ番付についての意見が書かれていました。
・ヨウジヤマモトとか着てる人いるの?
・破竹の勢いのカラー、サカイwww 一体年商いくらなの?って話だよ。
・サカイで20億円くらいだろうね
けど、世界的に見ても新鋭デザーナーブランドでそれだけの燃焼があるブランドはそうそう無いよ
・前頭にファッション好きでもまだ知っている人の少ない本当の新鋭ブランドがたくさん入ってるじゃん
・世界に誇れる、の定義って何だろう?
・オリジナリティの問題だろうね この番付は、知名度があってもオリジナリティや、そのブランド“らしさ”が無いブランドはバッサリ切り捨てているように見える
皆さん様々な意見ですが、ランキングはそれなりに評価されていると見て良いでしょう。
それにしても、消費者や口コミのランキングとは、かなりの差がありますね。
しかし、こうしたハイファッションを作り出すブランドが世界で牽引してくれるおかげで流行ができ、その流行が反映されて全体のファッション界も盛り上がるのですから、引き続き頑張っていただきたいところです。
そのほかの人気ドメスティックブランド
さて、口コミや番付のラインキングに入っていなくても、優秀なドメスティックブランドはまだまだあります。
ここでは、ランキングに関係なく、優秀なブランドを少しご紹介しますね。
【ヒステリックグラマー】
ドメスティックブランドといえばこのブランドを最初に思い浮かべる人も多いはず。
それほど知名度が高く、誰でも一度は耳にしたことがあるのでは無いでしょうか。
若者世代の「カッコイイ」ブランドの代表格です。
【リチウムオム】
素材の良さやミニマルなデザインとシルエット、そして繊細な服が特徴のブランドです。
ユニセックスでタイトかつモッズなシルエットが音楽シーンにハマり、【Alexandros】やback numberなどのロックバンドとのコラボも果たしています。
【ファクトタム】
デザイナーの有働幸司氏が、ラウンジリザードを立ち上げた後独立の道を選び立ち上げたオリジナルブランド。
ファクトタムはラテン語で「勝手に生きろ」という意味だそうで、ブランド名はチャールズ・ブロウスキーの小説タイトルから名付けられました。
ブランドのモチーフは、大好きな映画や音楽からインスパイアされたもの。
また、海外を旅行して得たイメージが、その研ぎ澄まされたデザインに落とし込まれています。
【ルイス(Lui’s)】
モテる男のワードローブをテーマにしたモードとストリートをミックスしたコーディネートを提案するブランド。
セレクトショップでもあり、自らのオリジナル製品も手がけています。
質感や着心地を重視しているので、少し割高感があっても品質を考えれば相応というところ。
【ユリウス(JULIUS)】
独特な世界観があり、好きな人はすごく好き!となるはず。
圧倒的なスケールで作り出されるアイテムは、とても独創的。
もはやアートと呼べるかもしれません。
【junhashimoto(ジュンハシモト)】
「ファッションに疲れた大人の男」のための服と言われるブランドで、主に30代からをターゲットにしています。
シンプルな見た目と、凝ったディテールが特徴で、着る人の「実用的な美意識」を引き出すことを目的としています。
余分な装飾を取り除き、服そのものの美しさにこだわったスタイルで、日本の「粋」とイタリアの美意識を融合させた服作りをしているブランド。
また、橋本氏はwjkを創設したことでも有名。
【wjk(ダブルジェイケイ)】
20代後半くらいからの世代に人気の高い、いわば日本を代表する有名ブランド。
ワイルドなミリタリーやタウン向けのキレイ目アウターなど、女性が見ても素直に「カッコイイ」と思えるデザイン。
赤とネイビーと白のチェックは不動の人気があり、見れば「ああ、このチェック」となる人も多いはず。
【nonnative(ノンネイティブ)】
ノンネイティブとは「属さない、固有されない」という意味。
きている服にとらわれない生き方を提案し、ディテールやロゴなどによるブランド主張よりも、着心地やシルエット、風合いにこだわる服作りを目指しています。
日常の中で自然に放つ雰囲気や空気を大切にするというブランドの姿勢が、心地よさを求めるファンを集めています。
【VADEL(バデル)】
wjkの元デザイナーが立ち上げた大人のためのカジュアルブランド。
バデルとはアラビア語で満月の発音を記号化した造語。
デニムやレザーを使った高級感のある落ち着いたカジュアルは、ストリートを卒業した大人に来て欲しい、スタイリッシュなデザインです。
【MARKAWARE&marka(マーカウェア&マーカ)】
大人のための服作りがコンセプトのこのブランドは、シンプルでスタイリッシュな服は、洗練された大人が最後に辿り着くべき服として提案しています。
すっきりとしたデザインと絶妙なシルエットは着るだけでサマになるものばかりです。
【ripvanwinkle(リップヴァンウィンクル)】
吟味された素材とこだわりのカッティングが魅力のブランド。
モノトーンやスモーキーを基調としているラインナップは、都会的でスポーティーな印象を受けます。
今更だけどドメスティックブランドって?
ちなみに、ドメスティックブランドという言葉、聞いたこともない人もいると思うので、簡単にご説明しますね。
ドメスティックブランドとは、簡単にいってしまえば日本のブランドのことです。
ドメスティック(domestic)は「家庭的、国内・自国に関するさま」を表す英語。
つまり、言葉そのままの意味で「日本のブランド」ということですね。
単語が長いので「ドメブラ」「ドメ」なんて訳されることもあります。
インポートブランドは海外から輸入されたブランドを日本で販売しているもの、ライセンスブランドは、日本の企業が海外のブランドに名前を使用する許可を得てデザインし、販売しているもののこと。
それに対し、ドメスティックブランドは、日本国内で生産している日本生まれのブランドのことです。
・ドメスティックブランド・・・サリバン、wjk、ヒステリックグラマーなど
・インポートブランド・・・エルメス、グッチ、フェラガモなど
・ライセンスブランド・・・ポロ・ラルフローレン、ポールスミス、ckカルバンクラインなど
ちなみにインポートブランドとライセンスブランドは混同されがちですが、価格帯を比べてみればなんとなく分かるかもしれません。
というのも、インポートブランドは海外ブランドのものが流通されるため、途中でバイヤーが間に入って価格が本場より高くなる場合が多くなります。
一方ライセンスブランドはライセンスを許されているため、日本国内でその名前を使って生産販売しても良いことになっています。
そのため比較的低めのコスト設定で販売することが可能なのです。
ドメスティックブランドの価格は日本で生まれ、日本で販売するわけですから、さらにコストを抑えられます。
海外ブランド=品質が良いという昔ながらの固定観念がありますが、もともと日本の技術は世界の一流ブランドからも頼られるほど精密で素晴らしいもの。
ドメスティックブランドの製品は世界にも負けない日本の技術で作られるので、気に入ったブランドが見つかればラッキーですよね。
ドメスティックブランド人気No.1ブランドまとめ
口コミや消費者によるドメスティックブランドのランキングと、GQ誌による東西ドメスティックブランド番付をご紹介しました。
あなたのお気に入りブランドは何位でしたか?
入ってきた文化を模倣し、その技術を高めることが得意な国、日本。
その歴史に培われてきた精密で繊細な感性を反映する国内ブランドが、今次々と誕生しています。
消費者によるランキングでは、AKMが1位の座を獲得しました。
また、2015年GQ誌のドメスティックブランド番付ではヨウジヤマモトやイッセイミヤケ、ギャルソンなどが上位を占めていましたね。
もっともGQ誌ランキングは、「大人が着ても似合うこと」や「世界に通用するクリエーションやクオリティを持っていること」が評価基準だったため、消費者のアンケートによるランキングとは異なる結果が出て当然です。
パリコレのランウェイで見るような服は、普段は着ませんものね。
一部では、最近の消費者はドメスティックブランド離れが進んでいるともささやかれているようですが、実際は新しいブランドが次々と誕生し、元気そのもの。
「その服、どこで買ったの?」と思わず聞きたくなるようなスタイリッシュな大人服も、そこそこのお値段で手に入ります。
これからもドメスティックブランドから目が離せませんね。