デニムはカジュアルな装いの代表選手。
だけど残念かな、履きこんだ味のあるジーンズと、ヨレヨレの手入れをしていないジーンズを『はき違えて』いるオジサマのなんと多いことか。
かと思えばジーンズのセンターにアイロンをかけて(!)履いている人を見かけたことがあり、驚きを通り越して希少なものを見たと、感動すら覚えたこともあります。
大人のデニムはもはや、お子さまのカジュアルファッションとは一線を画したアイテムとなっています。
本当の大人の男のデニムファッションは、そんじょそこらのお子さまには出せない渋みとダンディズムを表現できるスタイル。
女性はそれを知っているから、残念なデニム姿を見ると本当にがっかりするのです。
今回ご紹介するのは、まぎれもなく大人の男しか履きこなせない、高級ブランドばかりです。
ファッションに“着られる”のではなく、“着こなせる”年代だからこそお勧めする高級ブランドのデニム。
履きこなせるか心配?大丈夫です。
コーディネートやサイズ感が難しければ、ショップの店員さんに相談してみてください。きっと的確なアドバイスを得ることができるはず。
さあ、格好良くデニムを着こなして、私たち女性をくぎ付けにしちゃってください。
ETAO(エトロ)
ご存知の通り、エトロはペイズリーをアイコンとした高級ブランドで、バッグや財布などが有名です。
エトロは1968年、ジンモ・エトロによりミラノに設立されたブランドで、19世紀後半には完全に姿を消していた、インド、カシミール地方のカシミール・ショールを、何とか自らの手で復活させようと、テキスタイルメーカーを起こしました。
その後、生地や家具、カーテンなどにペイズリーをあしらい発表。
ホームコレクションから香水、服飾ブランドへと進出し、現在のトータルブランドとなりました。
デニムにはエトロの繊細で美しい紋様を採用。
上品で大胆なジーンズは、見る人の目と心を奪います。
エトロのジーンズにジャケットをあしらえば、そこらの小僧には出せない大人の品位が漂います。
裏地にペイズリー柄が施されたスリムフィットジーンズです。裾をまくって裏地を見せて履くのがオシャレ。ストレッチが効いているので履き心地もGOODです。
画像のコーディネートは、全体的に同系色のブルーとグレーでまとめています。ジーンズの色落ちした部分をクローズアップして、グレーを上手に引き出しています。
履くほどにこなれて、ペイズリーが馴染んでいくのもいい感じです。さりげなく柄が浮かび上がっているのが粋ですね。
白にグレーの線でプリントされたペイズリー。ジャケットやドレスシャツできれいめファッションでも、黒い革ジャンを合わせてハードに着こなしても絵になります。
Ermenegildo Zegna(エルメネジルド・ゼニア)
ゼニアはイタリアの高級服地ブランドで、繊細かつ艶やかな生地は、世界各国のデザイナーズブランドのテーラードウェアやスーツに採用されています。
さらに、ゼニア自体も自社の生地で製造した商品を数多く展開しています。
今回注目するのはそんなゼニアのジーンズ。
他のブランドでは出せない、生地自体の贅沢感を全面に打ち出し、シンプルでラグジュアリーなデニムとなっています。
ゼニアの最高級生地、その秘密は、なんと日本にありました。
日本の生地を採用しているデニムブランドは多くありますが、ゼニアは、天然の染色工程や高密度の織地、そして独特な折端を特徴とした日本のデニムを、最高級の品質と認め取り入れ、イタリアの高い技術と組み合わせ、ラグジュアリーデニムとして銘打っています。
ゼニアのジーンズはフォーマルウェアの構造をジーンズに応用しています。
だからノッチラベルやパイピングでアクセントをつけたボタン式の内ポケットなど、ディテールにも丁寧さがあふれています。
テーラードジャケットの構造で作られたデニムジャケット。
ホリゾンタルカラーのシャツにネクタイを合わせて、シックに決めたいジャケットです。
つくりの良さは、自然とシルエットにも反映します。デニムonデニムでも野暮ったくならない上級デニムです。
ジャケパンの場合、ボトムにデニムを持ってくるパターンが多いですが、デニムジャケットでパンツはコットンと言う組み合わせも斬新です。
デニムもコーディネートでこんなにも雰囲気の違うものに。
折り返しがなければデニムと気づかないかもしれないほどの品格。
シンプルながらシルエットが美しい、テーパードパンツ。きれいめに着こなせます。小物も高級感のあるもので揃えて。
股上が深いのも大人の男性にとっては嬉しいところ。
これは、もとからジャケパンに合わせる着こなしを意識して作られているからだそう。
複雑なホワイトのフェードパターンは、海や空をほうふつとさせ、まるで自然の風景を切り取ったかのよう。レザーポケットのディテールなど、高級感ある仕立てが魅力です。
AJ(アルマーニジーンズ)
1981年に発表された、ジョルジオ・アルマーニのジーンズを中心としたカジュアルブランド。
ジョルジオ・アルマーニと同様、高品質な厳選素材と高い技術のカッティングや縫製技術を用いています。
素材の贅沢さと美しいシルエット、着心地の良さを追求するアルマーニのコンセプトはそのままに、スタイリッシュで都会的なラグジュアリーカジュアルスタイルを提案しています。
休日のお出かけにさりげなく着こなせば、「え?アルマーニのジーンズ?」そんな声が聞こえてきそうです。
アルマーニのジーンズは遊び心に溢れています。
アルマーニのジーンズは、気取らないゆったりしたものが多いのが特徴です。
デニムコーデなら、家族とだって自然にトータルコーディネートが出来ますね。
Dior Homme(ディオール・オム)
イタリアまたは日本で特別に仕立てられたディオール・オムのジーンズ。
洗練された究極のジーンズをお探しならこのブランドです。
ディオール・オムの特徴は、バックポケットに配されたダーツと、ホックによる開閉、そしてCDのイニシャルが刻まれたリベットです。
履くほどに味が出てくるジーンズ、こなれたヴィンテージ感がお好きなら、ディオールで間違いありません!
ディオール・オムのシンボル、開閉部のホックは、着脱の機能さの他にシャツをインした時のフォルムの美しさがあります。
さりげない装いだけど、色落ちのカッコよさはさすが!
ダメージ加工のブラックジーンズ。ドレッシーな靴を合わせることでカジュアルになり過ぎないスタイルを成功させています。
濃紺のジーンズに黒の皮のジャケットとブーツを合わせています。ただの街角なのに、映画のワンシーンのようですね。
JACOB COHEN(ヤコブコーエン)
「仕立ての良いテーラードジャケットに合わせるジーンズ」をコンセプトに、テーラードジーンズという言葉を生み出したヤコブコーエンは、イタリアンデニムの代名詞と言っても過言ではありません。
ヤコブコーエンのデニムパンツは、計算しつくされた立体裁断により、完璧なシルエットを実現します。
パーツの細部に至るまでこだわり抜き、仕上げまで一切の手抜きを許しません。
たとえばパッチにはハラコなどの高級感のある皮を使用し、ボタンはジュエリーメーカーに一つ一つメッキしてもらっているとのこと。
そして最後の仕上げには、色止めにパチョリを基調とした、ヤコブコーエンのオリジナルフレグランスを使用。パチョリはオリエンタルで官能的な香りで、ファンの間で愛されています。
自社ジーンズを「取締役会でも、講演でもこれ一本で事足りる」と言っているヤコブコーエンの代表。
大人の品格とタフさを兼ね備えたジーンズであることを、この一言で表しています。
どこまでもこだわりを追求し、隅々まで本物を使った大人のブランドです。
ヤコブコーエンのデニムジャケット。大きなしっかりとした襟が特徴で、立てて着ればそれだけでサマになります。マフラーやストールをあしらっても。
胸からウエストにかけての強めのウォッシュ加工が、白いボトムスとのレイヤードスタイルにコントラストをつけています。
爽やかなグリーンのカットソーシャツにホワイトデニムは初夏の装いにぴったりです。ベルトはもちろん靴のこげ茶と合わせて。
コーエンの特徴のひとつは、裾の絶妙な長さとシルエット。テーパードのカットと足首が、スタイル全体をスラリと見せてくれます。
合わせるのはモカシンやローファーがオシャレです。もちろん素足で。
Loro Piana(ロロピアーナ)
ロロピアーナは高級生地ブランドで、デニム・フラワーというアメリカカリフォルニア州の最高品質オーガニック・コットンを使用した、デニム構造の生地を使用したファブリックなどが有名です。
特徴は柔らかな肌触りと滑るようなデニム生地。贅沢の極みと言っても良いでしょう。
繊維の細さと長さ、そして耐久性は並外れたものがあります。履き心地の良さで言ったら、多分右に出るブランドはないくらいです。
ロロピアーナはアパレル産業も行っており、自社でジーンズも製造販売しています。
生地のきめ細やかさと開閉部の丁寧な作り。
ステッチの赤がおしゃれですね。
ロロピアーナのコーデ。
大人の休日という雰囲気、高級感あふれています。
シャツに紺ブレ、そして黒のタイを合わせているだけですが、風格があります。これならビジネスでも十分通用しそう。
ストールを差し色に、シックに決めています。銀座の街が似合いそうです。
ロロピアーナの特徴である生地の耳を一本ループにあしらったオーダーデニム。
Levi’s(リーバイス)
最後はやはり、ここに戻ってきてしまうのではないでしょうか?
永遠のジーンズ、リーバイス。
1829年、カリフォルニアの金鉱で働く男たちのために丈夫なワークパンツを作ったことに端を発します。
創業者はリーバイ・ストラウス。設立はアメリカではなく、ドイツのバッテンハイム。
ゴールドラッシュ時代に、近郊で働く人々の声をもとに、キャンパス地を使った丈夫なワークパンツを商品化。
その後、キャンパス地はデニムに変更され、色もインディゴ・ブルーに変更されました。
1890年にロットナンバー「501」が誕生。
このロットが、全てのジーンズの原点です。
1940年代になると、ジーンズはワークパンツからファッションアイテムへと進化を遂げます。
その中で、1945年にリーバイス・ジーンズが全米で大流行しました。
これには第二次世界大戦が絡んでいます。
戦中にリーバイスブランドの名声と品質の良さが、東部の兵士に伝わったためです。
そして1960年代、ジーンズは世界的大ブームになり、リーバイスはアメリカだけでなく、世界の若者の象徴になりました。
1970年には日本支社が誕生、1982年にはリーバイ・ストラウスジャパン株式会社が設立され、現在に至ります。
ところで、今は誰もが知っている「ヴィンテージ・ジーンズ」という言葉。この概念も、1992年、日本のリーバイスが501の復刻モデル、「501XX」を発売したことが原点です。
2013年にはブルージーンズ生誕140年を迎え、501のシルエットをパワーアップした商品を全世界で発売、グローバルコレクションで初の4色カラー(レッド、グリーン、ブルー、ベージュ)を加えた全16種類を世に送り出しました。
501XX 1947モデル。膝あてが特徴です。
リーバイスのジャケット。
インディゴとシルバーの小物、そしてシルバーグレーの髭がよく似合っています。
渋いですね。
ラフな着こなしが似合う、リーバイスのジーンズ。
テーパードだけどゆったりとした履き心地です。
まとめ
高級ブランドが打ち出すデニムアイテムをご紹介してきましたが、いかがでしたか?
若者にはちょっと真似のできない、大人の遊びと余裕を感じさせるデニムの数々。
それは手を抜かず、糸やパーツ、ディテールにまでこだわる本物志向のデニムを作っているからこそ醸し出せる、ブランドの技術力です。
ブランドと共に、コーディネートもいくつかご紹介してきました。
生地やディテールへのこだわり、そして経年によるその人だけの動作による色落ちをもって完成するデニムは、まさにその全てをひっくるめて大人の遊び心をくすぐる特別なアイテムですね。
そんなデニムに対しての知識と心得を知ってしまったあなたは、もう引き返せません。
チノパンやスラックス以外の、新しいカジュアルファッションの選択肢をひとつ手に入れることが出来ました。
難しいことはありません。
最後にご紹介したリーバイスのように、シンプルなコーディネートを基本にし、帽子やサングラスなど小物をプラスすれば、簡単にファッショナブルに変身することが出来るのです。
これから大人の渋みを効かせたダンディなデニムファッションをどう料理していくか、楽しみがひとつ増えましたね。