既製のスーツとは違い、オーダースーツを選ぶときの楽しみとして大きいのが生地選びではないでしょうか。
様々な有名ブランド生地の中から自分だけのスーツを作るために選ぶのは楽しいことですが、同時に緊張するときでもあります。
そんなあなたに自信をもってオーダースーツの生地を選んでいただけるよう、生地についての基礎知識をお伝えしていきたいと思います。
1. イタリア・イギリス・日本 3カ国のスーツのちがい 2. 生地タグ(織りネーム)について 3. スーツ生地の代表的な織り方 4. スーツ生地選びのポイント 5. まとめ
1.イタリア・イギリス・日本 3カ国のスーツのちがい
オーダースーツで選ばれることの多い生地には、3つの国の特徴を表したものがあります。
イギリス
スーツ発祥の国とも呼ばれるイギリスの生地は、伝統と格式を重んじたスタイルにぴったりな「質実剛健」で「シンプル」なもの。
防寒対策という面も少なからずあるとは思いますが、生地そのもののコシが強く、シワになりにくい特徴を持っています。
また、しっかりとした肌触りは、まさに格式高い紳士に必要な背筋の伸びる気持ちにもさせてくれるはず。
このような生地なので流行などには流されにくく、いつの時代でも紳士的な装いを楽しめます。
少し厚手の生地でもありますので、耐久性が高いのもうれしいですね。
最初、袖を通したときは硬い印象があるかもしれませんが、着込むほどに自分の身体に馴染みますので徐々にあなたの良さを引き出してくれるでしょう。
イタリア
イタリアという風土を思い描いていただけると想像できると思います。
イタリアの生地は繊細と艶やかさを併せ持ったファッション性の高い生地だと言えるでしょう。
イタリアらしい
・豊かな色
・バリエーション豊富な柄
・柔らかく繊細
イギリスがキリッとした紳士の生地であるなら、イタリアはしなやかでエレガントな生地といえますね。
着心地も軽く、身体への馴染みも早いのが特徴です。
日本
日本にもオーダースーツで選ばれる生地があります。
日本特有の繊細な技術と品質の高さは、イタリアやイギリスの生地にも負けていません。
また、日本で育った生地ですから、日本の気候にもマッチした作りになっているため生地選びで失敗することがありません。
耐久性なども十分な強さを持ち合わせているため、最近では世界からも注目を集めています。
2.生地タグ(織りネーム)について
オーダースーツで選ぶ生地を見るとき、生地タグを読めるようになると、自分にぴったりの生地を選びやすくなります。
(1)産地
生地ラベルには「産地」が入っています。
ほとんどのブランドでは産地を一番上に書くことが多いため、生地のブランドや適した気候などを把握するのに役立ちます。
(2)ブランド名
生地ブランドの名前が入っています。
ここを見るとスーツ好きな人ならすぐに理解できるでしょう。
(3)カテゴリー
どういったシーンに適しているかを示しています。
例えば「FOUR SEASONS」とあれば、どの季節にも適しているということです。
ただ、生地の産地や方向性によっては、日本の夏には向かないこともあります。
目安としてカテゴリーを確認し、実際に触れてみて自分がスーツを着用する季節やシーンを思い描いてみましょう。
(4)糸に関する表記
「Super 130’S Wool」というような表記を見たことがあると思います。
この表記は、生地の元になっている「原毛」の品質ランクを表しています。
例えばウールの場合ですと、糸の原毛が細くなるほどにSuperの数字が増えていくようになっています。
3.スーツ生地の代表的な織り方
生地の織り方には、代表的な2つの種類があります。
平織(ひらおり)
平織は、タテ糸とヨコ糸が1回ずつ交互に浮き沈みして織る方法です。
単純な織り方ですが耐久性もあり、糸と糸の隙間を作ることができるため、通気性が高くなる性質を持っています。
そのため夏用スーツの生地にはおすすめです。
綾織(あやおり)
綾織は、タテ糸と横糸が2本ずつ浮き沈みして織る方法です。
糸同士の密度が高くなるので、冬用スーツの生地に向いています。
耐久性、耐寒性、保温性が高いのが特徴です。
4.スーツ生地選びのポイント
一般的に言われるポイントは、次の3つです。
(1)光沢
上品な光沢のある生地は、それだけで高級感が高まります。
また、あなたの信頼度にも影響してくるでしょう。
注意したいことは、テカテカした光沢にならないようにすることです。
(2)肌触り
適度なやわらかさがある方が着心地が良くなります。
また、ストレッチ性があると、スーツで動いたときにも窮屈さがありません。
いくら良い生地でも、着心地が良くなければクローゼットの肥やしなります。
(3)シワ
スーツを着ていると気になるのが「シワ」。
できるだけシワが付きにくい生地、シワがついても素早く元に戻る生地が良いでしょう。
生地を選ぶとき、少しだけ生地を摘んで見ると、どれくらいで元に戻るのかを知ることができます。
5.まとめ
オーダースーツの楽しみでもある生地選び。
あなたがオーダースーツを着て活躍するシーンを思い描き、シーンに適した生地を選ぶようにしてください。
また、光沢はあった方がいいですが、テカテカした光沢は上品に見えにくいです。
生地を選ぶときは電灯やライトの下だけではなく、自然光にも当てて確かめておきたいですね。