2020年5月27日

フルオーダーなら小物にもこだわりたい(ネクタイ編)

スーツもシャツもフルオーダーをまとってみると、生地はもちろん仕立てからして自分自身の身体にフィットしているので、自然と身につける小物もフィットしたものを選ばざるを得なくなる・・・。モノにも人と同じで相性がある、そう感じざるを得ません。

また人の品格と同じで、スーツにも品格がある。そんなことも学んでいます。

なかでもネクタイは悩みのタネでして、スーツとシャツはいい雰囲気を醸し出しているのに、ネクタイを締めるとどことなく浮いた感じが・・・。

ネクタイそのものも1万円とか2万円を出して購入したものなので、それなりにいい感じのもののはずなのに、いったいなぜ、フルオーダーにはフィットしないのだろう・・・。

同じ悩みを抱えているのはきっと私だけではないだろうということで、先日出合ったフルオーダーに合うネクタイを紹介したいと思います。

もちろん、ここで紹介する一本以外にも合うものはあると思いますが、私の体験談ということで、ご容赦ください。

フルオーダーに合うネクタイ選びのお役に立てば、幸いです。

なぜ、ネクタイがフルオーダーに合わないのか?

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私見ではあるのですが、それはおそらく、そのネクタイが人の手を経てつくられたという歴史を感じさせてくれないから、だと考えています。

フルオーダーにヴィンテージ生地を使う場合は生地そのものにも歴史がありますし、実際に生地を手に取ると、歴史を経て今に至った力強さ、ややゴワゴワした生地はギュッと握りし締めてもシワひとつつかないものもありますし、繊細な生地であっても繊細な中にハリがあるものもあります。

光のあてかたによる陰影は見事でして、人にもいいシワというものがあると思いますが、長生きした分だけ刻まれたシワには、他の人々をホッとさせる経験値のようなものを感じさせてくれるものです。ヴィンテージの生地も、まさにそういうものなのでしょう。

生地そのものが長生きしてきた分だけ成長している。また大量生産された時代以前の生地なので、同じエルネメルド・ゼニアなど著名メーカーの生地であっても、雰囲気からして別物だったりします。

今購入できるゼニアやロロ・ピアーナもいいですが、ヴィンテージ生地にこだわる人がいることはうなずくところです。

そして何より、サルトの技術。一朝一夕でできたものではなく、30年や50年という時を経て、サルトの技術は一人前になっていきますし、もちろん今その技術があるということは、代々継承されてきた技術でもあります。

例えばその昔、ナポリでは一家に一人の仕立て人がいた時代もあったと言われているそうです。これは、ナポリのサルトがあるインタビューで答えていました。

つまり、各家庭に受け継がれてきた仕立ての技術、というものがあったわけです。

今でこそその数は減っていますが、そこには歴史があります。ですから、歴史を感じさせることのないネクタイ、またネクタイメーカーだとどうしても品格、雰囲気が合わない。そんなふうに、私は考えています。

もうひとつ。コレも私見なのですが、マシンメイドかハンドメイドか、コレは重要だと感じています。

後ほど紹介するペトロニウスのネクタイの場合、5人の年配女性の手によりネクタイは生み出されますが、なかでもセッテピエゲ、英語で言うセブンフォールドですね、これは5人のなかでもたった1人の女性しか生み出すことはできないそうです。

このような特殊な事情は、ハンドメイドならではの事情です。服飾の世界におけるマシンメイドであれば、つくり手がヴィンテージということはありえませんから。

ネクタイはもちろん、つくり手そのものが希少である存在。それが、ハンドメイドの世界。

もう少し、セッテピエゲに関する話を紹介しましょう。

ネクタイを仕立てる女性自身がヴィンテージなんです

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「その女性自身がヴィンテージなんですよ」

とあるバーでこの言葉を聞いた時、一瞬耳を疑いましたが、確かに女性がヴィンテージだと言っています。一体何を言っているのだろうと考えたところ、どうもこのセッテピエゲを折ることができるのは、ペトロニウスというハンドメイドの老舗メーカーにおいてはただ一人の女性だけだと。

直接取引をする方が言うに、5人の女性がネクタイをつくる担当らしいのですが、そのなかでもたった1人しかセッテピエゲはできない。

ということは、この女性がペトロニウスからいなくなったら・・・セッテピエゲはもう生産できない、ということになります。

「その女性自身がヴィンテージなんですよ」

とネクタイを扱っている店のオーナーは軽やかに言いますが、そこにもまた歴史を感じますよね。イタリアにおいてはもともとそういうものだったと。

ハンドメイドでつくられているかどうか、そしてそのネクタイに歴史を感じることができるかどうか。

これが、フルオーダーにフィットするネクタイの見分け方になるのではないか、と私は考えています。

ペトロニウスのセッテピエゲ(フルオーダーにこの一本)

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私物ではありますが、このネクタイがペトロニウスのセッテピエゲです。

色は濃紺、光の関係で現物と写真とでは見た目の雰囲気が異なりますが、柔らかな雰囲気を醸し出しており、それは手に持ってみても同じです。

ネクタイというと、割と硬めでパリッとした生地でつくられており、それがプレーンノットで巻くにしてもセミウィンザーノットで巻くにしても、締めやすさを提供してくれていたと思うのですが、

ペトロニウスのセッテピエゲの場合は、柔らかく、当然なのですが、芯がない。だからイメージとしては、セッテピエゲ、7つに織り込まれて入るけれども、スカーフを巻くような感じです。

柔らかいシルクの生地をそっと首元に巻く。それが、ペトロニウスのセッテピエゲ。

購入したお店のオーナーが言うに、このネクタイの素晴らしいところは決して緩まないことだと、そう力説していました。

確かに、私が持っているネクタイはどんなにいいと思っていたものでさえ緩みます。もしかしたら私の締め方がよろしくないのかとも思いましたが、事実として朝鏡の前で締めて「よし、これでバッチリ」と家を出て駅に行き、鏡があったのでチェックしてみるとシャツの第一ボタンが見えている、なんてことは普通でした。

さすがに緩まないことはないだろうと思い、しかしその手触りがあまりにも柔らかいので、緩む緩まないの話をすっかり忘れていた頃、ふと思い出したんですね。

確かに、緩まないのです。

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首元からシャツの第一ボタンが見えることはもちろんなく、一度締めてできたディンプル、いわゆる「エクボ」ですね、これも形を変えることなくそのまま佇んでいます。

これは貴重な一本だな、と感じました。

あいにく、ペトロニウスもセッテピエゲもこの一本しかまだ持っていないため、他との比較はできていないのですが、この一本を見かけたら何を差し置いてでも入手されることをオススメします。

シルクだけではなく、ウールもオススメ

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お店のオーナーが言うに、ペトロニウスはこのシルクのセッテピエゲもいいけれど、秋冬に重宝するのはこちらのウールの方だ、と話しておりまして、写真がないのは残念なのですが、次回訪問時にはウールも購入したいと考えています(上記写真はシルクのセッテピエゲです)。

見た目上はいかにもウールの暖かみが感じられる素材でして、色は濃紺と濃茶。

締めても緩まないことがいいと言っていましたが、もう一つこれはと思ったことは、ギュッと握りしめても皺にならないこと。

厳密にはシワになるのかもしれませんが、回復力が普通ではないように感じました。

これならカバンに忍ばせておいて、ここぞの時にガンガン締めても華がありますし、スーツではなく、ジャケパンスタイル、ジャケットとデニムなどでも首元が、フォーマルでありながらカジュアルに感じさせてくれます。

コレもなかなか見かけることがないネクタイですので、見かけたらセッテピエゲとともに手に入れておくといいかもしれません。

電車はいつまでも待ってくれませんから。

まとめ

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フルオーダーのスーツやジャケットにフィットするネクタイとして、ペトロニウスのセッテピエゲとウールのネクタイについて記しました。

すべて私自身が体験していることを書いているため、写真も基本的には自分で購入したものを使っています。

本当はもっと画像で紹介したいのですが・・・一部イメージ画像であることは、ご容赦ください。

フルオーダーの世界と出合い、1年が経ちますが、ネクタイとの組み合わせやネクタイブランドの歴史を学んでますますその奥行きが見えない世界に圧倒されておりますが、少しでもこの世界に興味のある紳士諸氏にお伝えしたく、今後も購入と着用体験を記していきたいと思います。

ちなみにペトロニウスのほか、マリネッラやルイジ・ボレッリなどもイタリアを代表するネクタイブランドですので、締め比べをしてみるといいかもしれません。

なおペトロニウスはミラノを拠点としており、1926年にミラノで創業して以来3代続いているそうです。創業者のルイジ・ウォーリッシュは古代ローマの政治家であるペトロニウスの生き方にヒントを得、ブランドの名称にしたのだとか。

イギリスの作家であるD・H・ロレンスいわく、「ペトロニウスは公明正大だ。彼は何をしても彼の中の純粋な精神を堕落させ汚させはしない」とのこと。

ルイジ・ウォーリッシュがペトロニウスの名前をブランド名に関したのは、常にもっとも美しい形で最高のネクタイをつくろうという意思表示だったと言われています。

常にもっとも美しい形で最高のネクタイの中でも最高峰のセッテピエゲ。

ぜひ、入手してみてください。

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