男性の身につける数少ないファッションアイテムの一つ「革財布」
ひとえに「革財布」と言っても、世界中の様々なブランドから実に多くの製品が販売されています。
財布に使われている革そのものの種類も様々で、革として一般的な牛革だけ見ても、「カーブ」や「キップ」、「ステアハイド」など色々あります。
そんな数ある革の中でも「世界三大レザー」と呼ばれている革を、あなたはご存知でしょうか?
革マニアなら誰もが知っている、牛革の「ブライドルレザー」、馬革の「コードバン」、ヌメ革の「イタリアンレザー」が「世界三大レザー」と呼ばれる革です。
この記事では、その「世界三大レザー」の特徴などと合わせて、代表的なブランドと財布をご紹介します。
「世界三大レザー」の魅力を知れば、あなたもきっとその革財布を手に取ってみたくなることでしょう!
ブライドルレザーってどんな革?
「ブライドルレザー」は、牛革のカウハイド(生後2年以上の雌牛の皮)やステアハイド(生後2年以上の去勢された雄牛の皮)を原皮とする皮革です。
「ブライドルレザー」の「ブライドル」とは、手綱など馬の頭部につける馬具のことで、14世紀頃のイギリスにて、騎手や貴族などのために作られていた馬具が、「ブライドルレザー」という名称の由来になったとされています。
湿気の多いイギリスの気候に加え、馬の汗やよだれで革が劣化するのを防ぐために、工夫が必要でした。
そこで、革に防水性を持たせるために、ミツバチが巣を作るために体から出す「蜜蝋」などの蝋や植物性油などのワックスを、何度も革に塗り込む製法が生み出されました。
「ブライドルレザー」の製造工程は、植物の葉などに含まれる水溶性化合物の「タンニン」を使い、原皮の牛皮を製品に使用する牛革にする「なめし」をしたあと、「蜜蝋」などの蝋を、何週間もの長い時間と手間をかけて、何度も丁寧に塗り込みます。
何度も繰り返し蝋を塗りこむことで、革の繊維が引き締まり、非常に丈夫な革に仕上がります。
馬に乗る人の命に関わる馬具に使う革として開発された「ブライドルレザー」は、頑丈で耐久性が高く、傷や汚れにも強いため、手入れを怠らなければ、何十年も使える革です。
また、植物由来の天然素材だけを使っている「タンニンなめし」は、有害物質などが含まれておらず、環境にやさしい製法です。
「ブライドルレザー」の一番の特徴は、革に塗りこまれた「蜜蝋」などの蝋が、革の表面に浮き出た「ブルーム」と呼ばれる、白い粉です。
「ブライドルレザー」で作られた、新品の革製品は、革の表面に「ブルーム」が浮き出ていますが、製品を使い込んでいくほどに取れてきて、革の表面は非常に美しい艶の、独特な光沢感になります。
この「ブライドルレザー」の経年変化が、革マニアには惹きつける理由の一つとなっています。
「ブライドルレザー」のタンナー(革をなめす工場)は、発祥地であるイギリスに多く、有名なところでは「セドウィック社」、「コノリー社」、「J.ベイカー社」などがあります。
特に1906年創業の「セドウィック社」は、世界でも有数のタンナーで、現在トップシェアを誇る会社です。
「ブライドルレザー」の生産には、半年から1年半という、とても長い期間と手間がかかるうえコストも高くつくので、数ある革の中でも特に高級な革とされています。
「ブライドルレザー」は硬く丈夫な革なので、財布などの製品を作る際の縫製には高い技術が必要で、高い技術を持つ熟練職人にしかできないとされています。
「ブライドルレザー」は日本で人気の高い革です。
気品溢れるその質感は、スーツやジャケットとの相性もよいため、ビジネスシーンでよく映え、特に大人の男性の高い支持を受けています。
また、使い込んでいくほどに「ブルーム」が取れてきて、独特の艶と光沢感が出る経年変化は、革好きの人を虜にします。
ブライドルレザー好きならこのブランドのこの財布
WHITEHOUSE COX(ホワイトハウスコックス)
「ホワイトハウスコックス」は1875年にイギリス北西部にあるウォルソールで、ホワイトハウスとサミュエル・コックスにより創業された老舗ブランドです。
創業から1920年代までは、質の高い鞍や手綱などの馬具や、イギリス軍向けの軍用製品を主に製造していました。
その後1930年代に入り、「ホワイトハウスコックス」は、ペット用の首輪や、上流階級向けのカフスボタン入れなどの革小物、そしてバッグなどファッション性の高い製品を作るようになりました。
その革製品に使われたのが「ブライドルレザー」で、当時、縫製に高い技術が求められる「ブライドルレザー」をこのような革小物に使われることは稀でした。
このことからもわかるように「ホワイトハウスコックス」は、創業当初から高い技術を持っていたブランドです。
その後1970年代後半には、たまたま高級百貨店のペット用品コーナーで、「ホワイトハウスコックス」が「ブライドルレザー」で作った、首輪などのペット用品が、アメリカ・ニューヨークのデザイナー、ラルフ・ローレンの目にとまりました。
このことをきっかけに、ラルフ・ローレンの依頼で人間用のベルトなどが作られ、「ポロ」ブランドで売り出されると、大ヒットしました。
ここから「ホワイトハウスコックス」の海外進出が始まりました。
そして現在では、鞄や財布など、洗練されたデザインの革製品作るようになりました。
「ホワイトハウスコックス」の「ブライドルレザー」は、創業当初から、染色や仕上げなどを独自にオーダーしたもので、常に厳しいチェックを受けている、高品質なものです。
イギリス国内の他、ヨーロッパから厳選した、最高級のカウハイドを使い、天然成分の溶液に浸す「フルベジタブル・タンニング」で、約6週間かけて皮をなめします。
その後3週間かけて、天然成分の染料で「アニリンフィニッシュ」を行い、革の奥深くに獣脂の「タロー」がしっかりしみ込むまで、塗り込みます。
そして、2週間程ねかせて、ようやく高品質な「ブライドルレザー」が仕上がります。
なかでも「イングリッシュブライドルレザー」は、約10週間かけて、丁寧に「タンニンなめし」を行い、天然の染料を革の奥深くに染み込ませ、時間をかけて作られています。
このような最高品質の「ブライドルレザー」を使い、高い技術を持つ職人が伝統製法を用いて作り出した製品は、数多くの革マニアから支持されています。
S9676 LONG WALLET
素材:牛革(ブライドルレザー)
サイズ:幅17.5cm 高さ9cm
カラー:ブラックなど全6色
収納:札入れ2、コインケース1、カード入れ8、ロングポケット2
価格:¥39,000(税別)
ETTINGER(エッティンガー)
「エッティンガー」は1934年にイギリスのロンドンで、ジェラルド・エッティンガーによって創業されたブランドです。
その手作りの革製品が評判になり、バーニーズ・ニューヨーク、バーグドーフ・グッドマンなどの有名ショップ向けに、財布などのオリジナル製品を作ってきました。
1996年には、「ロイヤル・ワラント(イギリス王室御用達)」になり、2000年には、「ギフト・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、一躍メディアの注目を浴びるようになりました。
「ロイヤル・ワラント」は品質などの厳しい審査に通らないと認められないもので、一度通っても更新の審査に落ちてしまえば、即取り消しになります。
このことからも「エッティンガー」の品質が安定していることが伺えます。
「エッティンガー」の革小物は、イギリスのチャールズ皇太子をはじめ、トニー・ブレア元首相など、たくさんの著名人に愛用されています。
「エッティンガー」製品は、厚くて堅い「ブライドルレザー」の耐久性を保ちながらも、できる限り革を薄く削ぎ、細い糸で縫うことで、財布を二つに折っても厚くならず、スマートな仕上がりになっているのが特徴の一つです。
また、「エッティンガー」と言えば、財布の外側と内側が別な色になっている、ツートーンカラーがよく知られていますが、これは75年以上前の創業当時から使われていました。
当時、黒一色の財布がほとんどだった中、いちはやくツートーンカラーの財布を生み出し、それ以来、一貫してお洒落な財布を作り続けています。
ブランドロゴが目立たない、シンプルなデザインはスーツにもよく合い、ビジネスシーンには最適です。
日本にも1999年から本格的に進出しました。
OH141JR BILLFOLD3C/CARDS&COIN PURSE
素材:牛革(ブライドルレザー)
サイズ:幅11.4cm 高さ9cm
カラー:ブラックなど全6色
収納:札入れ2、コインケース1、カード入れ3、ポケット4
価格:¥39,960(税込)
GLENROYAL(グレンロイヤル)
「グレンロイヤル」は1979年にスコットランド中西部のエアシャーで、ピーター・パティソンにより創業されたブランドです。
「グレンロイヤル」の社名は、スコットランド語の「谷・渓谷」を表す「GLEN」と、スコットランド王室を表す「ROYAL」が組み合わされたもので、その社名には「純粋さ、高い品質、古くから伝わる伝統、真正の本物、由緒正しさ、信頼性、高い耐久性、正直さ、勤勉な民族」などの意味が込められています。
創業者ピーター・パティソンは、アートスクールでプロダクト・デザインを学んだ後、バッグを取り扱う「キーバックス社」に就職して、わずか一年という早さでデザイン・ディレクターに就任した人物です。
その四年後に「チェッカーレザー社」を設立しました。
「チェッカーレザー社」は「グレンロイヤル」以外に、アメリカなどの海外向けブランドを持っていますが、本拠地スコットランドで作られているのは「グレンロイヤル」だけです。
「グレンロイヤル」の全ての製品には、高品質の「ブライドルレザー」が使われていて、中でも「フルブライドルレザー」は、染色に化学染料や顔料などを一切使わないため、より自然な経年変化を楽しめます。
スコットランドの革職人だけが持つ伝統技術により、高品質な「ブライドルレザー」のコバ(縁)が丁寧に手で磨き上げられ、美しい仕上がりの革製品が出来上がります。
日本での知名度こそ前述の二社より低い「エッティンガー」ですが、革の品質、さりげなくお洒落なデザインなど、高い評価を受けているブランドです。
ROUND LONG PURSE
素材:牛革(ブライドルレザー)
サイズ:幅18cm 高さ9cm マチ2.5cm
カラー:ブラック、シガー
収納:札入れ4、ジップコインポケット1、カード入れ5
価格:¥41,040(税込)
コードバンってどんな革?
「コードバン」とは、主にフランスやスペインなどのヨーロッパで、食肉用として生産されている馬の皮を原皮とする馬革のことです。
原皮となる馬は、かつて農耕馬としても飼育されていましたが、現在では食肉用のみとなり、ひと月の生産量が全体で僅か数千頭となっています。
サラブレッドなどのごく一般的な馬からは採れず、馬一頭から採れる「コードバン」の量がごく僅かなうえ、馬の生産量も年々低下しているため、非常に希少価値の高い皮革素材です。
「コードバン」を作る際、馬の臀部(尻)の皮下に「コードバン層」と呼ばれる2mm程度の薄い繊維質の層を取り出す作業が必要になります。
「コードバン層」を取り出すには、馬の臀部の皮を少しずつ削っていくのですが、削り過ぎると傷がつき、使い物にならなくなるので、熟練された高い技術を持つ職人にしかできない作業となっています。
また、「コードバン」は1970年代までは、ヨーロッパでも作られていましたが、完成までに半年から10か月程度と、長い期間を要し、手間とコストがかかるため、現在では、アメリカ・シカゴにある100年以上の長い歴史を持つ「ホーウィン社」と、1951年に創業された、日本の兵庫県姫路市にある「新喜皮革」の二社のタンナー(革をなめす工場)でしか作られなくなりました。
「コードバン」は、一般的な革が「床」と呼ばれるベース部分と、「銀面」と呼ばれる革の表面部分の二層構造なのに対し、「床」にあたる「コードバン層」のみの単層構造となっています。
一般的な革は、手入れなしで長く使っていると、革の表面部分の「銀面」が歪んできて、「床」と「銀面」の間に隙間ができる「浮き」と呼ばれる現象が出る場合がありますが、「コードバン」は、「浮き」が出ることがなく、耐久性に優れています。
また、一般的な革は「コラーゲン繊維」がそれぞれ絡み合いながら横に並んでいますが、「コードバン」は「コラーゲン繊維」が整然と縦に並んでいます。
単層構造のために、そのきめ細かい「コラーゲン繊維」がむき出しになっているので、非常に滑らかでしっとりした手触りになっています。
また、きめが細かいため、傷がつきにくくなっています。
そして、繊維の密度が牛革の三倍から五倍と高いため、「コードバン」で作られた革製品は型崩れしづらい、とされています。
「コードバン」は植物由来の天然素材を使った「タンニンなめし」でなめされているため、革本来の味が損なわれない、自然な仕上がりになっています。
「コードバン」の経年変化としては、使い込んでいくごとにゆっくりと、独特の光沢感が出てくることが挙げられます。
「コードバン」は、その希少性の高さや高級さなどから、「革の王様」と呼ばれています。
また、「コードバン層」を削り出していく緻密な作業から「革のダイヤモンド」とも呼ばれています。
コードバン好きならこのブランドのこの財布
GANZO(ガンゾ)
「ガンゾ」は、1917年に東京日本橋で創業された株式会社味岡が、2001年に立ち上げたブランドです。
「時が経つほどに、そして使い込むほどに、持つ人の個性と共にエイジングを重ね、やがて唯一無二の逸品となる」というコンセプトのもと、素材選び、皮の裁断や皮を削る漉き、なめしから縫製、磨きといった工程のすべてに、いっさい妥協することなく「本物」を追求しているブランドです。
「ガンゾ」は、皮が持つ本来の風合いを最大限に生かすことにこだわっています。
工程の一つ「革断ち」では、皮表面の模様である「シボ」の出方が異なっている、大判の皮一枚一枚の「シボ」を記憶し、それぞれの皮からパーツを切り出し、製品の「シボ」が揃うように異なる皮を組み合わせるなど、一つ一つの工程に細やかな気を配り、丁寧に仕上げられています。
SHELL CORDOVAN 2 (シェルコードバン2)ファスナー付き長財布
素材:馬革(シェルコードバン)
サイズ:幅19cm 高さ9.7cm マチ2cm
カラー:ブラックなど全3色
収納:札入れ1、コインケース1、カード入れ12、内ポケット3
価格:¥95,040(税込)
CYPRIS(キプリス)
「キプリス」は、1995年に創業された株式会社モルフォのブランドです。
機能へのこだわり、製造技術の向上を常に追求していて、特に革の品質にはこだわっており、自社基準の検査に合格したものだけを厳選して使っています。
馬革に「コードバン」を始め、牛革の「カーフ」、ワニ革の「クロコダイル」やトカゲ革の「リザード」といった多くの種類の革を使った製品を生み出しています。
また、財布作りの技術が高く、価格もリーズナブルなのでコストパフォーマンスが非常に良い、と高く評価されています。
「菊寄せ」と呼ばれ、財布を作る際に、財布の角に集まった革のたるみを、均一にしわ寄せする作業など、縫製技術が高く評価されている熟練職人による仕上がりの綺麗さは目を引きます。
その品質の高さで、2003年から10年連続で「百貨店バイヤーズ賞」に選ばれています。
ラインナップの中でも「ナチュラルコードバン」は、皮のなめし作業のあと、無染色のままオイルを加えて艶出し加工をして、仕上げられています。
無染色のため「コードバン」の持つ自然な風合いが残っていて、皮の毛穴や色ムラが目立つ仕上がりとなっています。
製品ごとに異なった趣も見せる「ナチュラルコードバン」の革財布は、使い込んでいくことに湯ゆっくりと光沢感が変わっていく、経年変化が楽しめます。
また、「ナチュラルコードバン」の財布は、他ではあまり作られていないため貴重なラインナップです。
長財布(マチなし束入) ナチュラルコードバン
素材:馬革(コードバン)
サイズ:幅18.8cm 高さ9cm マチ1cm
カラー:ブラックなど全6色
収納:札入れ1、カード入れ10、ポケット1
価格:¥43,200(税込)
THE WARMTH CRAFTS MANUFACTURE(ウォームスクラフツマニュファクチャー)
「ウォームスクラフツマニュファクチャー」は、世界で二社しかない「コードバン」を製造している会社の一つで、日本の有限会社新喜皮革が立ち上げたブランドです。
アカシアの樹皮エキスのみを用いた、古式製法にこだわり、原皮の調達を始め、なめし、染色と加脂、仕上げまでを一貫して製造する世界的にも珍しいブランドです。
新喜皮革は、馬体が大きく、高品質な「コードバン層」を含んでいる原皮をヨーロッパの特定地域限定で輸入しています。
「ウォームスクラフツマニュファクチャー」の製品は、国内トップクラスの協力工場を始め、新喜皮革のホースハイド・コードバン生産工場横に構えたアトリエで、一つずつ職人が丹精込めて作られています。
1954年の創業以来、馬革一筋で積み上げて来た経験を基に、個性的で使い勝手が良く、「コードバン」の軽くてしなやかな特徴を生かした革製品を作り出しています。
は日本や、
2300 BR COMPOSITE
素材:馬革(コードバン)
サイズ:幅19.8cm 高さ10cm 厚さ2cm
カラー:ブラウン
収納:札入れ2、カード入れ8、ファスナーポケット1、ポケット大4
価格:¥48,000(税別)
イタリアンレザーってどんな革?
「イタリアンレザー」とは、イタリアのトスカーナ地方で製造されてる、ある一部の革の総称で、イギリスの「ブライドルレザー」、アメリカの「シェルコードバン」とならぶ、世界三大レザーの一つとされている革のことです。
「イタリアンレザー」で使われている「ベジタブルタンニンなめし」製法は、紀元前3000年頃に古代オリエントで始まったとされる、長い歴史と伝統を持つ製法で、その技術は紀元前8世紀頃にヨーロッパに伝わったとされています。
「イタリアンレザー」と聞くと、イタリアで作られているすべての革のことを指すように思えますが、イタリアの「ベジタブルタンニン協会(植物タンニンなめし革協会)」に認定された革だけを、そう呼びます。
この認定を受けるには、次の三つの基準「定められた植物タンニンなめしの製造工程を遵守する」、「植物の抽出成分のみを使ってなめす」、「主要工程をトスカーナ州内で行う」を満たす必要があり、どこのタンナーでも出来るわけではありません。
イタリア・トスカーナ地方のタンナー(革をなめす工場)は高い技術力と、革の歴史や文化に対する知識や伝統を受け継いでいく、という崇高な意識をもっています。
古代中世からの長い歴史を持つ、伝統製法で仕上げられた革が「イタリアンレザー」です。
ミネルバボックス
「ミネルバボックス」は、世界的にも有名なイタリアのタンナーで、1967年創業の「バダラッシカルロ社」で作られている革です。
牛革のカウハイド(生後2年以上の雌牛の皮)を原皮とし、イタリア伝統製法の「バケッタ製法」で作られています。
イタリア・フィレンツェに1000年前から伝わる「バケッタ製法」とは、植物の葉などに含まれる水溶性化合物「タンニン」で皮をなめした後に、時間をかけて牛脚の脂を加え、最後に手染めで仕上げる、時間と手間とコストがかかる製法です。
その特徴の一つに、「シボ」と呼ばれる、製造工程で出来る革表面の模様があり、革の持つ自然な風合いが楽しめます。
革の質感は、たっぷりと牛脂を含んでいるのため、柔らかく、しっとりとした手触りです。
また、使い込んでいくごとに、艶の少ないマットな質感だった革の表面が色濃くなっていき、艶のある光沢が出てくるといった、天然仕上げならではの経年変化を楽しめます。
パティーナ
「パティーナ」は、植物の葉などに含まれる水溶性化合物「タンニン」のみで皮をなめして、オイルを加えて仕上げられた、「ベジタブルタンニンレザー」と呼ばれるヌメ革のことです。
牛のショルダー(肩)から採った牛革を原皮としています。
「パティーナ」の最大の特徴は、原皮の持つシワや色ムラが分かりやすいことです。
一般的な皮革は、皮をなめした後、顔料や染料などで染めて仕上げられていますが、「パティーナ」はそのような染色をしないため、皮が持つ自然な風合いが残ったままの仕上がりになっています。
革には傷やシワ、血管や毛穴の痕などが見られ、革の匂いも残っています。
天然素材のみで作られているため、環境に優しく、廃棄後も土にかえすことができる、エコな革とも言えます。
ヌメ革は、他の一般的な皮革に比べ、繊維の目が詰まっているため非常に丈夫なため、手入れ次第で数十年使えます。
しかし、表面加工がされていないので、革表面に傷がつきやすいです。
「パティーナ」の革製品の使い始めは、繊維の目が詰まっているため、固くガサガサしていますが、使い込んでいくごとに繊維がほぐれて柔らかくなってきます。
また、艶が出てきて、色もあめ色へ変わり、使う人ごとに異なった顔を見せます。
このように使い込んでいくことによる、経年変化を楽しめます。
注意としては、ヌメ革は表面の加工がないので、革の中でも特に水に弱いことで知られています。
特に使い始めてばかりの頃は、水に濡れるとすぐにシミになってしまうので、注意が必要です。
ただし、シミで色が濃くなってしまった部分も、経年変化によって目立たなくはなっていきます。
ブッテーロ
「ブッテーロ」は。イタリアのトスカーナ地方にある「ワルピエ社」という、小さな老舗タンナーで作られている牛革です。
また、「ワルピエ社」は、前述の「パティーナ」も作っているタンナーです。
「ステアハイド」と呼ばれる、生後2年以上経過した去勢された雄牛の皮の、牛一頭から採れる量が限られているショルダー(肩)の部分を原皮としていて、希少性が高い高級な革として、知られています。
「ブッテーロ」も「パティーナ」同様、イタリアの伝統的手法で、植物由来の「タンニン」を使って皮をなめし、植物性のオイルを加えて仕上げられています。
染色については、花や樹の皮などの天然植物から作られた染料で染めています。
天然素材の染料を使っているため、革の匂いや質感が残った仕上がりになっています。
また、革の表面に「トラ」と呼ばれるシワや傷が残っていて、製品一つ一つ違った顔を見せる個性的な仕上がりも特徴の一つとなっています。
「ブッテーロ」の手触りはしっとりとしていて、艶やかな光沢感があります。
また、色鮮やかな発色や、豊富なカラーバリエーションも人気の一つなっています。
「ブッテーロ」は特に経年変化が魅力的とされており、使い始めは光沢感が少ないマットな質感ですが、使い込んでいくごとに透明感のある艶が出てきて、色の深みも増していきます。
こちらも「パティーナ」同様、傷や水に弱いので、取り扱いには注意が必要ですが、たっぷりとオイルを染み込ませてあるため、乾いた布で磨き上げれば、傷がさほど気にならなくなるようになります。
イタリアンレザーならこのブランドのこの財布
アヤメアンティーコ(AYAME ANTICO)
「アヤメアンティーコ」は2014年に創業された新しい皮革ブランドです。
創業者の菖蒲智氏は、「イタリアンレザー」の本場イタリア・フィレンツェに単身で渡り、イタリアの伝統的な革製品作りを学んできた経験を持つ方です。
「アヤメアンティーコ」の革製品は、前述の「パダラッシカルロ社」で作られている「ミネルバボックス」や「ミネルバリスシオ」が使われています。
「イタリアンレザー」の本場イタリアに工房を持ち、そこではイタリアの熟練職人が、ミシンを使わず手作業により革製品を作っています。
一方日本の工房では、日本の熟練職人が、使い慣れたミシンを使って、一つ一つの革製品を丁寧に仕上げています。
「イタリアンレザー」にこだわり、日本とイタリアの工房それぞれから、魅力的な革製品を送り出しているブランドです。
ポルタフォーリオ ソッティーレ
素材:ヌメ革(ミネルバリスシオ)
サイズ:幅19.5cm 高さ9.5cm 厚さ1.5cm
カラー:カフェラテ、オルテンシア
収納:札入れ2、小銭入れ1、カード入れ8
価格:¥25,000(税込)
COCOMEISTER(ココマイスター)
「ココマイスター」は2011年に創業された日本のブランドで、歴史は浅いものの、人気があり、品質なども高く評価されています。
「ココマイスター」のブランドコンセプトは、ヨーロッパ産の最高品質の革を使い、世界最高峰の技術を持つ日本の熟練職人の手によって革製品の製造を行う、というものです。
そのため良いとこ取りになっていて、革の品質、仕上がりともレベルの高い革製品が生み出されています。
革のラインナップは、この記事で取り上げている「世界三大レザー」全てをラインナップしていて、革の仕入先も、前述の「セドウィック社」、「新喜皮革」。「パダラッシカルロ社」など、一流メーカーからとなっています。
保証も手厚く、無料の会員サービスに入会すると、通常の使い方で壊れた場合は、永年保証が受けられます。
東京、大阪、名古屋、神戸にある実店舗とオンラインの直営店でのみ販売されていて、オンライン購入では、届いた製品が思っていた感じと違ったなどの場合、14日以内であれば返品・交換に応じてくれます。
パティーナ 長財布
素材:ヌメ革(パティーナ)
サイズ:幅19.1cm 高さ8.5cm マチ2cm
カラー:ブラックなど全4色
収納:札入れ1、ファスナー付き小銭入れ1、カード入れ6、フリーポケット4
価格:¥21,000(税込)
IL BISONTE(イルビゾンテ)
「イルビゾンテ」は1969年にイタリアのフィレンツェで創業されたブランドです。
「イルビゾンテ」の最大の特徴はオリジナルのヌメ革にあります。
前述にあった、植物由来の「ベジタブルタンニンなめし」でなめされ、じっくりと時間をかけて牛脚の脂を加えて仕上げる、イタリア伝統製法の「バケッタ製法」で仕上げられたヌメ革は、一つ一つ違った風合いを持ちます。
また、明るめのカラーリングも特徴の一つで、定番の長財布や二つ折り財布から、小銭入れやカードケースなどを、豊富にラインナップしています。
ヌメ革特有の経年変化が楽しめるため、革マニアが好むブランドです。
三つ折り財布
素材:ヌメ革(牛革)
サイズ:幅10.5cm 高さ8.5cm 厚さ2.5cm
カラー:オレンジなど全12色
収納:札入れ2、ファスナー付き小銭入れ1、カード入れ4、パスケース1
価格:¥25,920(税込)
まとめ
以上、「世界三大レザー」と呼ばれる「ブライドルレザー」、「コードバン」、「イタリアンレザー」について、その特徴と代表的なブランド・財布についてご紹介しました。
「ブルーム」が取れて独特の光沢感が出てくる経年変化が楽しめる、牛革の「ブライドルレザー」、希少価値が高く「革のダイヤモンド」とも呼ばれる「コードバン」、1000年前からの伝統製法で作られている天然仕上げの「イタリアンレザー」、それぞれ魅力的な特徴を持つ革ばかりです。
あなたもこれら「世界三大レザー」の一つ一つを手に取ってみて、その違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。