ベルベストの「ジャケット・イン・ザ・ボックス」。
畳んでボックスに入れられるほど、柔らかで軽やかなジャケットという意味です。
イタリアのジャケットはシルエットが美しく、スマートなことで知られていますが、体のラインを強調させるあまり、少しタイトすぎると思う人もいるようです。
ベルベストはそんなイタリアのジャケットの中でも、シルエットの美しさを保ちながらゆったりとした着心地の作りで有名。
セレクトショップのボリオリやラルディーニの奥にひっそりと並ぶ、柔らかで美しいジャケットがあったらそれはベルベスト。
もしあなたが優雅でゆったりとした着心地の、柔らかくて非常に軽いジャケットをお探しなら、ベルベストはぴったりなブランドです。
この記事ではそんなベルベストについてご紹介しますので、じっくりとお読みください。
ベルベストについて
ベルベスト(Belvest)は、1964年に北イタリアのパドヴァという小さな町で創業されたブランドです。
パドヴァの近くには観光で有名なヴェネチアがあり、パドヴァの町自体にはパドヴァ大学があります。
交通の便の良さや若者が多く集まるちょっとした学園都市的な町です。
ベルベストは当初よりエルメスやランバン、バーバリーなどのOEMを手がけてきた実力のあるファクトリーで、現在ではオリジナルブランドとしてもセレクトショップがこぞって入手したがるほどの著名なブランドとして成長しました。
基本はマシンメイドながらも、重要な部分はハンドメイドを施すことによって、上質な着心地を常に提供し続けています。
ベルベストは正統的でありながら、トレンド感も盛り込んだクオリティの高い製品で、世界中に愛好者がいるブランド。
また、クラシコ・イタリア協会が設立された時から加盟しているブランドでもあります。
ベルベストの名前はイタリア語で「美しい服」。
その名の通り、マシンメイドの既製服の中では最高峰と言われるほど、質の高いスーツやジャケットを作っています。
ベルベストのジャケットの特徴
ベルベストの代表作は、有名な「ジャケット・イン・ザ・ボックス」。
折りたたんで箱に入れられるほど軽くて柔らかなジャケットという意味です。
ベルベストのジャケットは一枚仕立てで裏地のないアンコン。
そのため、ジャケットでありながら、まるでカーディガンのような軽やかな着心地です。
ベルベストのジャケットで特筆すべきは、ボタンホール。
ボタンホールを見ればベルベストと分かるほどだと言われています。
ボタンホールはきっちりと縫い込まれ、決してマシンではできないきめ細やかさです。
ベルベストのジャケットのもう一つの特徴は、丸みを帯びたシルエットです。
肩のラインに沿うような丸みと、マシンメイドとは思えないラペルの美しいロール。
この辺りが、マシンメイドの最高峰と言われる所以で、ボリオリやラルディーに、タリアトーレなどよりワンランク上に据えられている理由でしょう。
今挙げたような他のクラシコイタリアンのマシンメイドのブランドは、確かにタイトで美しいシルエットですが、誤解を恐れずに言ってしまえば少し窮屈。
ちょっと頑張って着ている感が滲み出てしまうのです。
その点ベルベストは着心地がゆったりとしていて、しかもトレンドのシルエットも外しません。
また、2014年に創業50周年を迎えた際に発表されたモデルG50(Giacca anniversario 50anni 50周年記念ジャケットの意)は、シルク100%であることに加え、袖の裏地もない究極の軽いジャケット。
多数のビッグメゾンのOEMとして製作されるソフトな着心地とバランスの良いジャケットを、現代風にさらにモデルアップしたものです。
色は特徴的なブルーグリーンですので、機会があればぜひどこかの店舗で実際に手にとってみてください。
実際に着用した人によると、「宙に舞うかのような」着心地だそうですよ。
マシンメイドとハンドメイドの融合
一枚仕立てで副素材を使わずに立体的で綺麗なラインを出すのは並大抵のことではありません。
それは生地の特徴をよく知り、マシンメイドとハンドメイドを上手に使い分けることのできるベルベストならでは。
手作業が施されているのは最終段階の仕上げ。
糸の処理はミシンに任せず、きっちりと手で処理。
動きの激しいアームホールは人の手で丁寧に細やかに処理されます。
迅速に縫いたい直線部分や大きな部分はマシンメイドで、その他の丁寧に仕上げたい部分は人の手によって作業されています。
この見極めこそが、数々の高級スーツを著名メゾンに納めてきた、ベルベストのものづくりと言えるでしょう。
ベルベストのジャケット
言葉を尽くすより、まず実際の製品を見ていただきましょう。
まずはベルベストのジャケットのジャケットです。
アルパカジャケット
肩から腕の丸み、そしてウエストのシェイプ。
これが窮屈にならないのは軽やかな一枚仕立てのおかげでしょう。
グリーンとブルーのチェックも爽やかです。
1,490ユーロ。
ウールミックスのジャケット
ネイビーと赤のジャケット。
シンプルですがエレガントな一着です。
白いハイネックのニットやダンガリーシャツにネクタイなど、いろいろなコーディネートが楽しめそう。
休日のカジュアルスタイルに、ジーンズと合わせたいジャケットです。
1,090ユーロ。
ウールジャケット
ダブルブレストのピークドラペルジャケット。
ちょっとかしこまった場や大切なお客様との打ち合わせなどにも着用できるスタイルです。
イタリアの紳士のこのむウィンドウペーンとチェックを合わせた個性的な柄は、着用した人に特別な印象を与えます。
1,190ユーロ。
ウールジャケット
グレーと爽やかなライトブルーのラインを合わせたチェックのウールジャケットです。
ビジネスシーンにもカジュアルシーンにも対応できるスタイルで、ウエストをシェイプしすぎない余裕のある着こなしができます。
グレーのチェックのジャケットは、ともすると軽くなりがちですが、形がかっちりしていて高級感があるのでエレガントに着こなせます。
1,390ユーロ。
綿混ウールジャケット
サハラテイストの綿混のウールジャケット。
両胸のポケットが特徴的です。
肘当てもアクセントになっていますね。
春秋の羽織ものにぴったりな汎用性の高い一着。
1,290ユーロ。
カシミアジャケット
ブラウンのベースに明るいベージュとオレンジのラインが入ったカシミアのジャケット。
カシミア独特の光沢感や柔らかさを感じられる一着です。
ブラウン系のコーディネートはもちろん、ネイビーや黒、白を合わせてもすんなりと決まる、上品な色合いですね。
2,090ユーロ。
撥水加工旅行用ウールブレザー
旅行や出張の多いビジネスマンのために作られたブレザーです。
何にでも対応できる基本のネイビーブレザーで、撥水・防汚の特殊加工が施されているため、突然の雨や汚れにも強いのが特徴。
その上ポケットが大きめに設計されているため、小物の収納などにも便利です。
薄手で軽くしかも柔らかいため、バッグに一枚忍ばせておくと、気楽なカジュアルスタイルで出張し、出先で着替えるなんてことも可能ですね。
913ユーロ。
ベルベストのスーツ
次に、ベルベストのスーツをご紹介します。
著名なラグジュアリーブランドに提供している技術が結集されたこだわりのスーツです。
ウールとシルクのスーツ
スリムなフィッティングが若々しさを与える、ブルーとグリーンのタータンチェックのスーツです。
カジュアルな色柄ながら、ダブルブレストのスタイルで様々なシーンに着用できます。
1,290ユーロ。
グレーウールスーツ
ウール100%のシンプルなスーツ。
心持ち短めの丈が軽やかさを演出します。
存在感のある素材です。
シンプルですが汎用性の高いカラーとエレガントなシルエットで使いやすいスーツですね。
1,690ユーロ。
ネイビーに赤ラインのウールスーツ
遠目にはダークネイビーに見えますが、実は赤いラインが入っています。
全体的に落ち着いた印象で、個性を主張しながらも重厚感や安心感を与えます。
パンツは細身に見えますが、タッグが入っているため、見た目よりゆったりとした履き心地です。
着用するとこんな感じ。
ラペルの折り返し部分の立体感が高級感を感じさせます。
2,190ユーロ。
ウールモヘアとシルクのスーツ
渋目の落ち着いた赤にブルーのラインが入ったスーツ。
モヘアとシルク、ウールの混紡で、フォーマルなシーンにも着用できる高級感のあるスーツです。
かっちりしたシルエットですが肩パッドと裏地がないため、軽くて柔らかな着心地。
光沢感があるものの、色味が渋目のため、派手にならずに着こなせます。
合わせるネクタイやシャツをブラウン系にしてもシックなコーディネートになりますね。
2,190ユーロ。
チャコールグレーのウールスーツ
100%ウールの落ち着いたチャコールグレーのスーツです。
ビジネスシーンにぴったりの使いやすい色で、靴やベルト、バッグにブラウン系でもブラック系、ネイビー系でも合わせることができるので、ヘビロテ必須のスーツですね。
1,890ユーロ。
裏地付きウールスーツ
裏地付きのウールスーツ。
スタンダードでありながらトレンドも意識した、デイリーユースのスーツです。
色はライトグレー、ネイビー、グレー、チャコールグレーの4色展開。
1,579ユーロ。
ベルベストのコート
ベルベストのコートはエレガントに着こなせるコートです。
ピュアウールトップコート
フード付きのエレガントなコート。
軽くて暖かなコートです。
ウール100%で裏地なし。
カラーはネイビーで2,090ユーロ。
アルパカとウールのコート
アルパカとウールの混紡コート。
ダブルブレストのクラシカルなシルエットです。
1,890ユーロ。
ピュアウールリバーシブルコート
表はグリーン、裏は茶色のダブルブレストコートです。
全行程をハンドメイドで加工しています。
どちらも重厚感があり、一着で二着分楽しめますね。
実際の色味は落ち着いた感じです。
ブラウン側。
シックに決まります。
ベルベストの着こなし
実際にベルベストのコーディネートをご覧いただきましょう。
シンプルなデザインが多いだけに、合わせるネクタイやチーフによって様々な表情を作ることができますよ。
ネイビーの撥水加工のブレザーです。
前身頃のちょっとしたゆとりがタイト過ぎずに着やすそうですね。
ネクタイはブルーをベースにしたカラフルなドット模様です。
同じネイビーのジャケットでもこちらはトラッド風。
ネクタイを伝統的な斜めボーダーにすることで、トラッド感を高めています。
暖かい色味のウールジャケットには、同色のネクタイを合わせて。
存在感のあるジャケットは、それだけでコーディネートの主役になりますね。
春夏の装いにふさわしいジャケット。
カジュアルなジャケットならカラージーンズに合わせてラフにも着こなせます。
特徴的なチェックのジャケット。
ジャケットに入ったグリーンをネクタイにも取り入れています。
ブルーとブラウンの定番イタリアン配色。
ネクタイ、パンツ、シューズをブラウンで合わせて統一感を出していますね。
特別に記念として発売されたG50のジャケット。
とても柔らかそうですね。
ジャケパンスタイルは、やはりジャケットにこだわりたいものです。
キリッとしたチェックが端正な佇まいのジャケット。
ネクタイもシックに決めていますがカラフルなポケットチーフで崩しています。
ベージュのジャケットのジャケパンのお手本のようなコーディネート。
ジャケットが淡い色味ならパンツはダークな色にしてメリハリをつけるとコーディネートが締まります。
濃いけれど明るいブルーのパンツと茶色のシューズを合わせてイタリアらしさを出しています。
細かい格子柄のジャケットに細いラインのシャツを合わせていますね。
白地に赤の細いラインは、遠目から見るとピンクに見えるので、グレーとピンクで上品な印象になっています。
ラペルトポケット、肩のアップです。
目の混んだボタンホール、ラペルの折り返しの丸み、そして肩のマニカ・カミーチャ(雨振り袖)はハンドメイドによる丁寧な仕上げ。
これがベルベストたる所以ですね。
夏用ホップサップ生地のジャケット。
肩パッドがないのでストンと落ちる感じがいかにも着心地が良さそうです。
グレーにブルーのラインが入ったチェックのジャケット。
ビジネスにもカジュアルにも使いまわせる便利なジャケットです。
シャツの襟を丸みのあるラウンドチップタイプにしても印象がソフトに変わりますね。
スリッポンとジーンズを合わせたカジュアルなジャケパンスタイル。
ベルベストの軽いジャケットは、オフの日にもぴったり。
ストライプのグレースーツ。
毎日着用する定番のスーツは、着心地の良いものを選びたいもの。
明るいキャメルのシューズを合わせてイタリアンな雰囲気。
同じストライプのグレースーツですが、こちらはブルーのネクタイに黒のシューズを合わせています。
同じスーツでも、小物によって全く別の雰囲気になりますね。
ダークグレーにベージュの小物を合わせたコーディネーション。
靴は黒で引き締めています。
靴を同系色にすると視線は自然と上に行くので、打ち合わせや大切なお客様と会う時にはネクタイやチーフ選びを慎重にしたいもの。
ネイビーのスーツにベージュを合わせたコーディネートです。
チーフの白が抜群に効いていますね。
最近ではチーフが当たり前の着こなしになりました。
チーフ選びもネクタイと同様重要ですね。
ダブルブレストのスーツ。
重厚感があり、落ち着いた大人の装いです。
スェードのこげ茶のシューズも好感が持てますね。
グレーベースにブルーのラインのストライプが入ったスーツ。
煉瓦色のネクタイとチーフがおしゃれです。
様々なコーディネート例。
合わせるものによって与える印象が変わります。
ベルベストまとめ
ベルベストはマシンメイドでありながら、要所はハンドメイドで仕上げている、他の量産ファクトリーとは一線を画したブランドです。
著名なラグジュアリーブランドに良質なスーツやジャケットを提供し、その技術は世界でも高い評価を得ています。
マシンメイドでは決して出せないラペルの折り返しの立体感、そしてベルベストの象徴とも言える繊細で丁寧な仕上げのボタンホール。
ポケットの形やボタンの数というイタリアンクラシコの形式にのみ囚われるのではなく、着心地や柔らかさといった肌触り、軽さを重視したベルベスト。
それがマシンメイドの最高峰と言われる所以です。
ベルベストの発表したラインナップもご紹介しました。
・存在感のあるアルパカのジャケット
・暖かなウールのジャケット
・綿混の端正なジャケット
・光沢が美しいカシミアのジャケット
・旅行や出張に持っていきたい撥水加工のウールブレザー
・ウールとシルクの贅沢なスーツ
・着まわしやすいグレーのウールスーツ
・落ち着いたネイビーに赤のラインのスーツ
・ウールモヘアとシルクのスーツ
・重厚感のあるチャコールグレーのスーツ
・カラーが選べる裏地付きウールスーツ
・裏地なしでも暖かい、フード付きピュアウールコート
・アルパカのウールコート
・茶色とグリーンのリバーシブルコート
また、実際のコーディネート例もご紹介しました。
軽くて薄いのに優雅で高級感のあるベルベストのジャケットやスーツ。
是非一度実際に手にとって袖を通してみてくださいね。