スーツを購入する際、店員さんに
「パンツの仕上がりはシングルにしますか?ダブルにしますか?」
この質問をされた経験って誰しもがあるのではないでしょうか?
パンツの裾の仕上がりには、
・裾の折り返しがないのがシングル
・裾を折り返すのがダブル
この2つがあります。
見た目の印象は、シングルは足がスッキリ長く見え、ダブルはパンツに躍動感が出て、オシャレに見える。
どちらを選んでも、良さがあります。
単純に見た目が違うだけなら、自分の好みになりますが、このシングルとダブル。
フォーマルな場所やビジネスとしてのパンツ裾の仕上がりは、どちらでも良いのでしょうか?
パンツを購入する時にもう迷わない、スーツパンツの裾の仕上がりについてお話します。
シングルとダブル、なぜ生まれた?
そもそもなぜ、パンツの裾の仕上がりにはシングルとダブル、2種類あるでしょうか?
パンツの裾には、もともとシングル仕上げしかありませんでした。
ダブルが誕生した理由は、諸説ありますが、オシャレで有名なイギリス紳士が雨の日、裾を汚さないためにパンツの裾をまくり上げていてパーティー会場にやってきました。
それを見たアメリカ人、オシャレに敏感なニューヨーカーが「これが新しいファッションの形か!」とこぞって真似を始めたことがダブルのはじまりだと言われています。
フォーマルでは絶対シングル
フォーマルや礼服では厳格な決まりがあり、裾はシングルでなくてはいけません。
そのルーツは軍服にあります。
現在、着られているスーツの起源は軍服にあり、軍服はスラックスの側面に”ブレイド”とよばれるテープ状のものが縫い付けられています。
なので、軍服はダブルとして裾を折り返そうにも、折り返せないようになっているのです。
燕尾服やタキシードといったフォーマルウェアはその名残として、これが受け継がれているので、ダブルの裾は存在しません。
「フォーマルや礼服ではシングル」
これに対し、仕事として日常で着用するスーツはデイリーウェア、フォーマルウェアと区別するために裾をダブルにしたという説もあります。
ダブルの折り返し幅は何cmが正解?
ファーマルな場ではシングル。
仕事着としてスーツを着るなら、シングル・ダブル、厳密な決まりはなく、自分の好みで選ぶことになります。
では、ダブルを選んだ場合、店員さんからもう1つ質問を投げかけられることになります。
それは、「ダブルの折り返しの幅は何cmにするのか?」
一般的にダブル折り返し幅は4cm~4.5cmが良いといわれています。
しかし、この幅は着る人の身長やパンツのデザインによって、キレイに見える幅が変わりますので、店員さんと相談して決めるのがよいでしょう。
第3の仕上げ方
裾の仕上げには、実はシングルとダブルではなく、もう1種類あります。
それは、「モーニング」とよばれる特殊な仕上げの方法です。
モーニングはスラックスの前裾が後裾より1cm~1.5cm程度、短くなるように斜めにカットされた仕上がりになり、甲の上で前裾がたるまないような工夫が施されています。
名前の由来は、モーニングコートの裾の形がこうなっているためですが、タキシードや燕尾服といったフォーマルウェアはよく見ると、ただのシングルではなく、斜めにカットしたモーニングカットになっています。
足をスッキリ見せる効果がありますので、普段使いのスーツでも、まっすぐカットするシングルではなくモーニングカットにされる男性も多いです。
まとめ
フォーマルな装いでは、パンツの裾はシングル仕上げがマナーです。
普段のスーツでは、シングルでもダブルでも問題ありません。
もし、ダブルを選ばれるなら、その折り返し幅はご自身の身長とパンツのデザインを考えてバランスの良い折幅に仕上げてもらいましょう。
また、礼服で使われる前裾が後裾より短いモーニングカットという仕上がりもあり、足をスッキリ見せる効果があるので、シングル派で細身のパンツを選ぶ際には、是非、取り入れてみて下さい。