私たちは日々、硬いコンクリートの上を歩いたり、雨でぬかるんだ道を歩いたり、細かい砂利や石を踏んだり、たくさんの障害物の上を歩いています。
靴はそういった障害物から私たちを守る存在。
そんな実用面がある一方で、ジャケパンにおいてはジャケットやパンツに並んで最も重要視されるアイテムの一つです。
ジャケパンにはビジネスシーン向けのフォーマルなコーデもあれば、休日のカジュアルなコーデまでありますが、商談にスニーカーで臨んでは場違いですし、小学生の子供の運動会に革靴で行くのもちょっと違うでしょう。
こういったことからも分かるように、目的に合った靴選びが大切ですし、靴はコーデ全体の印象を決める要素の一つであります。
本記事では
・どんな目的にはどんな靴が合うか
・靴を買う時の注意点
・オススメのメーカー、
・手入れの仕方
・靴を買う時の注意点
・オススメのメーカー、
・手入れの仕方
といったことについてお話していきますので、あなたの目的やイメージするコーデに合った靴を選べるように、参考にして頂ければと思います。
種類がたくさんあるけど、どれがどんなコーデに合うのか?
シューズショップに行くとズラリと並んだ靴たち。
革靴は全て同じ種類に見える人もいるかもしれませんが、実はたくさんの種類があります。
どれも違った目的の基に生まれた背景があるので、それぞれどんなコーデに合うか紹介していきましょう。
ストレートチップ
ストレートチップはフォーマルシーン向けの靴。
ビジネスシーンではもちろんのこと、黒色で装飾の無いものであれば、冠婚葬祭に最も適している靴の型と言われています。
特徴はつま先の部分に縫われた一本の横線。
多くのストレートチップの靴はこの線を境目に違う生地が変わっており、線よりもつま先側に光沢のある革が使われているようです。
尚、他の種類の靴は履いているうちに甲の部分に皺が出来やすいのですが、ストレートチップの場合、横線より先には皺が出来にくいと言われています。
そのため他の種類の靴よりもフォルムが美しく保たれるのがメリットの一つと言えるでしょう。
ストレートチップはフォーマルシーン向けの靴ということで
・ウール材のネイビージャケット
・黒のスラックスパンツ
・白シャツに濃い目のえんじ色のネクタイ
・黒のスラックスパンツ
・白シャツに濃い目のえんじ色のネクタイ
というコーデで合わせればデキるビジネスマンの完成です。
プレーントゥ
プレーントゥもフォーマルシーン向けの一つ。
ですが、ストレートチップよりかはカジュアルなコーデにも合う、と言われており、万能な型として知られています。
その理由は名の通り、つま先の部分に装飾が一切されていない、シンプルなデザインでしょう。
ジャケットやネクタイをフル装備のフォーマルコーデ時は他のアイテムを邪魔しませんし、逆にクールビズなどでノーネクタイ、あるいはポロシャツ等でシンプルなコーデになっても、足だけが派手過ぎて浮いてくるようなことはありません。
また、色の選択によっても印象が変わります。
例えば、最もフォーマル感が出るのが黒で、茶色にあるとカジュアル感が出ると言われ、いずれの色も濃い程フォーマル、薄まる程カジュアルに見えると言われているので、参考にしてみてください。
特にプレーントゥはフォーマル、カジュアルの両コーデに対応しているので、目的によって色を選びたいところですね。
ローファ-
ローファーはカジュアルコーデ向きの靴。
起源は1900年代初頭まで遡り、イギリスでは王室御用達の室内靴として、一方ノルウェーでは農夫の作業靴として、履かれていました。
1950年代に入ると「タッセルローファー」がアメリカの学生やビジネスマンの間に広まり、後に流行となるアイビースタイル定番の靴になりました。
ローファーの語源は靴ひもを結ばない「なまけ者」=”Loafer”という説があるのですが、その通りちょっとなまけた、リラックスした雰囲気が、カジュアルな雰囲気を醸し出します。
またローファーは他の靴よりも履き口が広いので、足元の見える面積が広くなるのもメリット。
派手なソックスを履いたり、逆に素足で合わせたりしてみてはいかがでしょうか。
他のアイテムも
・ジャージー素材の紺色ジャケット
・同系色の薄青いシャツ
・白パン
・茶色のベルト
・同じく茶色のローファー
・同系色の薄青いシャツ
・白パン
・茶色のベルト
・同じく茶色のローファー
といったアイテムを揃えれば、ローファーにマッチしたカジュアルなジャケパンコーデが出来上がりです。
Uチップ
Uチップはプレーントゥの様にフォーマルとカジュアルの両コーデ対応の靴。
靴の甲がU字状に線が縫ってあるので特徴で、V字状に縫われているものは「Vチップ」と呼ばれています。
今ではビジネスシューズの一つとして定着しているUチップは、売り場に行くとストレートチップ、プレーントゥと並んで見かける事があるでしょう。
尚その起源はノルウェーでは漁師が履く靴、フランスでは狩猟時の靴、そしてアメリカではゴルフシューズに用いられ、Uチップは国によって別々の用途で履かれてきました。
ただ、どの国にも共通するのはアクティブな用途に使われていた、という事。
この起源を踏まえると、現代であっても商談や結婚式等のかしこまったシーンでは避けた方が良いかもしれません。
モンクストラップ
「モンクストラップ」とは、靴ヒモの代わりに、腰に巻くベルトのような仕組みで靴の甲を留めるタイプの靴。
「モンクストラップ」の中にも1本のベルトで留める「シングルモンク」と、2本のベルトで留める「ダブルモンク」の二つに分かれます。
モンクストラップはローファー同様にヒモの無い靴なのでカジュアルな物から、ビジネス等のフォーマル向けの物まで様々です。
ヒモが無い靴なのにフォーマルシーンでも履ける理由は、モンクストラップの起源にあるかもしれません。
「モンクストラップ」の「モンク」とは「修道僧」を意味し、誕生は15世紀頃まで遡ります。
当時は今のような靴ではなくサンダルでしたが、1930年代に入ってから革靴の形となり、世に出回るようになったようです。
その名残から今でもフォーマルシーンで履かれるようなのですが、かといってベルト部の金属が派手なものは避けた方が無難かもしれません。
モンクストラップならばチノパンやネクタイと合わせるカッチリなコーデから、ジーパンでノーネクタイなカジュアルジャケパンまで、どちらも似合うでしょう。
ウイングチップ
ウイングチップはローファーとはまた違った意味でカジュアル向けの靴。
特徴はつま先部分のW字状に浮かぶ刺繍模様です。
ストレートチップはまっすぐな線が縫われているのに対して、ウイングチップはW字状になっており、またつま先付近に「メダリオン」と呼ばれる模様・装飾が施されています。
中にはつま先に付近に装飾が無い物もありますが、元々こういった装飾は水はけをよくする機能面を目的として生まれました。
というのも、狩猟や田園の作業時用の靴として、水はけを良くするための工夫がなされていたのが起源なので、ビジネスシーンよりかはカジュアルシーン向けの靴とされているようです。
ローファーはリラックスした雰囲気からカジュアルコーデ向けと説明しましたが、一方でウイングチップはW字の縫い目やメダリオンといった装飾が多いため、コーデに華やかな印象を加えることができます。
カジュアル向けとされるツイード材のジャケットや、華やかなアーガイル柄の靴下など、カジュアルなアイテムとの相性が良いので、試してみてはいかがでしょうか。
靴を買う時に気をつけるべき2点
試着時は履き心地が微妙でも、履いているうちに慣れてくる経験は皆さんもあるかもしれません。
「靴が自分の足の形に馴染んできた」と思う人もいるかも知れませんが、場合によっては逆に「自分の足が靴の形に変形していった」ということもあるかもしれません。
ですので、靴を買う前の試着は納得がいくまでおこないましょう。
試着のタイミング
靴はジャケットやパンツ以上に体にジャストフィットするもの。
なので、ちょっとしたむくみでもサイズ感が変わって感じる時もあります。
一般的に人は、起きている時間が長くなるにつれて足がむくんでいくと言われているので、朝起きてから夜の20時頃にフィッティングすると大きめのサイズを選ぶ可能性が高くなるでしょう。
逆に午前中にフィッティングするとピッタリ過ぎて、後日足がむくんで来た時にきつく感じてしまうかもしれません。
ですので、中間をとって15時頃あたりが、フィッティングには理想的と言われています。
ほんの数ミリの違いかもしれませんが、これを実践すると靴のトラブルも減るかもしれません。
靴擦れ防止チェック
また、靴擦れは新しい靴を履く時に起こってしまいがちですが、靴擦れが起こる可能性を最小限に抑えるため、はカカト部分や履き口部分のフィット感はよくチェックしておきましょう。
靴のデザインを気に入っても、カカト部分の形状や他の部分が自分の足にフィットしていないと靴擦れが起こる可能性が高まります。
履いていくうちに治まることもありますが、靴擦れは防げる場合も多々あるのでチェックしておいて損はないでしょう。
オススメのメーカーを2つ紹介
Regal
Regalは1902年創業、東京発のメーカー。
日本人の足に特化した木型を用意していたり、リペアについても年間約8万足前後対応したりと、という特徴があります。
元々は「日本製靴株式会社」という社名で、1990年に現在の「リーガル・コーポレーション」に社名が変わりました。
創業当初は戦時中ということもあり軍靴の生産が中心でしたが、戦後から紳士靴の生産と販売を開始。
「靴を通して、お客さまに、足元から美と健康を提供する」をモットーに、今では紳士靴をはじめ、レディースシューズやカジュアルシューズも扱う、日本を代表する靴ブランドへと成長しました。
Regalの特徴は、Regal内で5種類のブランドを展開していること。
まずは「Regal」。
ブランド名そのものですが、グッドイヤーウェルテッド製法の製品が大半を占めており、価格は2万円代から3万円代。
ビジネス、フォーマル向けの靴が中心で、リーガルの顔的なブランドです。
お次は「Regal Walker」。
こちらはリーガルの中ではコスト重視のブランドで、価格は1万円代から2万円代となっています。
はじめてリーガルを手に届きやすい価格で購入したい人にオススメです。
「Regal Standards」はウィンチップやローファーなど、革靴の中でもカジュアルな物を中心にしたブランド。
コストもRegal Walkerと同じエリアなので、手が届きやすいのではないでしょうか。
そして「Regal Tokyo」と「Shetland Fox」はRegalの中でも最も品質重視なブランドです。
木型については他のブランドと違い、日本人に特化したものを使っているとのこと。
また土踏まずはマッケイ製法、残りの部分をグッドイヤーウェルテッド製法という、二つの製法を混ぜた製品もあり、この先何年も、あるいは何十年も履いていきたい人は是非チェックしてみてください。
Scotch Grain
Scotch Grainも東京発の靴ブランド。
Scotch Grainは創業時から1万足分の木型を保有しており、日本人の足を知り尽くしています。
そんな彼らもグッドイヤーウェルテッド製法を採用しているのですが、特徴は靴底の張り替えが可能な点。
また、購入後のサポートが手厚く、片方の靴のみの損傷でも両方リペアしてくれたり、中敷きや靴ヒモまで交換してもらえたりします。
極めつけは返送送料も、そして代引き手数料までメーカー持ちということで、至れり尽くせりです。
手入れをマスターしてこそダンディな男
試着に時間をかけ、拘って選んだ型とブランド。
そこまでして買った靴は、大切にケアしていきましょう!
シューキーパー
靴を脱いで玄関に置きっ放しにしていると、型くずれしてしまいます。
そこでオススメなのが「シューキーパー」。
シューキーパーの役割はいくつかあるのですが、その一つは形状の維持です。
これは一番大事な役割と言えるかも知れませんが、型くずれしがちな履き口部分や、甲の部分ですが、シューキーパーを靴の中に入れることにより、シワを伸ばし、靴崩れを防ぐことができるのです。
またシューキーパーは湿気対策と脱臭、殺菌対策の役割も果たしてくれます。
足裏は体全体の中でも元々蒸れやすい部分ですが、雨の日や湿気の多い夏は尚更。
革靴は湿気に弱く、型くずれや損傷の原因なるため湿気対策は必須です。
木製のシューキーパーは余分な湿気を吸い込んでくれるのですが、更にありがたいのが乾かせすぎず適度な湿度を保ってくれること。
こうして適度な湿度を保つことにより、雑菌の繁殖を防いでくれます。
オススメはコロニルの「アロマティックシーダーシュートゥリー」。
これは製品名の通り「アロマティックシーダー」と呼ばれる木材を使用しているのですが、北米中東部のみに自生する木で、吸湿性や防虫性に優れていると言われています。
古くからクローゼット等の家具にも使われている木で、これがあればあなたの靴の寿命も何倍に伸びるはず。
価格は4,200円とのことで、この金額で何万円の靴が長持ちするのであれば、かなり効果的な投資ではないでしょうか。
ブラッシングとクリームケア
シューキーパーと合わせて行いたいのがブラッシングとクリームケア。
毎日する必要は無く、週に一回か二回、休日に行えば大丈夫です。
肝心なのは新しいうちからケアすることで、新しい靴を買ったらまずクリームを塗りましょう。
こうすることによって、クリームの粘膜が靴をホコリや汚れから守ってくれます。
その後はブラッシング。
塗ったクリームが均一に伸びるように靴全体をブラッシングし、ツヤを出しましょう。
そして最後に防水スプレーを吹きかければ、バッチシです。
こうすることによって、靴の革が柔らかくなって痛みにくくなり、防水スプレーが靴全体をコーティングしてくれます。
以上は新しい靴を購入してから履く前までのケアですが、以後のケアは以下の手順がオススメです。
①ブラッシング
⬇
②クリーナーで靴の汚れを落とす
⬇
③靴クリームを塗る
⬇
④防水スプレーを吹きかける
⬇
④シューキーパーを挿入
⬇
②クリーナーで靴の汚れを落とす
⬇
③靴クリームを塗る
⬇
④防水スプレーを吹きかける
⬇
④シューキーパーを挿入
ブラッシングの際は靴ひもを外して、靴の細かい部分までブラッシングしてください。
クリーナーの使い方は靴にそのまま塗るのではなく、一度布に塗ってから靴を擦りましょう。
そして塗る靴クリームの量ですが、目安としては1gほど、あずき一個分と言われているので、塗り過ぎには注意してください。
まとめ
もしかすると靴はコーデの中で一番手入れが必要なアイテムかもしれません。
服というよりかは、野球のグローブのような「道具」的な存在で、手入れしながら長く使っていく、そんなアイテムと言えるのではないでしょうか。
新品の真新しい輝きも美しいですが、手入れをしながら風合いを増していく革靴には独特の味があり、ジャケパンコーデに大人な雰囲気をプラスしてくれるでしょう。
ですので
・シューキーパー
・ブラッシング
・クリームケア
・ブラッシング
・クリームケア
この三つのケアは要チェックです。
また本記事では靴の種類を紹介しながら、起源についてもお話しました。
お酒の席でチラっと紹介したら盛り上がるかもしれませんので、良ければ友人にも紹介してみてください。
そして二つの日本を代表するメーカー
・Regal
・Scotch Grain
・Scotch Grain
はいずれも日本人の足を長年研究しており、リペア体制も手厚いので是非チェックして頂ければと思います。