オーダースーツには、他にはない自分だけのこだわりを表現するという楽しみ方があります。
それは生地の場合もあれば、今回お話しする「裏地」の場合もあります。
1. スーツの裏地の役割 2. 裏地をつける範囲 3. 裏地の種類 4. スーツカラー別:裏地の色の選び方 5. 裏地にこだわるメリット 6. こだわりの裏地を紹介 7. まとめ
1.スーツの裏地の役割
はじめに、スーツの裏地はどうしてあるのか。
一番の理由はジャケットを羽織ったとき、サッと滑らかに体へまとえる心地よさだと言えるでしょう。
もしジャケットに裏地がついていないと、ジャケットとシャツの生地同士が摩擦を起こしてしまい、ゴワゴワした感じになると思います。
このゴワゴワはジャケットを脱ぎ着するときだけではなく、着用して歩くときや腕を少し伸ばしたときにも起こりますから、快適とはまったく呼べないような状態になることでしょう。
また、裏地には着心地の快適性以外にも役割があります。
それは、ジャケットへのダメージを軽減してくれるということです。
裏地があるからこそ、必要ではない摩擦が起こりにくくなり、ジャケットの生地も長持ちします。
もし裏地がない場合にSuper130’sなどの生地を羽織ると、
糸が細いですから傷みやすく長く愛用することも難しくなります。
このように裏地には機能性のための役割があります。
でも、もうひとつ裏地には大切な役割もあるんですね。
それは、羽織るときにチラッと見える「あなたらしさの表現」や、裏地があることで
ジャケットのフィット感がアップしますので、スタイルを美しく見せることにも役立っているのです。
2.裏地をつける範囲
ジャケットの裏地をつける範囲は、大きく分けて2つあります。
(1)背抜き
背抜きとは、ジャケットの裏地を肩周辺だけにつけた仕立て方法です。
背抜きをすることで、背中の部分に裏地がありませんから、通気性が高くなり暑い季節なども快適に過ごしやすくなります。
また、背中に裏地がないため、光があたると透けて見えるという効果もあり、涼しげな印象をあたえることもできるでしょう。
そして背抜きは、裏地の量が少ないためジャケットが軽くなるという利点もあります。
(2)総裏
文字通り、ジャケットの肩周辺だけではなく前身頃から背中にかけて裏側全体に裏地がある仕立て方法です。
ジャケットの裏側全体に裏地がありますので、背抜きとは正反対の利点があります。
特に保温性が高くなるため、寒い季節のスーツには総裏がおすすめとなります。
このように2つの種類があるのですが、ポイントはスーツを着用する季節にあわせることでしょう。
3.裏地の種類
裏地には大きく分けて3つの種類があります。
それぞれに特性がありますので覚えておきましょう。
(1)ポリエステル
合成繊維です。
ポリエステルの良いところは、なんといっても価格が安いこと。
そして耐久性が高いことでしょう。
さらに、合成繊維なので色や柄が豊富なのもメリットと言えます。
いっぽう短所はというと、静電気がおこりやすいことでしょう。
そして汗を吸いにくいこともありますので、汗をかきやすい季節には注意する必要があります。
ただ、ポリエステルは価格が安く使いやすいので、普段使いのスーツにはぴったりだと思います。
(2)キュプラ
綿から作られた繊維です。
キュプラは滑りが良く、汗の吸収性も高いためスーツの裏地として最適です。
また、発色がいいため上品な雰囲気になるのもうれしいところです。
ただキュプラはポリエステルと比較すると価格が高めになりますし、
ポリエステルほどの耐久性がありません。
日頃のメンテナンスが必要になりますので、スーツを大切に着たい人におすすめです。
(3)シルクなどの天然繊維
オーダースーツでは、シルクやアルパカなどの天然繊維を使った裏地を選ぶこともあります。
自分だけの個性的な裏地を使いたい方におすすめです。
4.スーツカラー別:裏地の色の選び方
裏地はスーツカラーによって選ぶようにすると失敗することが減ります。
(1)春夏
春なら淡い色がおすすめです。
グレースーツなどには、淡いピンクの裏地を合わせるといいですね。
夏ならネイビーなどブルー系のスーツが多いですので、裏地にはスーツと少しだけ色の違う
・ブルー
・ネイビー
を合わせるとビジネスでも使えます。
(2)秋冬
秋は重くなり過ぎない裏地の色がおすすめです。
・タンカラー
・トープ
など、少しクラシカルな色合いがいいですね。
冬になると、少しずつダークなカラーに変化させ
・グレー
・ブラウン
などがおすすめになってきます。
5.裏地にこだわるメリット
先ほどお話した機能性もありますが、それよりも裏地にこだわるメリットは
「自分の表現」ではないでしょうか。
動いたときに見える。
羽織るときに見える。
そういった「ちょっとした」ときに自分の主張を見せられるのが裏地にこだわるメリットだと思います。
6.こだわりの裏地を紹介
(1)ブラックスーツにレッドの裏地
シックに決めながらも、情熱を伝えるのにぴったりです。
(2)ネイビースーツにオレンジの裏地
主張しすぎないネイビーですが、チラッと見えるのはオレンジの裏地。
硬すぎない印象を伝えられるでしょう。
(3)ネイビースーツにグレーの裏地
大変シックな印象になります。知的で上品な印象になります。
7.まとめ
スーツの裏地は機能性もさることながら、意識しておきたいのは
「あなたの主張や表現」を伝えることだと言えるでしょう。
ぜひあなたの遊び心や情熱を裏地で伝えてもらいたいと思います。