2020年2月27日

フルオーダー仕立て体験記その2(ナポリ編)

前回の記事では、なぜ最初にナポリのサルトでフルオーダーのスーツを依頼することになったのか、そして受注会から採寸までを紹介しました。

その続きはもちろんありまして、気になっている方もいるはず。

今回の記事では、受注会の最後に採寸を終えたあと、ナポリの男たちと訪れた食事やクラブ、そしてお待ちかねの請求書の到着と仮縫い。また、納品と入金完了までを紹介したいと思います。

フルオーダーを仕立てる際の、参考になれば何よりです。どうぞ、お楽しみください。

ナポリの男たちとのクラブ通い

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採寸を終えるとフィッターとシューズ職人はネクタイを締め、ジャケットを羽織り、革靴を選んで靴紐を結ぶ。

どこに行くのかと眺めていると、まずは食事をしに行くと。

サービスアパートメントを出てタクシーが泊まるホテルの入口まで移動し、二台に分かれて向かう先は六本木のイタリアン。

店に入るとフィッターはお店のスタッフにあいさつをし、ワインを持ち込んでいましたから、馴染みの店であることは一目瞭然。コレはイタリアンの味も期待できると胸は高まるばかりでした。

外国で食べる日本料理は美味しいと感じるものが多くはないなかで、イタリアンはどうなのだろう、そんなことを思いながらフィッターが注文した料理を食べてみると、ウマイ。

マルゲリータのシンプルな味わいはもちろん、私がうなったのは平たい麺、フェットチーネというんですかね、あのパスタでつくられたラグーソースのもの。ボロネーゼと同じなのかどうかわかりませんが、味わいは似ています。

フェットチーネのモッチリ感とラグーソースのこってり感、散りばめられたチーズの味わいが口のなかで解けるように絡み合い、こんな美味しいパスタがあったとはと、うなった次第。

仕事の話などしながらグラスを傾け、メインを食べたあとはデザートとともにリモンチェッロとグラッパ。

イタリアから持ってきた葉巻をすすめられ、ふだんはタバコも吸わないけれども葉巻をくわえて緩やかな時間を楽しむ。

閉店間際までイタリアンで楽しんだあとは、道を歩く黒人の客引きたちと話しながら、お目当てのクラブへ。

メジャーリーガーで活躍する選手など、著名人が国内外問わず訪れるそのお店は一見さんでは入ることのできないようなつくりになっておりまして、看板のないお店の前にはガードマン風の黒人が一人。

フィッタがー何やらその男に語りかけると、トランシーバーで店内と連絡を取ったあと、その固く閉ざされた門を開けて扉が内側から開かれる。

中に入るとごく普通の店内ですが、壁に目をやるとメジャーリーガーやアメリカの歌手が来店記念に撮った写真が掲載され、華やかな世界を想像させてくれます。

階段を降りると、店のスタッフが言うに「ラウンジ」と呼ばれる仕組みになっており、二本のポールではポールダンサーによる踊りが行われており、店内の女性スタッフはほとんどが外国人。南米の女性や東欧の女性、そして東南アジアの女性が比率的に高いように見受けられましたが、中には日本人も。

シャンパンを開けて談笑していると、イタリア人たちは持ち前の陽気さで女性スタッフを笑わして受けがいい。

紳士の立ち振舞も学べる、受注会後のクラブ通いでした。

途中で帰宅することはもちろん大丈夫なのですが、ものは試しにと付き合ってみたところ、5つか6つのクラブをはしごしたあとで気づいたら時間は朝の8時。すでに六本木の街は明るく、人は通勤をはじめていました。

フィッターたちはこの日も午前中から受注会があるとのことで、世界を股にかけるビジネスパーソンはエネルギッシュであることが必須だなと思ったひとときでした。

請求書の到着

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このときオーダーしたのはヴィンテージ生地のスーツとHOLLAND & SHERRYのベスト、そしてシャツが2枚。フレンチカーフのシューズが一足に、同じフレンチカーフでつくってもらうベルトが一本。

「職人に価格を聞くのは野暮だろう」

と聞いていたので、実はオーダーした価格を知ったのは請求書が到着したときでした。

受注会から1週間から2週間後に到着したと記憶しています。そして郵送で届いたその請求書の封を開けるときは、はたしてどの程度の価格なのか、はじめて明らかになるという意味でドキドキしていました。

封筒の上部にハサミを入れ、なかから請求書を取り出すと、なるほど、コレがフルオーダーか、という価格。

全部合わせておよそ120万円の請求書で、着手金として半分を、事前に納入する必要があるとのことでした。

前半金後半金は聞いていましたが、やはりスーツとシューズなどで120万円という価格には目が覚めたことを覚えています。日本ならちょっとした車が買えてしまうな、と。

しかし、コレはあとになって気づいたことですが、スーツの場合は自分の見た目、雰囲気に影響を与えてくれますから、車よりも投資対効果は高いように思います。

実際、スーツを着て街を歩くと人の目が違いますし、銀行に行くと対応が良くなる感もあります(気のせいかもしれませんが・・・)。

まずファッションに投資して見た目を磨く、とはよく聞く言葉ですが、フルオーダーのスーツもまた、そういう効果を与えてくれそうです。

仮縫いも受注会にて

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請求書の半額を納入し、待つこと3ヶ月。

再びエージェントからメールが届き、次回の受注会日程が決まったとのお知らせ。

オーダーしたスーツやシューズの仮縫いも持っていくので、受注会場で試してみてくださいと、そんな連絡が来ました。

この受注会は最初に訪れた受注会と同じでして、前回との違いは仮縫いがあるかどうか。

基本、この受注会では仮縫いを着てみて、フィッターがその場でチョークに印を入れていき、本納品前に必要な調整を行うことがメイン。

しかし、前回同様にヴィンテージの生地もバンチもありますから、新しくオーダーすることももちろん可能です。

最初は仮縫いに満足し、新しくオーダーする予定はなかったのですが、一緒に受注会に参加した知人が手に取った緑と茶色のヴィンテージ生地が、とても柔らかくて軽くて色合いがいい。

それを肩にかけてみると、コレならスーツにして上下で着ても、ジャケットだけデニムと合わせてきても行けそうだというイメージが湧いてきて・・・思わず注文。

仕組みとして、仮縫いというのは顧客維持にはとてもいい役割を果たしているな、と気づきました。

パターンオーダーの場合、仮縫いが基本ありませんから、採寸時にお店に訪問しても、納品は郵送だったりします。つまり、仮縫いがあれば少なくとも2回は顔を合わせるわけですが、パターンオーダーだとそれがないんですよね。

今回の私のように、仮縫いを試しに来たにも関わらず、新しい生地でスーツをオーダーすることもあり得るわけです。

しかも、またオーダーしたということは、また仮縫いが3ヶ月後に仕上げるということ。次回の受注会も予約が確定、ということです。

チョークで生地に印をつけていく手際を眺めつつ、オーダースーツの受注会というシステムは、売買の仕組みとしてもよくできている、と感じました。

ここまで仮縫いではチェックする

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スーツとベスト、そしてシャツまでオーダーしましたから、仮縫いのときはすべてを身にまとい、調整していくことになります。

このとき感じたのは、実際にどう着るかを考えた上での調整を行っているということです。

ネクタイをするのかどうか、腕時計をするのかどうか、腕の曲がり方はどうかなどなど、談笑のなかでも私から必要な情報を集めていき、必要な箇所にチョークで白い印を入れていきます。

仮縫いのものでも胸から腰にかけてのカーブはきれいな弧を描いていますから、鏡を前にすると別人を見ているかのような気持ちになります。

しかしおもしろいもので、着ているうちにその気になってくるんですよね。

ファッションへの投資対効果は高い。確かに、体験しています。

納品と入金完了

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仮縫いが終わり、前回のように六本木へ繰り出すことはもはや定番のようで、この1年間に4回の受注会に参加してきましたが、六本木に行かない日はありませんでした。

それほど仕事も遊びも大切にしているのだな、という様子が伺えます。

さて、しばらく時間が経過した後はいよいよ納品。

仮縫い時に手直しを依頼していただけあって、納品は郵送でスーツハンガーにかかった状態で送られてきました。

このとき希望すれば受注会時に手渡しにてももらえると思いますが、今か今かと待ち構えていた私にとっては、少しでも早くスーツが届いたほうがうれしい。

届いたときに触れた生地のゴワゴワ感、そして柔らかさは今でも覚えておりますし、ほとんど毎日スーツを眺めに行ってしまうほど。

それだけ、好きなんだろうなと思います。ナポリの男に仕立ててもらったスーツが。

入金は、請求書に書かれた価格の半分を納入する必要があるということで、納入後はフッと肩が軽くなったような感覚を覚えました。

これでスーツが自分のものになった、そんな演出をしてくれたのかもしれません。

まとめ

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2回の記事にわけて、ナポリのサルトによる受注会について記しました。

あくまでも私の体験談であり、多くの人に当てはまるかどうかはわかりませんが、受注会そのものをイメージするには役に立つ情報であるとうれしいです。

ナポリの男たちは、どこに行くにも常にジャケットは携帯。シャツは肌着のようなものであり、なるほど、確かに外出の際も仕事の際もジャケットを手放すことはありませんし、ジャケットを羽織っていない場合はベストを必ず来ています。

もちろん、クラブに行った時、あまりに暑くなってシャツ一枚、ということはありますが、もはやジャケットは普段着でもあり、マナーでもあると感じています。

日本人にとってはジャケットはどちらかと言うと堅いイメージのものかもしれませんが、ナポリの男たち同様に、マナーと自己主張のツールとして捉えてもいいかもしれません。

ジャケットが、自分に仕事や良好な人間関係をもたらす存在であると、いいですね。

フルオーダー仕立て体験記(ナポリ編)」の記事はこちらをクリック。

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