「革靴」には、ストレートチップやウイングチップ。
内羽式に外羽根式と履く人の好みや使用するシーンによって、選ぶ種類がたくさん存在します。
しかし、ビジネスシーンで使用することが多いのか?
それとも、カジュアルシーンでの使用を想定しているのか?
はたまた、フォーマルシーンでの着用なのか?
といったように使用するシーンを想定することで、シューズの種類はある程度、絞り込みすることは可能です。
しかし、シューズの種類が決まっても、最後の最後で悩むのが靴底に使われている素材の種類。
「レザーorラバー」
特に外回りの仕事に就いているような男性なら、見た目の良さに勝るレザーを選択するのか?
それとも、どんな天候でも履くことが出来るラバーにするのか?
といった選択次第では靴をどれだけ長く履き続けることが出来るのか?という寿命にも関わってくる問題です。
「美人だけど家事が出来ない女性を選ぶのか?」
それとも、「家事は抜群に出来ても、見た目は…な女性を選ぶのか?」
という究極の選択にも似たこの2択。
どちらの要素も兼ね備えたソールが理想ではありますが、そんな完全体のソールというのが存在しないので、靴選びにおいて「名」か「実」かの選択を迫られてしまうのです。
ソール選びの答えを言ってしまうと、
「人それぞれのライフスタイルによる」
となってしまうのですが、その選び方のヒントとなるようにレザーソールとラバーソール。
それぞれのメリットとデメリットをお伝えしていきますね。
革靴の王道レザーソール
革靴の王道ともいえるレザーソール。
価格が3万円以上するような本格的な革靴であれば、たいていレザーソールが採用されていますね。
ステアハイドやカウハイドといった種類の牛革を使い、タンニンなめしが施されているのが一般的です。
レザーソールがラバーソールより優れている点は、その圧倒的な高級感でしょう。
ファーマルな場面になればなる程、ラバーソールに比べレザーソールが求められるといえます。
また、レザーソールが長らく靴底の素材として採用されているのは、見た目だけではなく靴底としての機能が高性能であるからです。
特に、レザーソールは通気性と耐熱性に優れており、長時間、革靴を履いても足が蒸れぬくくなっています。
また、しなやかさとクッション性も兼ね備えているので、歩き回るのにも適していますね。
さらに弾力性もあるので、履き込むたびに履く者の足に馴染んでいきます。
ですので、長年使用することでその快適性も増していくことでしょう。
その上、靴メーカーによって。
また、使う革素材によっても微妙に履いた時の感触や歩いた時の着地感が変わります。
こういった革靴ならではの魅力を愉しめるのもレザーソールだけの特権。
しかし、その一方で、最大の欠点はその耐水性になるでしょう。
これはラバーソールに限ったことではないですが、革製品にとって水分は大きな敵です。
特に雨の日には靴底は濡れた路面とモロに接しますよね。
そのためレザーを使ったソール部分に大きなダメージを与えることになってしまいます。
水で濡れたレザーソールをそのまま放置しておくと、最悪の場合、カビが生えてしまうこともあります。
ですので、レザーソールは水に濡れたらしっかり乾燥させるなどのケアが欠かせません。
また、レザーソールは他の素材に比べてグリップ力が弱いというのもデメリットといえるでしょう。
というのも、レザーソールには、ラバーソールに見られるような「トレッド」とよばれる溝がありません。
この溝がないためにレザーソールは大変滑りやすくなっているのです。
雨の日には、この滑りやすさと耐水性の弱さと相まって、レザーソールは一層使いづらくなってしまいます。
雪の日なんて、レザーソールの革靴ではまともに歩くことすらできません。
さらに、外を歩く時だけではなく屋内でも滑りやすい床の上を歩くときはレザーソールだと注意が必要です。
また、アスファルトの上を歩く分には問題ないですが、砂利道のような悪路を歩く場合、レザーソールだとダメージが大きいですね。
そういった悪路を歩く機会が多いと、ソールの交換時期を早めてしまう原因になってしまうでしょう。
さらに、レザーソールは皮革で出来ているので革靴のアッパー部分同様、保湿や栄養補給といったメンテナンスも必要になります。
とはいっても、普段から定期的にシューケアを行っているのであれば、その延長で靴底にまで靴クリームを塗っておけば大丈夫でしょう。
レザーソールの仕様、「シングルソール」と「ダブルソール」、さらには「トリプルソール」まで
ほとんどの革靴に採用されているレザーソールの仕様は、4.5mm~5mm程度の厚さの革1枚だけで構成されたシングルソールです。
シングルソールはクッション性に優れ、足への馴染みも他のソールに比べると格段に速いのが特徴で、最もフォーマルシーンに適したソールになります。
ただし、シングルソール以外にも、アウトソールの上にもう1枚ミッドソールを敷いたダブルソール仕様の革靴も存在します。
ダブルソールはシングルソールに比べて重厚さが増し、耐久性と耐水性も向上するのが特徴です。
しかし、その反面、靴底が分厚くなってしまうので、弾力性としなやかが劣ります。
また、シングルソールに比べて足への馴染みも時間がかかってしまいますね。
その上、シングルソールよりも重量が増すので、足が疲れやすいのが特徴です。
さらに、あまり知られてはいませんが、しなやかさがないためつま先面の摩擦が起こりやすく、靴底の減りはシングルソールより早くなってしまいます。
シングル、ダブルとくれば、もちろん革を3枚重ねたトリプルソール仕様の靴も存在します。
とはいっても、トリプルソールはカントリーシューズが発祥なので、ドレスシューズで見かけることはありませんが…。
トリプルソールともなると、その頑丈さは相当なもの。
しかし、重量もそれに比例して重くなってしまいます。
なので、トリプルソールが採用されているのは、山歩き用のブーツやワークブーツがほとんどですね。
また、シングルソールとダブルソールの中間ともいえるハーフミッドソールというソールも存在します。
ハーフミッドソールはスペードソールともよばれ、靴の前半分がダブルソール。
後ろ半分がシングルソールになっているソールです。
シングルソールに近い反りがありながらダブルソールに近い耐久性があるのがハーフミッドソールの特徴といえるでしょう。
見た目より機能性をとるならラバーソール
現在、世の中に出回っている紳士靴の大部分を占めているラバーソール。
一般的に革靴といえば、このラバーソールをまずイメージする人も多いですね。
実際、外に出ることが多いセールスパーソンにとって実用性という点では、レザーソールに比べるとラバーソールに軍配が上がるでしょう。
水を通さず、滑りにくい。
さらには、多少の悪路もものともしない。
レザーソールの短所をひっくり返して、そっくりそのまま長所にしたのがラバーソールといえます。
靴底がゴムで出来ているので、雨の日でも気にせず外を歩き回ることが出来ますし、底には溝がしっかりあるので滑りにくいのもラバーソールの特徴です。
また、レザーソールと比較してラバーソールは頑丈なので、多少の悪路でも靴底を傷めてしまうことはありません。
しかし、レザーソールの短所がラバーソールの長所になるなら、逆もまた真なり。
レザーソールの長所である通気性が悪く、蒸れやすいのがラバーソールの短所といえるでしょう。
また、しなやかさもレザーソールには劣ります。
ですので、足への馴染みに関してもレザーソールのようにフィットしていく感覚というのはあまりないでしょう。
さらに、レザーソールだと靴底がすり減ってきた場合、靴底のみ張り替えることが可能です。
しかし、ラバーソールだと靴底の交換が出来ないので、靴底がすり減ってしまえば、その時点で履くことが出来ないというのもデメリットですね。
さらに、ラバーソールはレザーソールに比べて、フォーマル度が落ちてしまいます。
本来、ラバーソールは冠婚葬祭といった場面では適していないシューズ。
ですので、ラバーソールは使用するシーンについても注意が必要です。
ただ、レザーソールに比べてメンテナンスの心配が不要なので、ガシガシ履けるのがラバーソールの魅力といえますね。
雨や雪といった天候の日には、ラバーソールの革靴が大活躍することでしょう。
レザーソールVSラバーソール比較表
レザーソール ラバーソール
通気性 〇 ×
足への馴染み 〇 △
耐水性 × 〇
グリップ力 × 〇
メンテンス 必要 不要
靴底の交換 交換可能 交換不可
フォーマルシーン 〇 △
通気性 〇 ×
足への馴染み 〇 △
耐水性 × 〇
グリップ力 × 〇
メンテンス 必要 不要
靴底の交換 交換可能 交換不可
フォーマルシーン 〇 △
レザーとラバーだけじゃない!まだまだこんなにあるぞ、ソールの種類
天然ゴムが与えた恵みクレープソール
クラークスが発売しているデザートブーツの象徴ともいえるクレープソール。
多くのラバーソールは合成ゴムを主原料としていますが、クレープソールの主原料はゴムノキの樹液を使った天然ゴムが主原料です。
ゴムノキの樹液であるラテックスに酢酸を添加し、ラテックスを固形化するのですが、その過程で生まれるのがあの特徴的な波型模様です。
クレープソールの特徴は、何と言ってもその柔軟性とクッション性の高さ。
天然ゴム由来の優しくも力強さを感じさせる独特の反発力は、レザーソールはもちろん他のラバーソールでは味わうことが出来ません。
ただし、クレープソールにも弱点があります。
それは、ラバーソールの仲間でありながら雨の日に滑りやすいことです。
また、原料が天然ゴムなので、高温に弱いのも難点ですね。
クレープソールで夏場のアスファルトの上を歩くと、なんとなく地面に粘りつくような感覚を受けてしまいます。
さらには、紙や髪の毛などの汚れも付着しやすくなっているので、こまめに手入れをする必要があるでしょう。
その上、クレープソールは年々劣化していくと共に固くなってしまいます。
ですので、古いクレープソールになると、その独特のクッション性が失われてしまうのも、欠点といえるでしょう。
高いグリップ力が自慢のダイナマイトソール
ダイナマイトソールと呼ばれている名称は実は、正式名称ではありません。
ダイナマイトソールの正式名称は「スタッテッドソール」。
しかし、イギリスにあるハルボロラバー社にある「ダイナマイト」というブランドが生産しているものが有名なので、一般的にはダイナマイトソールとよばれるようになりました。
ダイナマイトソールは底面が凸凹しているので、普通のラバーソールに比べ、よりグリップ力が増しているのが特徴です。
凸凹があるために地面を面ではなく点でとらえることができるので、地面をがっちり掴んでくれるのです。
「雨の日はダイナマイトソール」。
そういうビジネスマンも多いですね。
また、横から見たフォルムもとてもスッキリしており、ラバーソールの中でもよりドレスシューズに向いたソールといえるでしょう。
あぜ道状の線が支えるリッジウェイソール
リッジウェイソールはダイナマイトソールと同じくハルボロラバー社のダイナマイトブランドが製造するソール。
「リッジウェイ=あぜ道」の名前の通り、あぜ道状のひれが靴底に細かく走っています。
ダイナマイトソールが「点」で足を支えるのに対して、リッジウェイソールは「線」で足を支えます。
そうすることで履き心地がダイナマイトソールよりソフトに感じることが可能になるのです。
ただ、ダイナマイトソールよりもカジュアルな印象は否めず、ビジネスシーンでの使用は少し厳しいかな…と思います。
しかし、外羽根式のシューズのようにカジュアルシーンを想定したドレスシューズにはぴったりなソールですね。
ブーツにはぴったりな無骨な印象のコマンドソールとビブラムソール
英語で「奇襲隊」や「ゲリラ隊」の意味であるコマンドソールは、山道や岩場といったより険しい道を歩くことを想定して作られたソールです。
凹凸が大きいので、非常に高いグリップ力を持ち、深く刻まれたトレッドパターンのおかげでどんな悪路にもかかわらず安定した歩行が可能になります。
ブーツで有名なレッドウイングやトリッカーズの靴底にもコマンドソールが採用されていますね。
さらにそのコマンドソールのトレッドパターンをソールの端まで刻み、横からシューズを見た時にまではっきりと見えるソールがビブラムソールです。
ビブラム社は現在、世界最大のラバーソールメーカーでもありますが、1973年にタイヤメーカーであるピレリの協力を得て、開発したこのビブラムソールで有名になりました。
ビブラムソールはコマンドソールに比べてもより無骨な印象を与えるので、カジュアルコーディネートには合わせやすいソールですね。
履き心地はもはやスニーカー!?発砲ラバーソール
発砲ラバーソールとは気泡を取り込んだ合成ゴムを素材としたソールで、極めて軽く、かつ柔らかなクッション性を実現したソールです。
どちらかと言えば、スニーカーのソールに近いイメージですね。
発砲ラバーは合成ゴムの中に空気を細かく気泡状にしたものを取り込んだ後、スポンジ状に固形化しているので、重量は一般的なラバーソールの半分程度となっています。
そのうえ、滑りにくく耐久性もあるので、EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)やポリウレタン製の靴底を使ったスニーカーを履き慣れている人なら発砲ラバーソールがしっくりくるかもしれません。
ラバーソールの重さを克服するコルクソール
合成ゴムにコルクを混ぜた素材を使ったソールがコルクソールです。
耐油性、耐摩擦性に優れた合成ゴムの欠点は「重量が重いこと」。
その欠点を補うために重量の軽いコルクをゴムに混ぜることで丈夫さと軽量さを実現しています。
ワークブーツなどによく見られるソールで頑丈で男らしいイメージがするソールですね。
まとめ
革靴選びの永遠のテーマであるソールの素材選び。
特にレザーかラバーかという選択は、見た目だけの問題だけではなく、将来に渡って長く履き続けるためにもどちらのソールが自分に適しているのかを判断する必要があります。
レザーソールのメリットは、
・通気性に優れている
・足への馴染みが早い
・見た目が良い
・ファーマルシーンでも使える
・靴底のみ交換が可能
・足への馴染みが早い
・見た目が良い
・ファーマルシーンでも使える
・靴底のみ交換が可能
となり、反面、レザーソールのデメリットは以下の通り。
・耐水性がない
・滑りやすい
・メンテナンスの必要がある
・滑りやすい
・メンテナンスの必要がある
一方、ラバーソールのメリット・デメリットは、レザーソールの逆となり
ラバーソールのメリットとして、
・耐水性に優れる
・滑りにくい
・メンテナンス不要
・滑りにくい
・メンテナンス不要
が挙げられるでしょう。
また、デメリットは、
・通気性が悪いので、群れやすい
・足に馴染むまで時間がかかる
・見た目がレザーに比べて劣る
・フォーマルシーンでは使いづらい
・靴底がすり減ってもソールのみの交換ができない
・足に馴染むまで時間がかかる
・見た目がレザーに比べて劣る
・フォーマルシーンでは使いづらい
・靴底がすり減ってもソールのみの交換ができない
といったところですね。
外で履く機会があまりない方ならレザーソールでもいいのでしょうが、外出することが多い仕事で革靴が消耗品になっているような人では悩ましい選択になりますね。
また、単純なレザーソールかラバーソールかといった選択肢以外にもたくさんのソールの選択肢が存在します。
しかし、こういったソールの素材ひとつ選ぶのもファッションの楽しみ。
ソール選びの基準にぜひ、参考にしてみてくださいね。