スーツ・洋服の本質を知ってキャッチフレーズが本物かどうか見分ける力をつける
あなたはオーダースーツ販売を開業しようとお考えですか?
世間にオーダースーツのショップは非常に多くなりました。
その中でそれぞれのショップは差別化しようとして色々とアイデアを出しています。
そしてキャッチコピー、打ち出し方の中には疑わしいものもあります。
今日はスーツ、洋服の基本的な部分についてご説明します。
天然由来の生地が多いということ
生地には動物や植物など天然の素材が使われているものが多くあります。
例えば
ウール→羊の毛
綿→綿花
シルク→カイコの繭(まゆ)
つまり生きているものから生地は作られています。
生きているものは全て呼吸します。
生地も呼吸しているのです。
呼吸していると空気中に含まれる湿気も生地の中へ入っていきます。
そのとき湿気(水分)の分だけ生地を構成している糸は大きくなります。
糸の大きさが変わるということは、糸で構成されている生地の大きさも変わるということです。
仕上がったスーツは室内で、室外で、湿気の影響を受け続けています。
もちろん人が着ると人から出る汗もスーツに入っていきます。
そしてスーツの寸法は広がります。
またシワが入ったときなど、アイロンを当てるとスーツの中に含まれる水分は離れて行きます。
このとき生地は縮みます。
こうなると縫製上り時点と比べてミリ単位で寸法の変化が起きるのは当然ですね。
スーツは湿気(水分)によって変化することを覚えておいて下さい。
縫製は1mmを追及できない理由
スーツは様々なパーツを縫い合わせて出来上がっています。
パーツ同士は糸によって縫い合わされています。
例えばジャケットのボディは
・前身
・細腹(さいばら)
・背
各パーツが左右あるので6パーツで、できています。
縫う部分が6カ所あります。
そして縫製は人の手によって行われますよね。
縫製が1mm、2mmずれることはゼロとは言えません。
仮に、1カ所1.5mmズレたとしたら、スーツのボディ・胴回りでは8mm(0.8cm)ズレるのです。
1カ所1カ所丁寧に縫っていても人の手が縫う以上1mm単位でズレ無いとは言えません。
紙に線を引いた内側と外側でも1mm違うのですから。
スーツは人の手でたくさんのパーツを縫い合わせていることを覚えておいて下さい。
人の身体は日々変化する
人間の身体は1日のサイクルで朝起きて夜寝るまでに食事をしたり、水分を補給したり、汗をかいたり、水分が出たり入ったりしています。
また立ち仕事だと夜になると足がむくんで膨らんだりします。
1日の中でも身体は常に変化しています。
これが1カ月になるとグラム単位で体重の変化が無い人などいないでしょう。
オーダースーツを注文して仕上がるまでの期間に体型の変動が発生しても不思議ではありません。
スーツを着るのは生きて、常に変化し続けている人間が着ていることを忘れないでください。
まとめ
オーダーショップの中ではミリ単位で採寸して縫製することをキャッチフレーズにしているところがあります。
もちろん採寸には正確さが求められますし、縫製にも正確さが求められます。
ですが、今回ご紹介したように
・空気中の影響
・人の手の影響
・人の身体の変化
このような条件がある以上「ミリ単位の採寸」が意味をなさないことがおわかりでしょうか。
洋服作りでミリ単位を求めても、着る人は1mmの差を着用時にわかる人はいないでしょう。
わかったとしても1cm程度です。
オーダースーツ代理店を開業しているあなた、開業しようとしているあなたは、以上のことを理解してお客様の接客にも当たることをおすすめします。
是非参考にして下さい。