目をつぶって口元に微笑を浮かべる、ちょっぴりアニメちっくなマネキンを見たことがありませんか?
それは、カルーゾ(CARUSO)というブランドのマネキンです。
ポップな顔の造作に似合わず、体はまるで本物の人間のモデルのような、計算しつくされた造形。
そのマネキンが着るスーツやジャケットは、イタリアらしいオシャレな配色と、滑らかさでわかる上質な生地が使用されています。
カルーゾは様々な有名ラグジュアリーブランドを、影で支えるファクトリーであるとともに、独自のブランドを展開するメイドインイタリアにこだわるブランド。
もし彼女とのデートでカルーゾのマネキンを見かけたら、おしゃれな彼女は「あ、これあなたのと一緒?」と気づくかもしれませんね。
カルーゾを身にまとえばあなたも小粋なナポリの男のように女性に好まれるファッションセンスの持ち主になれますよ。
CARUSO(カルーゾ)とは
カルーゾは、1958年にイタリア・ナポリで設立されたメンズスーツのブランドです。
元はパルマでスタートしたファクトリー「マコ社」が母体となっています。
パルマは今でこそハムやチーズで有名なグルメの街ですが、かつてはテーラーの町でした。
パルマのテーラーの特徴は、依頼通りの忠実な仕立て。
ナポリやミラノのような「○○風」というクセがなく、依頼されたままの型紙を引くことから、イタリア国内の様々なショップやメーカーから既製服の生産を依頼されていました。
そのため、カルーゾでは今でもイタリア内外からのOEMの依頼が多く、今日流通しているルイ・ヴィトンやイヴ・サンローラン、ポール・スチュアートなど、著名なラグジュアリーブランドなどはカルーゾ製のものです。
カルーゾの製品の特徴は仕立ての良さで、「パルマの名門ファクトリー」の名をほしいままにしています。
伝統的なハンドメイドと最新のマシン技術を融合させた立体的なシステム、そして必要な部分にハンドメイドを加えるという合理的な生産方法を取っています。
柔らかで美しい、上質な生地を取り扱い、ロロ・ピアーナやゼニアなど高級生地の供給指名ファクトリーとしても有名です。
また、他者ブランドへの製品はやや英国テイストが強いクラシカルなデザインですが、自社ブランドは先鋭的なデザインを展開しています。
今でも生産の16%はオーダーメイドが占めており、ものづくりにこだわる姿勢が他のブランドとは一線を画していますが、それを生み出しているのがファブリックデザイナーのマルコ・ジョルナ氏。
ジョルナ氏は、かつて韓国の会社、サムソンのテキスタイル部門にいた経歴を持ち、イタリアのファッション業界ではかなり名の知れた人物です。
著名な生地メーカーからのヘッドハンティングには目もくれず、カルーゾにやってきた逸話はちょっと有名な話。
現在ではカルーゾデザインの重要な人物となっています。
確かな技術力の高さが評されているカルーゾは、近年リニューアルし、イタリアクラシックの枠にとらわれない、より魅力的なアイテムを増やしています。
ヨーロッパ諸国のスタイルに影響を受けた製品も多数発表しており、世界中のファッショニスタから改めて注目されているブランドなのです。
ファブリックについて
カルーゾに揃う6つのユニークなオリジナルファブリック。
グッドイタリア協会にも所属するカルーゾは、独自のファブリックを全てイタリア国内で作り出すことにも誇りとこだわりを持っています。
ファブリック|GOBIGOLD
モンゴルのゴビ砂漠に住んでいるラクダから採取したウールのうち、上質な繊維だけを選びます。
その割合は、2000トンの中のたった3割。
とても柔らかく、黄金色の純粋なラクダの糸は、ロロ・ピアーナのために特別に作られたもので、ロロ・ピアーナの製品を支える重要な役目を担っています。
もともとラクダの毛は、コートや厚手のジャケットなどを作るために使用されていました。
1920〜1930年代にはラクダの毛を使ったコートが、英国ポロチームによってアメリカに紹介され、やがてアイビーリーグで流行します。
2016年にロロ・ピアーナの技術で17ミクロンの極細の金の糸が作られ、その柔らかで伸縮性があり、かつ軽量な生地は、カルーゾの仕立て技術によってテーラードスーツにも用いられることとなりました。
それはメンズのスーツ生地やジャケットとしては初めての試みで、スーパー170のメリノウールやアイリッシュリネンなどとの混紡に成功しています。
ファブリック|SEA ISLAND50
カリブに浮かぶ小さな島で採れる、希少な綿は、世界の綿の生産量のうち、ほんの0.0004%です。
その繊細な繊維は、非常に長く光沢があり、まるで絹のようなスムーズなタッチ。
それをさらに上質なものにするため、手作業にて選別しています。
カルーゾの「シーアイランド」は、西インド諸島のシー・アイランド・コットン・アソシエイションによって保証されたジャマイカ製のものです。
この糸は大変珍しく、弾力と強度を増すために、二つの糸を拠り合わせ、繊細な極細の糸に作られた後、イタリア国内で編まれてファブリックとして誕生します。
ファブリック|TRIO
モヘアやシルク、ウールを使用して開発された「トリオ」は、エレガントなスーツを作る上で必要不可欠なファブリックです。
モヘアはシワの防止と光沢を出しますが、純粋なままだと剛性の構造があり、滑らかな反面不快に感じることがあります。
そのため、トリオはモヘア35%とシルク15%の比率でそれぞれの特徴を引き出したファブリックをまず生成し、その後スーパー100Sウールの糸を50%絡めて、欠点を補っています。
それにより、春・夏のスーツを生産するためのしなやかで光沢感があり、軽さと柔らかさを備えた最良の生地を作り出すことに成功しました。
ファブリック|HIGH C
テノール歌手が出せる最も高いオクターブのCの音から名付けられた「ハイシー」。
カルーゾのハイシーは、モンゴルヤギの世界でも最高級素材の一つとされる細い糸によるものです。
ハイシーは、合成化学繊維を使用しない天然のカシミアだけを、特殊技術を用いて作られており、一年を通して着ることができます。
天然ストレッチの効いたこのファブリックは、シワができにくい素材であるため、日常的に使用することができる優れた生地です。
ファブリック|QUATTROVENTI
QUATTROVENTIはロロ・ピアーナの卓越した技術とカルーゾの伝統的な仕立てが融合したファブリックです。
オーストラリアで最も古い農場の一つであるニューサウスウェールズ州にあるファームは、独特な地形にあり、四方の風にさらされている丘の上に立っています。
そのため、そこで育てられた特別なメリノ羊から採れるメリノウールは、極細のフリースを作ることが可能です。
このフリースはわずか1kgで96kmもの長さの微細な糸に変換され、人工的な処理を行わずに特殊なねじれ加工をするため、自然な耐性を生み出し、ロロ・ピアーナの柔らかで強くしなやかな弾力性のある製品を作り出しています。
また、カルーゾのオリジナル製品にも使用されています。
ファブリック|IDEALE
イデアーレは秋・冬用のファブリックです。
19世紀後半から20世紀にかけて活躍した、イタリア・ローマの人気オペラ作曲家、フランチェスコ・パオロ・トスティがサヴィルロウのスーツを好んだことから、イタリアでは英国風のスーツが大流行しました。
英国風のスーツはスーパー100’s〜120’sの糸を使用し、その魅力ある感触にもかかわらず重みがあります。
イタリア人は軽くて繊細な着心地を好み、耐性よりも軽量化を選択するため、通常はスーパー150’sで220gの微細な生地です。
しかし、イデアーレは300gの重量感を残したまま、糸は繊細なスーパー180’sを使用した生地を開発することによって、クラシカルな英国風の趣のあるイタリアンタッチの着心地のスーツを作り出すことに成功しました。
このため、カルーゾのスーツは持てば重いと感じますが、袖を通すとその着心地の軽さに驚くと言われています。
カルーゾのコレクション
それでは、カルーゾのコレクションをご覧いただきましょう。
機能的な仕掛け|内ポケット
まず、小物からご紹介するのには理由があります。
カルーゾは新しいジャケットアクセサリーとして、内ポケットを充実させるためのユニークなアイテムを発表しました。
これからスーツやジャケットを見ていただきますが、マネキンが着用しているスーツには、このポケットを内蔵しているものがあります。
とてもユニークな発想ですよね。
ポケットを外せば、通常の内ポケットとして使えます。
ブラッシュドカーフスキンの「エッセンシャル」カードケースは、内ポケットに使用できる他に類を見ない取り付け型の内ポケットです。
用途に応じてポケットを付け替えることができるので便利。
他に、クロコダイルの財布やメガネケース、クレジットカード用ポケット付きメガネケースなども展開しています。
これらの内ポケットを内蔵したシルエットを含めて、スーツやジャケットを眺めてみてくださいね。
そしてこちら。
中身のポケットが全て別々になるジッパー付きバッグです。
ジッパー付きのカードホルダー、財布、「エッセンシャル」カードケース。
必要なだけ組み替えて使うことができ、自分だけのオリジナル機能のバッグが作れます。
内ポケットごとクレジットカードをバッグに移し替えるだけで、バッグの中身を入れ替えずに、持ち運びが可能です。
使う人の機能をとことん追求した、嬉しいアイデアですね。
正統的でエレガント|カルーゾのスーツ
100%GOBIGOLDの極細カシミアヘアーで織られた、ピンストライプのシングルスーツです。
体のラインに沿った着用感を、ストライプの縦長効果がさらにスッキリと見せてくれます。
ウェールズウールと100%GOBIGOLDの混紡ダブルウエストスーツ。
そして、先ほどご紹介したクレジットカードケースが内ポケットに入っています。
外側からはクレジットカードなど入っている厚みを全く感じさせないシルエットですね。
そして、向かって左側のネクタイ。
裾が擦り切れたような処理になっています。
ちょっと他では見ないような、面白いネクタイですね。
生地はGOBIGOLDのカシミアを使用しています。
深いグリーンが特徴的な、ウールジャガードのスーツ。
オフィシャルページでは「ジャケット」と「パンツ」として、別々に紹介しているので、スーツとしてではなく、上下別々で販売しているのかもしれません。
ウールのジャガードスーツ。
こちらもジャケット、ベスト、パンツが別々に紹介されています。
シックなこげ茶のスリーピースに合わせているのはウールとアルパカで編まれたワインレッドのタイ。
スリーピースにビシッとネクタイを合わせずに、ニットのようなタイを合わせて少し外すところが粋ですね。
コットンコーデュロイで作られた、ウール・ジャージー素材のシングルブレストスーツ。
とても滑らかで着心地が良さそうです。
旅行やカジュアルなシーンのスーツにぴったりですね。
ダブルブレストのイヴィニングスーツ。
カラーにはシルクが施されています。
インナーにタートルネックのニットを、シューズにブーツを合わせている独創的なコーディネートですね。
しかし、タートルのニットをシャツとタイに、シューズをラグジュアリなドレスシューズに置き換えてみると、とてもシックでモダンな礼装になります。
スマートなシルエット|カルーゾのジャケット
ホーンボタンが特徴の、100%GOBIGOLDカシミアのトスカジャケット。
小さめの襟と長めの裾、ポケットがクラシカルな表情を醸し出しています。
合わせているのはコットンのパンツ。
ウールパンツなどでも決まりそう。
ツイードのスラブシルクのトスカジャケット。
別売りのベストと合わせてセットで着てもOKですね。
ジャケット内側には「エッセンシャル」クレジットカードケースを入れていますが、シルエットを乱さず着用することができます。
マイクロチェック柄のウールとGOBIGOLD混紡のサファリジャケット。
中に着ているのは同素材で作られたベストです。
着るのが楽しくなるような組み合わせ。
気軽に羽織れるウールのブルゾンです。
カシミアとシルクのポロシャツの下にはコットンシャツ。
このさりげないシャツ、ネクタイ、ポロシャツの組み合わせは真似したいコーディネートですね。
ノーカラーのジャケット。
内ポケットにカードケースを使用しています。
ノーカラーは合わせるものに何を選ぶか迷いますが、同じVネックのベストを合わせてシャツ、ベスト、ジャケットの絶妙なVのコンビネーションを作り出しています。
柄オン柄はちょっと冒険ですが、チェックが細かく、ベストのボーダーが大きいため嫌味になりません。
また、共通の赤い色を合わせることによって統一感を出していますね。
左はボタン付きの胸ポケットや左中央のジッパー付きポケットが印象的なジャケット。
アルパカとウールを使用したウィンドウペーンで、肩にはあえてパッドを入れています。
右はアルパカ、ウール、シルク混のバイカージャケット。
内ポケットにカードケースを入れています。
カラーの高さと3つボタンが縦長のシルエットを際立たせます。
色気漂うビッグシルエット|カルーゾのコート
左はアルパカとウールのダブルブレストコートです。
たっぷりとしたシルエットが作るゆとりが印象的です。
右はファー付きのフードがついたムートンのコート。
ナパレザーのポケットがアクセントになっています。
中に着ているのはコーデュロイのジャケット&パンツ。
厚みのあるムートンのコートには、このくらいのインパクトのあるジャケパンが似合いますね。
ダブルブレストのトロバトーレコート。
エレガントかつクラシカルなシルエットで、バックも色気のある絞りが男らしさと渋みを演出します。
ビッグシルエットのカシミアコートです。
光沢のあるストライプが印象的ですね。
大きなチェックのウールコートマント。
日本でマントを着ている人はほとんど見かけませんが、カルーゾは今季、マントをもう一種類発表しています。
カルーゾまとめ
美しいシルエットと柔らかで繊細な生地、そしてメイドインイタリアにこだわるカルーゾをご紹介しました。
カルーゾはルイ・ヴィトンやロロ・ピアーナ、ゼニアなど、著名なラグジュアリーブランドを支えるOEMファクトリー。
その高度な技術を生かしたオリジナルブランドは、伝統を守りながらも独創性にあふれたユニークな製品を数多く発表しています。
オリジナルのファブリックは6種類あり、そのうちのGOBIGOLDはロロ・ピアーナのために特別に作られた素材で、カルーゾのオリジナル製品にも使用されています。
また、今回ご覧いただいたラインナップは、
・独創的で機能的な内ポケット
・GOBIGOLDのカシミアを使用した繊細なストライプスーツ
・美しいシルエットのダブルブレストスーツ
・深いグリーンやこげ茶が印象的なジャガードスーツ
・ユニークなウール・ジャージーのスーツ
・ほっそりとしたシルエットがエレガントなトスカジャケット
・気軽に羽織りたいサファリジャケット
・アルパカとウールのジッパー付きジャケット
・流行のビッグシルエットコート
・エレガントなバッグシルエットのクラシカルダブルブレストコート
などです。
どれもスマートでオシャレなデザインで、触って見たくなってしまうような生地ばかり。
触ってみたいのは男性ばかりではありません。
女性もその品質の良さは一目でわかるはず。
もしあなたがカルーゾを着ていたなら、彼女のあなたへの認識もグンとレベルアップしますよ。