花粉の季節、家の中にまで花粉を持ち込みたくないですよね。
特にコートにはたくさんの花粉が付いています。
毎年2月を過ぎた春先から花粉が飛散し始めますが、この時期にはまだまだコートが手放せません。
しかし、外出先から帰って来て家の中でコートを脱ぐと、たくさんついた花粉をそのまま室内に放出することになります。
家の中にまで花粉を持ち込むと、24時間くしゃみや鼻水と戦わなくてはなりません。
特に衣服についた花粉は落ちにくく、1時間外出した際に服につく花粉の量は、1時間窓を開けていた時に入ってくる花粉の約6倍とのこと。
コートになんの花粉対策もしていないと、仕事から帰って来て花粉をそのまま家まで持ち込んでいるのです。
そこで、ここでは花粉をプロテクトするメンズコートをご紹介します。
花粉がつきにくいコートなら、家の中にまで花粉を持ち込まずにすみますよ。
花粉がつきやすい生地、つきにくい生地
花粉が本格的に舞い始め、家の中をこまめにフローリングシートで掃除しても、毎日サラサラしています。
家の中の花粉の多くは外から持ち込まれるもの。
そして外出から帰った際に家の中に持ち込む花粉のほとんどは、服についているものが落ちることが原因と言われています。
だったら、玄関先で払って落としてしまいたいですよね。
しかし、繊維の中に入り込んだ花粉はなかなか落ちてはくれません。
花粉がつきやすい生地は、ウールやフリース、ニット、ファー素材などの表面が凸凹している素材です。
表面の凸凹した繊維に花粉が絡まるので、払っても落ちにくいのですね。
また、摩擦で静電気が起こるので、ますます花粉を引き寄せてしまうそうです。
反対に、花粉がつきにくい生地もあります。
表面に凸凹が少ないものや、目の詰まった素材です。
花粉がつきにくいのはナイロンやポリエステル、コットン、デニム、シルクなど。
ただ、4月になっても朝晩はまだまだ冷え込み、コートやフリース、セーターが手放せませんよね。
また、秋口の花粉に悩まされる人はこれから防寒着が必要になる時期です。
また、花粉症の低年齢化が進んで社会的に問題になっているほか、最近ではペットも花粉症に悩まされています。
日本のそんな花粉事情から、複数の化学繊維を扱う企業が動き出しました。
花粉をプロテクトする生地を次々と開発・発表しているのです。
花粉対策はSANYOの花粉プロテクトコートを狙え!
アパレル業界で花粉プロテクトを大々的に展開しているのが、SANYOです。
SANYO(三陽商会)は大手ブランドのライセンスを数多く取得し、日本向けの製品を展開している企業。
花粉対策衣料は2007年から販売を開始し、毎年花粉シーズンに向けたスプリングコートを提案しています。
2017年は「花粉プロテクトコート」と題して紳士服・婦人服の合計7ブランドから花粉対策コートを発売。
ここではその中でも5ブランドに的を絞り、ご紹介します。
マッキントッシュ・ロンドン
英国のゴム引きコートの代名詞といえばマッキントッシュと言われるほど。
そのマッキントッシュから誕生したのが、新ブランド「マッキントッシュ・ロンドン」。
マッキントッシュはゴム引きコートに始まり、現在ではトレンチコートやダッフルコートなど、英国伝統のアウターウェアを販売しており、日本でも人気のブランドです。
マッキントッシュ・ロンドンは、マッキントッシュのDNAを受け継ぎつつ、アウターウェアに限らずバッグや傘、ハンカチなどトータルでコーディネートできるコレクション。
シンプルで伝統的な英国トラッドを生活の中にも取り入れられる、嬉しいブランドです。
撥水 ダンケルド・コットンポプリン・ステンカラーコート ¥92,880。
マッキントッシュの代表的なモデル、ダンケルド。
バルカラーと呼ばれる一枚襟とフライフロント、そして裾に向かって広がるAラインが特徴です。
国内有数の生産工場で織り上げられた極細の超高密度ポプリンは撥水加工を施しており、花粉をブロックするほか上品な光沢感も味わえます。
イルファーロ
イルファーロ(IL FARO)はジャケットを中心とした上品な都市型ウェアを提案するメンズブランド。
リラックスした着心地と洗練されたスマートなスタイル、大人の色気を感じさせる服作りにこだわっており、エレガンスからカジュアルまで豊富に揃っています。
ちなみにイルファーロとはイタリア語で灯台のことで、「前を見据えた男たちの指針となり、進むべき道を照らし出す存在でありたい」という願いが込められているとのこと。
イルファーロのコートからは花粉プロテクトレインコートをご紹介します。
LINEA PORTO 花粉・撥水・パッカブル花粉プロテクトレインコート ¥42,120。
イルファーロのニューコレクション「リネアポルト」。
高級感のあるシャンブレー素材を使用した、ナイロンとポリエステルのコートです。
顎下までカバーできるフード部分が花粉の侵入を防いでくれます。
レインコートですがしっかりとした作りなので、花粉対策用にスーツの上からでも着られそうですね。
ギルドプライム
ギルドプライム(GUILD PRIME)はLOVELESSの姉妹店として国内外のハイブランドを取り扱うショップ。
モードとカジュアルを融合させたオリジナルブランドも充実しており、ファッション感度の高い男性に支持されています。
LIVELESS MENSレインギャバ人シングルトレンチコート ¥66,960。
正式には花粉プロテクトと銘打っていませんが、撥水加工が施されていること、高密度ギャバジン素材を使用していることから、ここでご紹介することにしました。
サファリタイプのミリタリーディテールが施された本格的なデザイン。
春先から梅雨の時期まで活躍してくれるコートです。
ザ・スコッチハウス
スコッチハウスは1839年にツイードとタータンを揃えたお店をGardiner兄弟が始めたことが発祥とされています。
Gardiner兄弟は、当時民族衣装だったタータンチェックをファッションとして普及させ、スコットランド素材やニットを世界中に広めた先駆者。
1986年には、衣料部門において国に貢献したことが称えられ、Coat of Armsという紋章が贈られました。
現在でもKnightsbridgeにあるお店の跡地は、地元の人に「スコッチ・コーナー」と呼ばれ、親しまれています。
撥水・ユーティリティーミリタリーステンカラーコート ¥46,440。
国産の高密度素材を使用し、撥水加工を施したステンカラーコートです。
前身頃はメッシュ仕様、ライナーには極薄のダウンライナーが付いているため、肌寒い春先から梅雨の時期まで活用できる機能性抜群のコート。
また、襟が首を深く覆ってくれるため、花粉が衣服内に入りにくくします。
プリングル1815
1815年に創業し、200年以上の歴史を持つ英国老舗名門ブランド、プリングル・オブ・スコットランド。
そのプリングル・オブ・スコットランドの伝統を継承しつつ、2013年設立から、よりコンテンポラリーなアイテムを提案しています。
ライナー付きエイトファンクション6WAYコート ¥63,720。
・撥水機能
・撥油機能
・耐水機能
・防風性機能
・防汚機能
・花粉対策機能
・制電性機能
・ストレッチ機能
・撥油機能
・耐水機能
・防風性機能
・防汚機能
・花粉対策機能
・制電性機能
・ストレッチ機能
と8つもの機能を持つ特別素材を使用したコートです。
フードの取り外しができ、スーツやジャケットの上からも着用できるシンプルでミニマムなデザイン。
着脱可能なライナーはベストとしても単体で着られます。
また、ライナーはリバーシブルなので、2タイプのレイヤードファッションを楽しむことができますね。
花粉対策だけでなく、嬉しい機能満載のスプリングコートです。
8ファンクションコート ¥44,280。
こちらも、
・制電性機能
・耐久撥水機能
・撥油機能
・防汚機能
・防風性機能
・保温性機能
・ストレッチ機能
・耐久撥水機能
・撥油機能
・防汚機能
・防風性機能
・保温性機能
・ストレッチ機能
がついた多機能性のコートです。
ポリエステルツイルの裏側にアルミフィルムを貼り、その上からトリコット生地をラミネートしたという3層構造のため、見た目よりも暖かく着用できるコート。
フードは取り外し可能でウエストが程よくシェイプされているため、脚長効果も期待でき、オンオフできれいに着られます。
日本の花粉プロテクト生地
服に使用される花粉対策素材の代表的な方法は、生地の目を細かくすること、表面を加工して花粉を滑りやすくすることです。
糸と糸の隙間を高密度にすることで花粉が入り込まないようにする工夫や、表面を滑りやすく加工することで、花粉がつきにくくするほか一旦ついた花粉も落ちやすくする工夫をしています。
また、静電気を抑制する機能が施された糸や、ナノ技術による加工で機能性を高めた花粉対策素材が開発されています。
東レ「アンチポラン®」
東レが開発しているのはアンチポラン®。
この生地は高密度に織って糸と糸の隙間を花粉の直径より小さくすることで、花粉が衣服の中に入り込まないようにされています。
また、生地の表面に施されるアンチポラン®加工は、花粉を滑りやすくするほか花粉をつきにくくし、付着した花粉も簡単に落とせるようにした東レの独自技術です。
さらに、この素材をベースにし、ナノテクノロジーで性能を高めた素材アンチポラン®NTも開発しています。
高密度の織物に樹脂を加工する際、ナノ技術を用いて繊維の1本1本にナノスケールの被膜を形成しています。
ナノスケールでの加工は、繊維に薬剤を強固に付着させることができ、耐朽性と機能性が向上するとのこと。
また、加工による生地の風合いを損なわないのもナノスケールの加工ならでは。
コートやスポーツ用衣料、カジュアルなファッション衣料などにも使われています。
日本化学繊維協会JAFAには、アンチポラン®の花粉の付着量比較テストの結果が掲載されていました。
無断転載は禁止されているのでお見せできないのが残念ですが、見た目にもはっきりと分かるほど、花粉の量がかなり違います。
特につきにくさのテストでは、アンチポラン®の生地には数量の花粉がついているだけなのに対し、従来品には花粉が繊維にビッシリと付着し、両者の花粉の付着量は1対50以上と思われます。
また、落ちやすさのテストでは、アンチポラン®の生地にはほぼ付着していないのに対し、従来品では倍の量が残っていました。
帝人フロンティア「ポランバリア®」
帝人フロンティアが開発している花粉対策素材はポランバリア®。
シリーズのポランバリア®Vは、細い糸をさらに高密度に織り上げることで衣服内に花粉が入りにくくしています。
また、特殊加工によって繊維の表面を平滑にして花粉を落としやすくし、室内への侵入を防ぐほか、撥水・透湿性能も併せ持ち、花粉脱落率80%を実現することに成功しました。
さらに、静電気の発生自体を抑えることで花粉の付着を防ぐポランバリア®ASも開発しています。
制電ポリマーによる高性能制電ポリエステル糸「ビーウェル®」という独自開発の糸を使用し、ポランバリア®の製織技術や特殊加工技術を組み合わせてさらに機能性を高めた素材です。
花粉脱落性テストでは、従来品の目には花粉が付着しているのに対し、ポランバリア®ASには花粉がほぼ見られません。
東洋紡「プロテオガード®」
東洋紡が開発に力を入れているのは、特殊な不織布です。
機能性を付与した不織布に、さらに抗アレルゲンなどの性能を持たせたプロテオガード®を展開しています。
プロテオガード®は不織布にタンパク質を分解する酵素を添着したもので、私たちが花粉の時期お世話になっているマスクや空調フィルターなどに用いられている商品。
特殊加工によって不織布に施されている酵素が花粉だけでなく、ダニまで捕捉してくれます。
また、アレルゲン作用を抑制するので、花粉が再び舞って二次被害が起こるのも防いでくれる優れものです。
もしかしたら、すでに私たちが日常使っているマスクでお世話になっているかもしれませんね。
自宅でできる服の花粉対策
コートなどで花粉から身を守るほか、自分で花粉を室内に持ち込まないようにする工夫もあります。
玄関先でコートの花粉を取り払う
まず考えられるのは、室内に入る前にコートを脱ぎ、2〜3回強く振って花粉を払うこと。
コートに付着した花粉を落とすことで、室内に持ち込むことを防ぎます。
また、静電気防止用のスプレーも有効です。
スプレーを外出前に吹きかけておくことで、花粉を付着させにくくします。
他に玄関先でできることは、粘着シート、いわゆるコロコロを使うこと。
粘着シートなので花粉を舞い上がらせることなく取ることができます。
柔軟剤を使って静電気を抑える
セーターやフリースなど自宅で洗濯できるものは、柔軟剤が効果的です。
洗濯時に花粉防止の柔軟剤を使用することで摩擦が起きにくくなり、生地の表面の滑りも良くなって花粉をつきにくくできますよ。
髪の毛につく花粉
また、意外と盲点なのが髪の毛。
花粉の粒子はとても小さく、髪の毛についた花粉はなかなか落とせません。
そこで、この時期にはベタベタする整髪料の使用は避けたり、休日のカジュアルな格好の時には帽子をかぶったりするなどで、花粉対策をしましょう。
可能なら、外出から帰ったらお風呂場へ直行し、すぐに花粉を落とすのがベストです。
花粉がつきにくいコート|まとめ
花粉症は今や国民病とも呼ばれ、社会的に深刻になっている問題です。
会社から帰って来て自宅で花粉に苦しめられないために、花粉が落ちやすいコートや花粉プロテクトの生地を知っておくと事前に対策ができますね。
三陽商会では2007年から花粉プロテクト素材のコートを、ライセンス契約している複数のブランドから販売しています。
・ゴム引きコートで伝統のあるマッキントッシュの新ブランド、マッキントッシュ・ロンドン
・ジャケットを中心に上品で都会的なアウトウェアを展開している、イルファーロ
・LAVELESSの姉妹ブランド、ギルドプライム
・タータンチェックを世に広めた、ザ・スコッチハウス
・英国老舗名門ブランド、プリングル・オブ・スコットランドのアイデンティティを継承する、プリングル1815
また、企業の花粉プロテクト生地は
・東レのアンチポラン®
・帝人フロンティアのポランバリア®
・東洋紡のプロテオガード®
などがあります。
花粉が気になる季節に洋服を購入する際には、生地タグを見て、これらの名前があれば安心ですね。
自宅でできる服の花粉対策としては、玄関先でコートを振って花粉を落とす、静電気防止のスプレーを使用する、洗濯時に柔軟剤を使って静電気を防ぐなどの方法があります。
花粉対策には薬を使用する人も多いと思いますが、服装からも花粉をブロックして、上手に花粉の季節を乗り切りましょう。