ファッションに正しい、正しくない、という基準はありません。
ですが、相手に与える印象や装いのシーンを考慮しないわけにはいきませんね。
夫がリネンシャツを着ようとウォークインの中へ入ると、いつも私は夫に呼ばれて相談されます。
「中に何を着よう」
リネンシャツは、少し透けているので中に何かを着ないと肌が見えてしまうのです。
男性であっても、肌が透けてしまうのは大人としての身だしなみを考えると避けたいところです。
夫に相談されるたびに私も悩みます。
肌が透けるということは、たとえシャツの内側に着るとはいってもインナーは透けて見えるわけですから、なんでも良いわけにはいきません。
それに、色や首ラインも無視できません。
私はシャツを着る際に大切な部分は、首ラインだと思います。
首まわりのVゾーンが綺麗にまとまっていると、シャツを着ている人の全体の印象が「きちんとした人」に感じられるからです。
襟がヨレヨレだったり、シャツ首まわりのVゾーンからシャツに合っていないインナーが見えたりすると、そのコーデが台無しになってしまいます。
それくらい、特にリネンシャツにとってインナーは大事に思っています。
またリネンシャツの特徴であるシワ感。
その特徴を活かした着こなしができたらいいな、と常々思っています。
リネンのクシュっとした感触を手にすると「今年も夏が来るのだな」と季節を感じるほど、私の中でリネンは他の素材とは別格な存在です。
(リネンは、夏だけでなく年間通して活躍してくれる素材です。
ですが、我が家では夏の出番が圧倒的なのです。)
リネンシャツの持ち前の良さであるシワを傷めないように、と考えると選択やアイロンなどのケアはどうしたらよいだろう、と悩みます。
夫も私も数年前からシンプル化をはかっており、本当に気に入ったものを着て、それを長く愛着を持って使っていくことを大切にしています。
「気に入って買ったリネンシャツを洗濯やアイロンでダメにしなくない」
そんな思いと、
「普通に洗濯やアイロンをして大丈夫かな」
という疑いの間で、私はドキドキしていました。
きっと私と同じように、リネンシャツの扱いに不安な人もいるのではないでしょうか。
ここでは、そんな人に少しでもお役に立てればと、メンズリネンシャツについてまとめてみました。
リネン素材とは
リネンは風通しも良く、吸水性に優れていて、肌さわりがサラッとしているのが特徴です。
コットンよりも軽いタッチの肌心地なのは、この吸水性の良さからきています。
夏の店頭に一斉に、リネン生地の衣類が並ぶのも納得ですね。
リネンシャツのメリット
リネンシャツを着ることのメリットはたくさんあります。
知られざるリネンの一面をみていきましょう。
リネン素材の大きな特徴は丈夫さ
リネンの最大の特徴は、その丈夫さにあります。
天然素材の中で、最も丈夫でおまけに汚れも落ちやすいです。
丈夫なリネン素材で作られたシャツなので、当然、洗濯にも強く長く着ることができます。
洗濯を繰り返すうちに、リネンシャツがだんだんと柔らかくなってくるので、着るほどに心地も増していきます。
リネンには、ペクチンが含まれているので、チクチクすることなく最初から心地良く着始めることができます。
また、水に強いので濡れても問題ないので梅雨時期は安心です。
コットンやシルクに比べて吸水性は4倍、濡れてもすぐに乾いてしまいます。
リネンは呼吸する素材
リネンは呼吸する素材と呼ばれています。
繊維の中に空気が含まれていて、湿気を吸うと同時に熱を放出し、肌触りを涼しく感じさせてくれます。
反対に、寒い場所では体温を保つ役割もあります。
夏に涼しく、冬に暖かい、優れものなのです。
敏感肌の人におすすめ
リネンは血流を刺激し、マッサージ効果があると言われています。
海外では、リネンを巻いた時の傷の治りが早いことも報告されています。
アトピー性皮膚炎や、敏感肌の人にはリネンが良いと言われており、リネンの通気性が一層高い評価を受けています。
マッサージ効果と肌への優しさは、着る人を癒やしてくれそうですね。
リネンシャツのシーズンはいつ?
夏が近づくと市場にはリネン素材のものが数多く並びますが、リネンは夏だけのものなのでしょうか。
実はリネンは、一年を通して着ることができます。
麻素材の着物が夏用とされていることの影響でしょうか、日本では麻は夏の衣類とされているのが一般的です。
ですが、洗濯にも強く、風通しも良いので乾きも早い、洗濯を繰り返してもしなやかさが増し、だんだんと肌心地もよくなるリネンは、冬にも適しているのです。
リネン100%のジャケットなどではなく、リネン素材と別の素材が織り交ぜてある衣類を着用します。
例えばリネンとウールで作られたインナーは、秋冬に着るととても暖かいです。
インナーは何を着る?
リネンシャツの問題点は透けてしまうこと。
男性といえどもインナーなしはNGです。
それに、中が透けてしまうということは、インナーも何でもよいというわけにもいきませんね。
男性がインナーとして着用するのは、だいたいVネックかTシャツかのどちらかです。
これらは、リネンシャツをどのように着こなすかによって変わります。
VネックTシャッツ
Vネックをインナーとして着るときは、前ボタンを開けて着る時が良いです。
丸首よりも涼しげでクールな印象になるので、首元をスマートに見せることができます。
ただし、Vネック部分が開き過ぎないものをチョイスしてください。
首元が開きすぎると、いやらしいイメージになってしまい、爽やかどころか逆効果になってしまいます。
パートナーの首元とVネックとのバランスの良い開きをみながら、インナーを選んでみてください。
タンクトップ
タンクトップの場合は、リネンシャツの前ボタンを留めて着るときにおすすめです。
なぜかというと、ボタンを留めてシャツを着るとシャツを着た自分のシルエットがはっきり表現されます。
Tシャツだと、例え半袖であっても袖の部分が中でもたついてしまい、スリムな着こなしができず、それがそのままシルエットとなって出てきてしまいます。
特にリネンシャツは中が透けるので、インナーの袖部分が中途半端なところまで見えてしまうと、ダサくなってしまいます。
その点、タンクトップであれば袖がないので、透けても問題ありません。
袖がないので、中で生地のもたつきもなく、スリムな着こなしができます。
リネンシャツのお手入れ方法
リネンシャツは、シワがつきやすそうだし、すぐに縮んじゃいそう・・・と思い込んで、洗濯するたびにヒヤヒヤしていませんか?
大丈夫、リネンはとても丈夫なのです。
ですが、リネンを長く愛用するためにはいくつか注意事項もあります。
ここでは、リネンシャツのお手入れについてみていきましょう。
ヒヤヒヤしながら洗濯していませんか?
リネン素材はサラッとした薄い素材に見えるので一見弱そうなのですが、上記に記したように洗濯機でガンガン洗っても大丈夫です。
強く頑丈な素材なので、安心して洗濯機にいれても大丈夫ですよ。
ただし、ここで洗濯するときの注意があります。
熱湯で洗うことは控えてください。
洗う時は、必ず水かぬるま湯で洗ってください。
また、乾燥機もやめましょう。
そしてできれば、洗濯ネットに入れて洗うと更に安心でしょう。
繊維がヨレてしまうのを防ぎます。
リネンシャツのアイロンがけどうしてる?
リネンシャツは、シワを楽しんで着る衣類です。
無造作なクシャっとした味が、リネンシャツの良さでもあるのです。
リネンの良さを活かした着こなしをしたいと思います。
ですが、シワにも限度がありますよね。
シワがオシャレの範囲内であればよいのですが、明らかにシワシワだと着ていてだらしなく見られてしまうのではないかと不安になります。
乾燥機を使ってしまった後は、シワの状態がひどいことがあります。
そこでアイロンをするかしないか、の問題が浮上してきます。
基本的にアイロンがけはO.K
シワのある状態で着るのならアイロンは必要ないですし、シワがあまりにも激しいときはアイロンでパリッとさせてから着るのも良いでしょう。
着た時の好みで判断しても大丈夫ですよ。
ただし、リネンシャツをアイロンがけする際に注意すべきことがあります。
リネンシャツをアイロンするときは、脱水しすぎない状態でアイロンします。
もし水分があまり残っていない状態ならば、霧吹き等で水分を与えてからアイロンをかけてください。
リネンシャツは、乾燥機にかけてしまうと他の衣類以上にシワがひどくなります。
乾いた状態でアイロンをしても、シワは伸びません。
水気を与えてアイロンをする、この流れでシワを伸ばしていきましょう。
また、「アイロンなしでリネンシャツを着たい!」という人もいるでしょう。
そういう場合は、脱水をしないで乾かします。
シワの原因は脱水から生まれるので、脱水をしないで乾かすというのもひとつの方法です。
リネンはすぐに乾く素材なので、生乾きになる心配もありません。
濃い色のアイロンがけは注意が必要
リネン素材は、他の素材に比べてアイロンをかけた時にテカリが出やすいです。
特に、濃いカラーのリネンシャツは注意が必要です。
色の濃いリネンシャツは、あて布をしてアイロンをかけましょう。
テカリ防止になります。
リネンシャツは色落ちしやすいっていうけど…
リネンシャツが白いのなら気になりませんが、カラーシャツや柄物だと色落ちしやすいです。
他の衣類と一緒に洗ってしまうと、色移りすることもあります。
色付きや柄のあるリネンシャツは、分けて洗濯するようにしましょう。
色落ちを防ぐ対策として、中性洗剤で洗うことをおすすめします。
アルカリ性が強い洗剤ほど色落ちも激しいので、注意してくださいね。
おすすめのリネンシャツブランド5選
ここでは、大人の男を意識した着こなしができるリネンシャツブランドを5つ選んでみました。
リネン生地の魅力を活かせるブランドばかりです。
ぜひ参考にしてみてください。
フィナモレ(Finamore)
フィナモレはイタリア発ブランド。
ハンドメイドと機会工程の両方を取り入れ、クールな表情を見せる仕上がりが好評です。
また、半袖リネンシャツは、袖の長さを緻密に計算されており、バランスのよい見栄えを完成させています。
フィナモレは、ベーシックなデザインのものが多く、あまり華やかすぎるものはないのですが、出しゃばりすぎず着る人を引き立ててくれる魅力があります。
【Finamore celebrating 90th anniversary video by Aaron Olzer】
フィナモレの公式サイトはこちら
http://www.finamore.it/
http://www.finamore.it/
トミーヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)
トミーヒルフィガーは、ベーシックな形のシャツが多く、どんなコーデにも合わせやすいです。
形はベーシックですが、カラーバリエーションが多く、明るいものから濃いめのシャツまで揃えているので、自分の好みの色を探しやすいです。
アメリカンテイストが強めなので、カジュアルな印象がありますが、ひとつひとつが上質なのでとても上品です。
親子でお揃いのシャツを着ている人も、よく見かけます。
トミーヒルフィガーの公式サイトはこちら
http://japan.tommy.com/pc/top/
http://japan.tommy.com/pc/top/
ジュンハシモト(junhashimoto)
ジュンハシモトは、2008年に設立された日本ブランド。
デザイナーは橋本淳。
スポーツブランドやエドウィン、ホテルや車などコラボも多数あります。
無骨な男らしいなかにも、品の良い色気を感じさせるテイストが心地よいブランドです。
ジュンハシモトの公式サイトはこちら
http://junhashimoto.jp/
http://junhashimoto.jp/
ダブルジェイケイ(wjk)
ダブルジェイケイは、2004年にスタートした日本のファッションブランド。
「WJK」にはときに意味はなく、好きなアルファベットを並べたものだそうです。
なぜそれをブランド名にしたかというと、ブランド名でイメージを固定したくなかったということです。
ブランド名でものを選ぶのではなく、きちんと良いものとして手にしてほしいという、願いが込められているように感じます。
しっくりと大人の男を演出するシャツは、パンツとも合わせやすいアイテムです。
wjkの公式サイトはこちら
http://www.wjk.jp/
http://www.wjk.jp/
バルバ(BARBA)
シャツは首元のVゾーンが大切。
この部分がいかにカッコよくきまるかで、シャツの着こなしの良し悪しが分かります。
このバルバは、襟元に定評があり、このラインが好きでリピする人も多いほどです。
バルバのシャツは、体のラインにフィットしてくるデザインが多いので、無駄なもたつきがなくシルエットもスタイリッシュです。
バルバのリネンシャツで、大人の爽やかさをアピールするのもかっこいいですね。
バルバの公式サイトはこちら
http://www.barbanapoli.com/
http://www.barbanapoli.com/
まとめ
いかがでしたか。
リネンシャツは、透け感があって軽やかなイメージを演出でき、その着こなしもインナー次第で変化をつけることができます。
中のカラーもそうですが、首元に見えるインナーがリネンシャツと相性がきちんと合っているかがポイントです。
せっかく丁寧に選んだリネンシャツなのに、洗濯やアイロンに自信がないから着る機会を減らしたりしていませんか?
天然繊維のリネン。
自然のままに持つリネンのメリットや注意すべきことも、楽しみながら着たり、お手入れしたりできるようになると、ますます自分のシャツに愛着もわきますね。
ターシャ・チューダーも言っています。
『価値のある良いことは、時間も手間もかかるもの』
オシャレは楽しむものです。
お気に入りのリネンシャツに自信を持って、ファッションを楽しむ暮らしをしていきましょう。