靴底がかたい革靴とはちがって靴底が柔らかい素材で出来た靴ならば、背後から音を立てることなく忍び寄ることができるという意味を持つ「Sneak(=忍び寄る)」から派生して生まれたスニーカー。
1893年にキャンバス地にラバー素材のソールを合わせた靴がボート競技のために作られて以降、進化を遂げ、現在では0.1秒を競うアスリートだけのものではなくカジュアルシューズとして広く私たちのファッションにも溶け込むようになりましたね。
「普段は革靴ばかり」
そんな人でも、靴箱の中に一足くらいスニーカーがあるという人も少なくないでしょう。
スニーカー誕生から200年以上経つ歴史の中には、「名作」とよばれるスニーカーも続々と生まれています。
世界的スターのアイコニックとなった一足や、スポーツ界のレジェンドとともに歩んだ一足。
名作とよばれるスニーカーにはそれぞれ魅力的なストーリーが存在します。
特にスニーカーブームとよばれ、数々の名作スニーカーを生み出したのが90年代。
2000年代に入り当時の名作スニーカーが続々と復刻され、90年代ファッションのリバイバルと相まってスニーカーブームが再燃の兆しを見せています。
名作とよばれるものは、時代が変わってもその魅力は色あせることがないもの。
それはスニーカーだって同じです。
本物のオトコには本物しか似合わない…。
本物のあなたの足元にもピッタリ似合う名作スニーカーをご紹介いたします。
世界で最も売れているスニーカー adidasスタンスミス
世界で最も売れたスニーカーとしてギネスブックに載っているのがアディダスのスタンスミス。
テニス史に名を刻む往年の名プレイヤーであるスタンスミスの名を冠しているようにテニスシューズとして1973年にファーストモデルが発売されました。
しかし、実は、スタンスミスと呼ばれる以前、このスニーカーは同じくテニスプレーヤーだったロバート・ハイレットが全仏オープンで活躍したのを記念して1963年に作られた「ハイレット」という名前で販売されていました。
その後、スタンスミスがこのハイレットを好んで履いたことからアディダス社がスタンスミスと名称を改めたのです。
白いアッパーに白ソール、さらに白いタン。
かかとのパッチとベロ部分に使われる色もカラーバリエーションがあるにはせよ一色のみ。
スニーカーに使われる色は2色のみと、潔いほどシンプルなのがスタンスミスの特徴です。
また、アディダスのシンボルである3本ラインもパンチ穴と、これ以上シンプルなスニーカーはもはや存在しないのでは?
というくらいのシンプルさ。
2014年に再販されてからもその人気は衰えることなく、世界一売れているにもかかわらず未だに街ではスタンスミスが増殖中。
スタンスミスはシンプルでキレイ目なスニーカーなので、ジーンズだけでなくスラックスなどの大人なコーディネートにも合わせることが出来ますね。
また、白いスニーカーは「汚れが目立ちやすい」と敬遠されがちですが、スタンスミスに使われている素材はガラスレザーという汚れがつきにくい素材になっています。
ですので、白を基調としたスニーカーですが、他の白スニーカーと違い汚れを気にすることなくガシガシ履くことができるのです。
なんとなく「白スニーカー=子ども」というイメージがありますが、スタンスミスは大人が履いてもサマになる白スニーカー。
カジュアルはもちろん、キレイ目コーディネートでもばっちりハマるので、白いスニーカーをお探しならスタンスミスで決まりです。
キレイ目ファッションとも相性抜群 VANSオーセンティック
2016年に創立50周年を迎えたアメリカ・カリフォルニアに本拠地を構えるVANS。
そのVANSから初めて正式に発表されたスニーカーであるオーセンティック。
発売から40年以上経った今でも売れ続けている定番中の定番スニーカーですね。
オーセンティックはスケートシューズとして発売されたので、太めのジーンズが似合います。
しかし、オーセティックがこれほどまでに愛さているのはどんな着こなしにも合わせることが出来るその汎用性の高さではないでしょうか。
細身のパンツにキレイ目なスタイルにも不思議としっくりくるのがオーセンティックの魅力でもあります。
また、スケート用に開発されたスニーカーなので、グリップ力が高く足首まわりのクッション性も高いので、履き心地もバツグンですね。
その割に価格は安いものなら2,000円台から買えてしまうほどのコストパフォーマンス。
そういったところもスニーカー好きから愛される理由のひとつですね。
さらに発売から40年以上経っているにもかかわらず毎シーズン新作が発表されているので、定番モデルとはいえその素材やカラーバリエーションの豊富さは舌を巻くほど。
コラボレーションアイテムも含めると、果たしてこれまでにどれくらいの種類が発売されているのか見当もつきません。
他のブランドからも似たようなデザインのスニーカーが発売されていますが、やはりオリジナルには敵いません。
オーセンティックは足元がスッキリ見えるので、ジャケットスタイルにもぴったりハマります。
特にアンクル丈のパンツと組み合わせたい一足です。
スニーカー界のロールスロイスたるDNAを継承する NewBalance M1400
「まるで雲の上を歩いているようだ」
そう絶賛されるニューバランスの1000シリーズ。
その中でも最高傑作との呼び声が高いのがM1400です。
スニーカーのロールスロイスとも呼ばれる超ド定番である名作M1300の後継モデルであるM1400。
M1400は1980年代に開発されますが、そのクッション性を支えるエンキャップとよばれるニューバランス独自のソールが当時の技術では大量生産できませんでした。
そのため、一時M1400はお蔵入りとなり、次のM1500が先に発売されたという逸話はスニーカーマニアの中では有名な話。
その後、安定的に供給できるようになってから発売が再開されたほどニューバランス社のこだわりが詰まった一足です。
ランニングシューズとして開発されたので、クッション性と地面についた時の反発力の高さが雲の上を歩いているような履き心地を実現。
それもそのはず、M1400はアメリカの工場で職人さんの手によろ1足1足、丁寧に作られているのです。
そのクラシックな見た目と落ち着いた配色はニューバランスが「大人のスニーカー」と呼ばれるのも納得ですね。
それがたとえスーツであっても違和感ないほどのしっくり具合。
また、M1400はスニーカーには珍しく履けば履くほど味が出てくるのも魅力のひとつですね。
個人的に女子に履いて欲しいスニーカーナンバーワンですが、大人のオトコが一生モノのスニーカーとして選んで欲しい一足です。
履く人のオシャレセンスをアップ Reebokインスタポンプフューリー
90年代にナイキのエアマックス、プーマのディスクブレイズと共にハイテクスニーカーブームをけん引したのがリーボックのインスタポンプフューリー。
初めて見た時は、スニーカーなのに靴紐がないというそのフォルムに腰を抜かしたものです。
インスタポンプフューリーは靴紐を使って締め付けを調整するのではなく、丸いボタンを押すことで空気が入っていくことでフィット感が増していく「ポンプテクノロジー」とよばれるハイテクノロジーを搭載しています。
1989年の発売なので、発売開始から30年近く経ちますが、今見ても『近未来的』に見えるその様はさすがの一言。
インスタポンプフューリーを履くだけでその人のオシャレ度がワンランクもツーランクも上がって見えてしまうので不思議です。
また、見た目だけではなく靴紐を使うスニーカーより自分の足にフィットしやすいので、歩きやすく足が疲れにくいのも特徴です。
カラーバリエーションもビビッドなものからモノトーンなものまで揃っていますので、自分のファッションスタイルに合わせて選ぶことが出来るのもいいですね。
アウトドアファッションやスポーツファッションにはドストライクなポンプフューリーですが、ジャケパンスタイルのコーディネートでドレスダウンしたい時にも使えますよ。
スニーカーは少し大きめのサイズを選んでしまいがちですが、ポンプフューリーはジャストサイズが見た目にも履き心地にもベスト。
サイズを選ぶときは必ずジャストサイズを選ぶようにしましょう。
ジェームス・ディーンやカート・コバーンも愛した converseジャックパーセル
オールスターと並びコンバース社の定番スニーカーであるジャックパーセル。
ジェームス・ディーンにカート・コバーンといったレジェンドからも寵愛を受け、彼らとともに時代を彩ってきた伝説的なスニーカーです。
ジャックパーセルの特徴といえば、つま先に刻まれた”スマイル”とかかとのソール部分に貼りつけられた”ヒゲ”。
スマイルはつま先部分に黒いラインが引かれているデザインが口角を上げているように見えることからスマイルとよばれるようになったのが由来。
このスマイルが程よいアクセントとして効いていますね。
また、ヒール部分に鎮座するヒゲは当時開発された特許技術であるポスチャー・ファンデーション(P.F.)を抽象化してデザインされたただの記号でした。
実は、この技術が採用されたのは1955年なので、それ以前のジャックパーセルにはヒゲが描かれていません。
では、そのポスチャーファンデーションとはいったいどんな技術なのでしょうか?
これはインソールの土踏まず部分が他の部分より厚くすることで、インソールに傾斜をつけ安定性を高めるための技術になります。
なので、ヒゲはその傾斜がついたインソールを表す描写になっているのですね。
しかし、このポスチャーファンデーションの特許技術はおろかジャックパーセル自体、もともとコンバース社が開発したスニーカーではありませんでした。
ジャックパーセルはタイヤメーカーであるグッドリッチ社の中にあるピーエフフライヤーズというブランド名で販売されていたスニーカーでした。
その後、1972年にコンバース社にグッドリッチ社のシューズ部門が買収されたためコンバース社から販売されることになったのです。
(余談ですが、当時はタイヤメーカーがスニーカーを開発するのは珍しくない時代でした。)
ただ、当時、アメリカのスニーカー市場の上位であったコンバースとピーエフプライヤーズが合併することは独占禁止法に抵触すると指摘されたことからジャックパーセル以外のスニーカーはコンバース以外に売却され、ジャックパーセルのみが生き残る形となります。
スマイルやヒゲが特徴的なジャックパーセルですが、実は最もカッコ良く見えるのは、サイドからのフォルム。
ソールの厚みや適度に反り返ったトゥ部分にアッパーの厚みと、バランスが最高に取れています。
定番すぎるほどのスタイルですが、黒のジャックパーセルに適度にダメージがあるジーンズというスタイルはいつの時代も色褪せないですね。
レトロなのにどこか新しい ASICSオニツカタイガー
世界的大ヒット映画である『キル・ビル』の中で主演のユマ・サーマンが履いていたことでも話題になったアシックスのオニツカタイガー。
オニツカタイガーとは1949年に鬼塚喜八郎が創業したスニーカーブランドで、バスケットシューズやランニングシューズを手がけていました。
その後、オリンピック日本代表にもスニーカーを提供するようになり、オニツカタイガーを履いた選手が続々とメダルを獲得するようになると、その名は世界に轟くこととなります。
しかし、オリンピック景気の終焉とともにオニツカタイガーの人気も低迷。
1977年、スポーツ用具メーカーのジィティオ、スポーツウェアメーカーのジュレンクと経営統合し、社名をアシックスに改めまることになります。
その統合の際、創業者の鬼塚氏が手掛けたオニツカブランドの販売は消滅することになってしまいました。
しかし、2002年にヨーロッパでのレトロブームに目をつけた現地法人社長である尾山氏の英断でオニツカブランドを復活させたことが現在の人気へとつながっています。
オニツカタイガーといえば、細身のシルエットに薄いソール。
当時としては斬新だったカラーリングで一目見ただけでオニツカだ!と分かるレトロなデザインが人気の秘密です。
タイト目のジーンズや今、流行のジョガーパンツにはピッタリなスニーカーですね。
オニツカタイガーは量販店では販売されず、直営店のみの販売。
ですので、人と被らないスニーカーをお探しなら、オニツカタイガーはおすすめです。
ハイテクなのにシンプル PUMAディスクブレイズ
90年代のハイテクスニーカー御三家のひとつであるプーマのディスクブレイズ。
ディスクブライズの見た目で異彩を放つのが、アッパー部分にあるディスクシステムとよばれるダイヤルです。
リーボックのポンプフューリーがボタンを押すことでスニーカーが足にフィットするようにディスクブレイズはこのタイヤルを回すことで足にフィットするハイテクシステムを搭載しています。
プーマは90年代に他のスニーカーブランドに先駆けてストリートシーンへアプローチを試みていたので、多くのブランドやショップとのコラボレーションアイテムも豊富なのが人気を支えた理由でもありすね。
当時は斬新すぎると言われたデザインもようやく時代がディスクブレイズに追いついた感もあり、人気が再燃中。
ダイヤルを回すことでフィット感を調節できるので、足の甲が高くて合うスニーカーがあまりない…。
といったお悩みを持っている人もしっくり履けるのでは?
ハイテクなのにシンプル。
チノパンの裾からチラ見えする黒や白といったモノトーンカラーのディスクブレイズこそ大人が履きたいスニーカーですね。
90’sスニーカーブームの代名詞 NIKEエアマックス
スニーカー史の歴史に燦然と輝く名を遺すスニーカーであるナイキのエアマックス。
最高で38万円で取引されたり、『エアマックス狩り』という物騒な社会現象を起こしたりと90年代スニーカーブームの代名詞とも言えるスニーカー。
発売から20年以上経ちますが、初代エアマックスを見ても色あせないカッコよさがありますね。
今ではスニーカーのクッション性を高めるために当たり前のように搭載されているクッションシステムであるAirが搭載されているので、履き心地もバツグン。
初代であるエアマックスは履いた時の体重によりそのエアバッグが変形した時の空気の逃げ道としてソールに窓をつけたのですが、これが機能性だけではなくデザイン面でも評価され、以降のエアマックスシリーズではこの窓がその象徴ともなりました。
初代以降、エアマックス90、エアマックス180と進化を続け、スニーカー史上最も成功したであろうエアマックス95が登場します。
それまでグレーという色はスニーカーとして人気がない色でしたが、エアマックス95のデザインを担当したデザイナーのチャレンジでグレーとネオンイエローという色の組み合わせにチャレンジ。
これがヒットしたことで、エアマックス95以降、グレーはスニーカーの定番カラーとして扱われることになりました。
2000年代に入り、ナイキはエアマックスを続々と復刻させ、90年代のスニーカーブームを知らない若者の間でもエアマックスは大人気。
現在でもストリートの定番アイテムとして履き続けられているスニーカーです。
まとめ
発売から何十年という時が経っても今なお支持される名作スニーカーの数々。
今、見ても斬新なデザインに見えるのが不思議ですよね。
ハイテクスニーカーブームを作ったエアマックス、ポンプフューリー、ディスクブレイズにレトロデザインのオニツカタイガーは今、流行の細身のジーンズやジョガーパンツに合わせたい一足。
ジャックパーセルやスタンスミス、オーセンティックといったシンプルなスニーカーはカジュアルにはもちろんジャケパンスタイルにも合わせることが可能ですね。
名作とよばれるスニーカーは、時代を超えて私たちの心を揺さぶるもの。
本物のオトナだからこそ履きこなせる名作スニーカーたちをぜひ、お試しください。