最近チェスターコートを着ている若者をよく見かけますが、このコートは何も最近流行ったものではありません。
元来チェスターコートはトレンチコートと共に、昔から日本では定番のコート。
若者はタイトにコーディネートしていますが、経験豊富な大人の男性なら、風格と色気のあるダンディな着こなしをしたいもの。
ダンディさは人生経験の浅い若者には真似のできない、大人の男だけが醸し出せる特権なのです。
あなたもダンディなチェスターコートの着こなしをマスターしてみませんか?
チェスターコートとは
チェスターコート・・・正式名称チェスターフィールドコートの定義は、丈がやや長めで膝くらい、襟がテーラードジャケットのような形で、フロックコートやビジネススーツに近いことです。
昔から日本でも着用されていましたが、現在はステンカラーコートと人気を二分するコートとして、若者層にも注目されています。
チェスターコートの歴史
チェスターコートの由来は、19世紀にチェスターフィールド伯爵が初めて着用したことが最も有力とされています。
イギリス、ヴィクトリア時代に男性の間で流行した外套で、現在では日本でもビジネス、フォーマル、カジュアルと多岐に渡って着こなしのできる、人気のコート。
襟の正式な形は、比翼仕立てと呼ばれる隠しボタンのもので、上襟はベルベット仕立て、または拝絹ですが、今日一般的になっているのは共布の襟で、シングルブレストもダブルブレストもあります。
襟がベルベットのものは格調高く見えますが、これはフランス革命で処刑されたルイ16世と、王妃マリー・アントワネットを弔う気持ちを表現し、着用されたものだったとのこと。
現在では礼装にも普段着にも用いられています。
チェスターコートの階級?
日本ではチェスターコートといえば、襟元が大きく開いたコート、くらいの認識ですが、海外ではクラス分けがされています。
〈ドレス・チェスターフィールドコート〉
ウエストを絞った比翼仕立てで、上襟はベルベットまたは拝絹仕立て
サック・チェスターフィールドコート:
ウエストを絞らない箱型のシルエットで、上襟はベルベットまたは拝絹仕立て
〈セミ・チェスター〉
襟が共布で、着丈が膝より上の腰丈や腿までの丈
〈ダブルブレステッド・チェスターコート〉
ダブルブレストのチェスターフィールド
襟はシングルの場合ノッチドラペル、ダブルブレストの場合はピークドラペルの場合がほとんどです。
なお、素材はウール、カシミア、メルトンウール、ポリエステル混紡など様々です。
チェスターコートが主役のコーデの基本はコレ!
チェスターコートをダンディに着こなすには、たった2つの基本を抑えるだけです。
最近のチェスターコートは若者向けに細身のものも多くなり、昔のような貫禄あるシルエットから、スマートなシルエットへと変化しています。
しかし、大人の男が着こなすとなれば話は別。
スラックスやストレートのジーンズにも合わせて、大人しか出せない風格と色気を出しましょう。
ボトムスは細身がマスト
チェスターコートは基本的には何にでも合いますが、イタリアンおやじのように格好良く決めるなら、トップスにボリュームがある分、ボトムスはタイトに決めるのがマスト。
ジャケパンのちょいワルの着こなし、テーパードをコートスタイルにも応用すると考えれば分かりやすいかもしれません。
ボトムスをタイトにすることによって、上半身がさらに強調され、肩幅や胸を堂々と見せる効果がありますよ。
さらに全体のシルエットをIラインにすることを意識すると、スラリとした印象を与えます。
着こなしは襟を立てればリラックスしたワイルドな雰囲気に、ボタンをしっかり締めればきっちりとした雰囲気。
また、ダブルブレストなら重厚感が増し、シングルでもネイビーやグレーならビジネスシーンにも着回しが効き、ベージュなら上品で優しい感じで着こなせます。
元々格調高いコートなので、ビジネスシーンでもフォーマルシーンでも着用でき、もちろんカジュアルにも相性の良い、使いやすいコートです。
首元はボリュームを出す
チェスターコートは胸元が大きく開いているため、テーラードジャケットのようにシャツと合わせると、シャツの面積が大きく見えてちょっと間の抜けた印象になってしまいます。
襟元が寂しすぎるんですね。
そこで、インナーにはハイネックやタートルネックなどの、少しボリューミーなニットがオススメ。
襟の高さにも左右されますが、タートルネックなどで首元にボリュームを持って来れば、大きく襟の開いたチェスターコートでもサマになります。
また、首元にボリュームを持ってくるといえば、マフラーやスカーフ、スヌードなどを使うのも一つの方法。
これなら大きく開いた襟元も飾れるし、何と言っても暖かさが違いますよ。
男性にも冷え性は意外と多いので、冷え性対策の基本である首を温めれば冷え対策も万全です。
オススメの3大チェスターコート
それではいよいよ、オススメのチェスターコートをご紹介します。
それぞれ大人の男にこそ着て欲しい、ダンディなコートです。
大人のセクシーを出すなら|タリアトーレ
タリアトーレといえば、ここ最近注目度NO.1のイタリアンブランドです。
着た時のシルエットを最大に美しく見せるのが得意なブランドで、デザイナー兼オーナーであるピーノ・レラリオ氏自らが、デザインやパターン、生地の開発までを手がけています。
イタリアンテーラードをベースとした本格的な作りが生み出す確かな技術と、イタリア気質の色柄の豊富さが、世界から注目を集める秘密です。
また、タリアトーレは各バイヤーが好みの仕様にディテールをチョイスできるので、各バイヤーによって・・・つまり日本の販売店によって少しずつニュアンスのちがった製品が置かれているのも特徴です。
ウエストの絞りとダブルブレストが特徴の、ダブルブレステッドコートですね。
ブランドのこだわりの一つである、シルエットの美しさを出すカッティング技術が十分に生かされたコート。
かっちりと美しく着こなすことが、着心地の良さとしているタリアトーレならではのコートと言えるでしょう。
こちらは腿丈のセミ・チェスター。
大きくうねりのある織り模様が漂わせるワイルドさと、キャメルの上品な色合いが絶妙にマッチした一着です。
インナーにはざっくりとしたケーブル編みのニットを着込んでボリュームをアップ。
クルーネックの襟元から出したウインザーカラーのシャツはお手本にしたい着こなしですね。
キャメルに赤みが入った独特な色と、緩めのループが立体的な風合いを醸し出す生地が特徴のダブルブレストコート。
ウエストを絞らないボックス型ですが、ジャストフィットで着ることでだらしなくならず、重厚感もあるコートです。
一見着こなしの難しい色のように見えますが、同じ茶系を合わせたり、写真のように上から下に行くに従って、徐々に茶色から黒に色味を変化させていけば、味わいのある着こなしができますよ。
渋みのある落ち着いたダブルブレストのコート。
カーキに近いグリーンの入った茶色は、グリーン系、茶系、ブラックにも相性の良い、実は使い回しやすい色。
大ぶりのラペルはぜひ立てて着てみてください。
グッと大人の風格が増しますよ。
ピークラペルが、ザ・紳士という趣。
タートルネックからシャツの襟を出すのもアリですね。
襟を立てるとボリューム感が増すので、やはりここは襟を立てて着用するのが○でしょう。
ダブルブレストの落ち着いたコート。
ワントーンコーデもネイビーなら可能です。
なぜならネイビーは、まさにビジネスでもカジュアルでも対応可能な色だから。
チェスターコートの特徴ともリンクして、その醍醐味を味わえますね。
一着は欲しい、男の憧れコート|マッキントッシュ
ゴム引きコートで知られるマッキントッシュ。
ブリティッシュ・トラッドの代名詞として、また男なら誰しも憧れる、高級コートブランドとして名高いブランドですね。
端正なシルエットのチェスターコート。
ベージュの色味と上質な素材が持つ、特有な滑らかさと光沢が、上品さを醸し出しています。
最近のコートのトレンドは大きめシルエット。
昭和のコートのように、スーツの袖と同じか少し出てしまうくらいの袖丈ではなく、ゆったりと手のひらの半分くらいまでを覆うくらいがちょうど良い着こなしです。
後ろ向きなのでちょっと分かりにくいですが、ラグラン袖のチェスターコートです。
素材は光沢のある上質なコットン100%で、裏地はキュプラ100%。
濃いめのブラウンなのでシックに着こなせ、ビジネスシーンでもカジュアルシーンでも重宝しそうなコートですね。
ダントツでコーディネートしやすい色と形、ネイビーのシングル・チェスターコートです。
休日のジーンズでも通勤のスーツでもしっくりと着こなせる優秀コートですね。
膝上の着丈なので足さばきも軽やかです。
たっぷりとしたオーバーシルエットで着たい、ウール100%のグレンチェックコート。
厚みのある素材なので、シングルでも落ち着きや重厚感が出て、シックなカジュアルなコーディネートにオススメです。
パンツも、コートの存在感のある素材に負けない、コーデュロイやウールを合わせると吉。
薄手に見えますが、ウール100%のチェスターコートです。
カジュアルなブラウンとブラックのチェック柄が粋なデザイン。
襟元が狭いので、モダンな雰囲気がありますね。
ウール100%のスマートなコート。
スタイリッシュに着こなすには、まさにタイトなパンツが似合います。
テーパードのジャケパンをイメージすると、コーディネートしやすいですよ。
首元にマフラーを巻いて、ボリュームを出したり、オフホワイトのタートルネックニットを合わせて、優しい雰囲気を出したりするのも良さそう。
ビッグシルエットのチェスターコート。
あえて肩を落として着るのがトレンドです。
肩を落として着るコートは、日本人に多い細身&なで肩の体型にぴったり。
ブラックとオフホワイトの細かなチェックは、ブリティッシュ感たっぷりで、モッズやロックテイストを意識すると着こなしやすいですよ。
スウェットの上下にチェスターコートを合わせていますね。
モノトーンなのでカラーが分からないのがちょっと残念ですが、スウェットはおそらくライトな杢グレーなので、コートはネイビーでもダークグレーでも似合いそう。
チェスターコートがだらしなくなりすぎずにコーディネートをまとめてくれます。
ビジネスライクに着こなすチェスターコート。
オフホワイトのトレンチコートはよく見かけますが、チェスターコートは珍しいですね。
自由度が高いのもチェスターコートの長所です。
洗練されたクラシック&モダン|ボリオリ
イタリアン・メンズファッションといえば、ボリオリを思い浮かべる人も多いほど、日本に浸透しているブランド、ボリオリ。
1890年代にサルトリアとして始まったブランドですが、伝統だけにとどまらず、新しい時代のテイストも取り入れた「クラシックモダン」をコンセプトとしています。
また、近代的な設備も整え、品質技術と品質管理を行っているため、高い品質の製品を安定して提供しています。
ボリオリを一躍有名にしたのは、「アンコン」をジャケット界に定着させたKジャケットと、それに続くドーヴァー。
ソフトジャケットの軽快なシルエットはコートにも活かされ、ミニマムに装う着こなしを提案しています。
上質なシルク100%のシングルコート。
内部は裏地なしで、あくまでもシルエットにこだわった一着。
生地は落ち着いたグレンチェックに、袖にはジャケットのような4連のキッスボタン付き。
ジャケットを着ずに、カーディガンの上からジャケット代わりに着ると良さそうです。
珍しいウールジャージーのコート。
ジャージーなので肌触りが良くて軽く、フォルムも快適に着用できるよう、スリムフィットでコンパクトな設計です。
生地は高品質で、表地の微細パターンが特徴的。
ウールツイルコート。
特徴的なコニャック色とピークラペルは、まるで軍隊を思わせるような重厚感のある外観。
しかし腿までのミニマムな腿丈に仕上げることで、ボリオリ独特なカジュアルさや軽さも演出しています。
バージンウールを使用したシングルコート。
太めのブークレ(英語ではループ・ヤーン)糸を使用し、温かい雰囲気が特徴のコートです。
完璧に設計された内部の縫い目と、大き目のノッチドラペルが、スリムフィットのフォルムを引き立てます。
柄のデザインが印象的なジャガード編みのウールコート。
ベースになっているキャメルに、ミッドナイトブルーとバーガンディーの赤が立体的に見える効果を与えています。
厚みのあるジャガード編みですが、裏地なしなのでスッキリと着用できる設計で仕立てられています。
100%ピュアウールコート。
完全裏地なしですが、目の詰まったウールなので暖かく着られます。
胸に沿う小さめのノッチラペルや、全体に施されたステッチが小顔効果を生んでくれますよ。
グランチェックのチェスターコートを、カーディガンの上から羽織っていますね。
第一ボタンだけを締めるもサマになる着こなしです。
ちょっとした着方の違いで色々な雰囲気が楽しめますね。
ツイードのチェスターコートを肩にかけて。
中はジャケパンですね。
何気ないジャケパンも、コートを雰囲気のある着方にすれば、一気に大人の色気を出すことができます。
大人のチェスターコートまとめ
大人の男にしかできない、色気と風格のあるチェスターコート、いかがでしたか?
もし冬の海外に行かれることがあったら、チェスターコートの階級もチラッと頭の隅に入れておくと、パーティーなどにも役に立ちますよ。
・ドレス・チェスターフィールドコートは、ウエストを絞った比翼仕立て、上襟はベルベットまたは拝絹仕立て
・サック・チェスターフィールドコートは、ウエストを絞らない箱型のシルエット、上襟はベルベットまたは拝絹仕立て
・セミ・チェスターは、襟が共布で着丈が膝より上の腰丈や腿までの丈
ダブルブレステッド・チェスターコートは、ダブルブレストのチェスターフィールド
また、コーディネートのコツは、ボトムスをタイトにすることと、首元のボリューム感を出すこと。
それによって、寂しげになりがちな大きく襟の開いたチェスターコートを、ワイルドに、ダンディに着こなすことができます。
オススメのチェスターコートのブランドは3つご紹介しました。
・美しいシルエットで今注目を集めている「タリアトーレ」は、体のラインに沿ったコートが印象的で、クラシカルでワイルドな大人の色気と重厚さを出せるブランド
・誰もが憧れる高級コートといえば、「マッキントッシュ」。
今年のトレンドらしく、ビッグシルエットで着るのがオススメ。
・逆に、ミニマムでタイトなコートを提案するのはイタリアの老舗サルトリア、「ボリオリ」。
裏地なしのコートでジャケット代わりに軽快に着るコートはボリオリの真骨頂です。
それぞれに全く違うテイストのブランドのコートを3つあげましたが、気になるコートはありましたか?
コーディネートも一緒にご紹介したので、着こなしの参考にしてみてくださいね。