「げっ、どしゃぶりだ」
残業が終わって帰ろうとしたら、突然の豪雨。
しかも時折、東の空が、昼間みたいに光ってゴロゴロ、ドーン。
さっきまで降ってなかったのに。
しばらく様子を見たけど、やみそうにない。
諦めて会社から出てみると2~3歩あるいただけで、ズボンの裾と靴は雨でグッショリ。
おまけに靴に雨が染みこんで、大切な革靴にまだら模様がくっきり。
こういうとき、ホントに困りますよね。
しかもこの革靴、乾いても雨シミがくっきり付いたまま。
それに靴全体になにやら白い粉?
大切な革靴が、こんな状態になってしまった経験はありませんか。
「まだそんなに履いてないのに、もう履けないのだろうか?」
あなたのそのお悩み、解決します。
革靴についた雨シミの対策
外出先で、突然雨に降られたらどうしようもないですよね。
雨の日に履いた革靴をそのままにしている、という方はいらっしゃいませんか?
何もせずに放っておくと雨シミになったり、革の表面がヒビ割れしたり、型崩れを起こす原因にもなります。
そうならないためにも、雨の日のお手入れはきちんとやっておきましょう。
雨シミのお話
洋服でも靴でも、水に濡れると色が一段濃くなりますよね。
雨によって「濡れてしまった部分」と「濡れてない部分」。
シミに見えるのは、このふたつの色のトーンが違うせいです。
革靴が雨に濡れたときの応急措置
まず、一番避けたいのは「雨に濡れたまま玄関先に放っておくこと」です。
何もしないでおくと、
・濡れた部分の革が柔らかくなり、変形することで型崩れが起きる。
・濡れた部分の革がそのまま乾燥すると革が硬くなり、ヒビ割れを引き起こす。
これを防ぐためにも、
(1)硬く絞った雑巾で、靴全体を丁寧に拭きあげましょう。
これによって靴の汚れを取り除くことができます。
同時に靴の表面についた水滴を吸い取りながら、靴全体を均一に湿らすことで色のトーンを均一にします。
靴ひもを外すと作業もしやすく、拭き残しを防ぐことができますよ。
(2)靴の中に新聞紙を入れる場合は、マメに取り替えましょう。
新聞紙を入れたままにしておくと、水を吸った新聞紙のせいで靴の中の湿度があがってしまいます。
そのままにしておくと、カビが発生する原因にも。
こまめに取り替えることが難しいときは、むしろ何も入れない方がいいですね。
(3)風通しの良い場所で陰干ししましょう。
湿気は地面に近いほど、多くなります。
靴を立てて、靴箱や壁にもたれかけるような感じで立てかけておくと、靴底も乾きやすいのでおすすめです。
よくドライヤーで靴を乾かす人がいますが、これは革のヒビ割れを起こして靴の寿命を縮めてしまいます。
絶対にやらないでくださいね。
半乾きになったところでシューキーパーを入れておけば、型崩れを防いでくれます。
防水スプレーについて
「防水スプレーさえかけておけば大丈夫」と思っていませんか。
実は革靴のコンディションによって、スプレーの効果は変わってきます。
油分や潤いがなくなって劣化した革靴は、雨が染み込みやすいもの。
そんな状態の革靴に防水スプレーをいくらかけても、一時的に水をハジくだけで防水効果はあまり望めません。
日々のお手入れがしっかり行き届いているコンディションの革靴は、油分と潤いがギュッと含まれています。
この状態ならスプレーの防水効果もあがって、雨シミができる確立もグッと減ります。
革靴に現れた白い粉の怪
雨に濡れた後、革靴に白い粉が浮いてきたことはありませんか。
これは雨シミと並んで多い、革靴のトラブル。
くじらではありませんが、まるで塩を吹いたように見えるこの「白い粉」はいったいなんでしょう?
誰が白い粉をつけた?
白い粉の正体は塩(塩分)です。
どうして靴から塩が出るの?と思われるかもしれませんが、靴は歩行時に足から出る大量の汗を吸収しています。
個人差はありますが、1日で人が足にかく汗の量はコップ1杯分。
靴にはその汗の塩分がどんどん溜まっていく、ということになります。
そして雨で革靴が濡れると、革の内部に溜まっていた塩(塩分)が染みこんだ雨と一緒に靴の表面に出てきます。
これが「塩吹き」という現象です。
また、新品の革靴でも塩吹き現象が起きる場合もあります。
これは皮革を製造する際の「なめし処理」の工程の中で、原皮が腐らないように「塩漬け」されることによるものです。
工程の中ではしっかり洗浄されますが、100%完全に塩を抜くことは非常に難しく、どうしても多少残ってしまいます。
革靴は新品でも履き込んだものでも、ある程度の塩吹きは避けることができません。
塩吹きを見つけたら、早めに対処しましょう。
白い粉をやっつける
一般的な靴クリームや汚れ落としを使っても、浮いてしまった塩は取り除けません。
専用のリムーバーで、塩を取り除きましょう。
また、塩が水に溶ける特性を活かして水に漬けることで、革靴に溜まった塩分を取ることができます。
漬け過ぎて塩辛くなった漬物を食べるために、水に浸して塩出しするのに似てますね。
雨シミ・白い粉を取る方法
シューケア用品のトップブランド「M.モゥブレイ」。
ここの製品はどれもシューファクトリーやシューズブランド、 靴愛好家の方々から数多くの支持を得ています。
ファクトリーでひとつひとつ丁寧に作られたシューケア用品は、どれも本格的なお手入れができる品々ばかり。
そこで、M.モゥブレイの製品を使った革靴のお手入れ方法を紹介していきます。
スムースレザーを洗う
用意するもの
●木製シュートリー(シューキーパー)
●M.モゥブレイ サドルソープ
●M.モゥブレイ ステインリムーバー
●クリーニングスポンジ
●クリーニングブラシ
●M.モゥブレイ プレステージ・ナチュラルフレッシュナー
STEP1
「M.モゥブレイ ステインリムーバー」を使って、靴の表面についた塩分、油分、クリームなどを取り除きます。
最初にこの処理をしておくことで、革の内側の汚れを外に出しやすくします。
STEP2
靴の内側に水が入らないように注意しながら、クリーニングスポンジを使って靴全体を濡らします。
「濡れている部分」と「濡れていない部分」があると色ムラになるので、全体が均一に濡れるように丁寧に進めましょう。
STEP3
靴全体が均一に濡れたら、クリーニングスポンジに水を含ませて「M.モゥブレイ サドルソープ」を良く泡立てます。
きめ細かい泡を作るほうが後の作業がやりやすいので、泡をたっぷり作るつもりで泡立てて下さい。
STEP4
作った泡を靴全体にのせます。
STEP5
クリーニングブラシを使って、靴にのせた泡をクルクルと小さな円を描くように靴全体を優しく洗っていきます。
決して強い力でこすらないで下さいね。
優しく丁寧に洗うのがポイントです。
STEP6
全体を洗い終わったら、表面に残った泡と汚れをクリーニングスポンジで丁寧に取り除いていきましょう。
取り除く際は、靴の表面にサドルソープの成分を若干残すつもりで作業して下さい。
(サドルソープには、皮革の潤いを保つ成分が含まれています)
STEP7
木製のシュートリー(シューキーパー)を靴に入れて形を整えながら、靴の甲のシワをゆっくり伸ばしていきます。
水分で皮革が柔らかくなっていますので、シワが良く伸びて型崩れなどが直ります。
STEP8
風通しの良い場所に置いて、陰干しで乾燥させて下さい。
靴を立てて、靴箱や壁にもたれかけるような感じで立てかけておくと靴底も乾きやすいです。
STEP9
靴が完全に乾いたら、カビ対策として「M.モゥブレイ プレステージ・ナチュラルフレッシュナー」を靴の内側にスプレーします。
このスプレー、カビ対策だけではなく除菌、消臭にも効果的です。
その後、スムースレザーのお手入れ(4.1: スムースレザー)で仕上げましょう。
※ご注意下さい
・色落ち、シミ、ムラになる特殊な皮革もあります。
・乾燥している皮革製品に使うと、水分が含まれたことで色が濃く(本来の色に近い色)になります。
・シミの種類によっては、シミが取れないこともあります。
スエード・ヌバックを洗う
用意するもの
●木製シュートリー(シューキーパー)
●M.モゥブレイ スエードヌバックシャンプー
●ワイヤーブラシ
●クリーニングスポンジ
●クリーニングブラシ
●ウォーリー スエードカラーフレッシュスプレー
●FAMACO スエードカラーダイムリキッド
STEP1
靴の内側に水が入らないように注意しながら、クリーニングスポンジを使って靴全体を濡らします。
「濡れている部分」と「濡れていない部分」があると色ムラになるので、全体が均一に濡れるように丁寧に進めましょう。
STEP2
靴全体が均一に濡れたら、クリーニングスポンジに水を含ませて「M.モゥブレイ スエード&ヌバックシャンプー」を良く泡立てます。
STEP3
作った泡を靴全体にのせます。
STEP4
クリーニングブラシを使って、靴にのせた泡をクルクルと小さな円を描くように、靴全体を優しく洗っていきます。
決して強い力でこすらないで下さいね。
優しく丁寧に洗うのがポイントです。
STEP5
全体を洗い終わったら、表面に残った泡と汚れをクリーニングスポンジで丁寧に取り除いていきましょう。
ここではシャンプーの成分を、しっかり落とすことが大切です。
STEP6
タオルなどを使って、水気を軽く拭き取ります。
STEP7
木製のシュートリー(シューキーパー)を靴に入れて形を整えながら、甲のシワをゆっくり伸ばしていきます。
水分で皮革が柔らかくなっていますので、シワが良く伸びて型崩れなどが直ります。
風通しの良い場所に置いて、陰干しで乾燥させて下さい。
靴を立てて、靴箱や壁にもたれかけるような感じで立てかけておくと靴底も乾きやすいです。
STEP8
靴が完全に乾いた後は、毛がぺたっと寝ています。
ワイヤーブラシで毛を軽く起こすような感じで、ゆっくり丁寧に全体をブラッシングします。
STEP9
「ウォーリー・スエードカラーフレッシュスプレー」を靴全体にかけて、皮革に栄養と潤いを与えます。
これによって起毛皮革の柔らかい毛の風合いが蘇り、同時に防水力も強化されます。
もし靴の色あせがある場合は「FAMACO スエードカラーダイムリキッド」で補色しましょう。
「M.モゥブレイ ナチュラルフレッシュナー」を靴の内側にスプレーして仕上げることで、カビ対策や除菌消臭にもなります。
※ご注意下さい
・色落ち、シミ、ムラになる特殊な皮革もあります。
・乾燥している皮革製品に使うと、水分が含まれたことで色が濃く(本来の色に近い色)になります。
・シミの種類によっては、シミが取れないこともあります。
普段のお手入れ方法
雨シミや白い粉が浮いてきたときだけではなく、普段から靴のお手入れはやっておきたいもの。
お手入れの行き届いた革靴は、防水スプレーの効き目もあがり、雨シミも付きにくくなります。
大切な革靴を長く履き続けるためにも、日々のお手入れはしっかりやっておきましょう。
スムースレザー(一般的なツヤ革)
STEP1 靴の汚れを落とす
ホコリ落しブラシで表面のホコリを落としてから「M.モゥブレイ ステインリムーバー」で汚れを落とします。
皮革に優しい水性リムーバーは、汗や塩分、古いクリームなどを綺麗に落としてくれるので、作業後は靴が軽く感じられます。
ホコリ落としのブラシは、毛先が細く柔らかい馬毛のブラシがおすすめです。
STEP2 栄養分をたっぷり補給
塗布ブラシで「M.モゥブレイ・シュークリーム」を全体に薄く素早く伸ばしていきます。
コバの部分や細かい部分にも、軽く塗り込みましょう。
伸びがよくてとても塗りやすいクリームなので、少しの量で靴全体に均一に塗ることができます。
STEP3 キラッとツヤ出し
クリームが乾かないうちに、ツヤ出し仕上げブラシをすばやく全体にかけていきましょう。
靴全体にクリームを均一に広げながら余分なクリームを取り除いていくと、この段階でかなりツヤが出てきます。
ブラシの毛は少し堅めの豚毛や化繊の方が、クリームの伸びが良く光沢も良く出ます。
ブラッシングの後は、グローブクロスで最後の仕上げを。
ブラシでは取りきれなかったクリームを伸ばしながら、さらに磨きをかけていきます。
この作業をすることで
・革靴により光沢が生まれます。
・表面のクリームがなくなり通気性が良い状態を保てます。
・汚れが付きにくくなります。
STEP4 防水対策も忘れずに
大切な靴を長く履き続けるためにも、防水対策は欠かせません。
すばやく乾いて綺麗な仕上がりの「M.モゥブレイ・プロテクターアルファ」を全体にスプレーします。
そして完全に乾いてから、軽く乾拭きをしましょう。
雨の日に靴を履く場合は、スプレー後30分程度乾かしてから外出して下さい。
このスプレー、スエードやヌバック、布地まで幅広く使える優れもの。
1本あると便利ですね。
スエード・ヌバック(起毛皮革)
STEP1 ブラッシングと汚れ落とし
「ウォーリー・スプラッシュブラシ」を使って、表面についたホコリをやさしく落としながら毛並みを整えます。
実はこのブラシ、天然のゴムを発泡して作られているので仕上がりがとってもソフト。
靴はもちろん、バックやジャケットなどの製品まで使える優れものです。
また、細かい部分はブラシの角を使えば簡単にブラッシングできます。
STEP2 ブラッシングだけでは落ちないとき
部分的についた汚れには「M.モゥブレイ・スエード・ヌバックイレーサー」。
消しゴムに似た形状のイレーサーで、優しく消すように落としていきます。
全体についた汚れには「M.モゥブレイ・スエードクリーナー」。
靴全体にスプレーして、布で拭き取るだけなので簡単です。
STEP3 栄養分をたっぷり補給
「M.モゥブレイ・スエードカラーフレッシュ」をスプレーして、潤いと栄養を与えながら防水力を付けます。
無色なのでどんな色の靴でもOKです。
(靴以外の起毛皮革製品にも使えます)
雨の日はフレッシュスプレーの後、「M.モゥブレイ・プロテクターアルファ」をスプレーすれば、さらに防水力が高まります。
また、色あせたスエードやヌバックの補色には「FAMACO・スエードカラーダイムリキッド」を使いましょう。
スプレーと違って飛び散らないので、塗りたい部分を狙って塗りこめますよ。
STEP4 仕上げ
「ワイヤーブラシ」でブラッシング。
毛を起こして毛並みを綺麗に整えます。
このブラシ、ヌバック素材のテカリにも効果的です。
まとめ
靴全体を濡らし、泡で包んで丸洗いする方法。
びっくりされたと思います。
「革は水に弱い」と思われがちですが、水は決して皮革の天敵ではありません。
雨シミや白い粉(塩吹き)が重症の場合、シューケアのプロは過激にも「バケツの中へ革靴を突っ込んでしまう」とか。
さすがにこの方法、素人にはハードルが高いですね。
でもシューケアのプロじゃなくても、先に紹介した方法なら「これならできそう」と思われたはず。
雨シミや白い粉が浮いてきたときだけではなく、日々のお手入れをしておけば革靴は汚れにくく、雨にも強くなります。
そしてお手入れの際、シュートリー(シューキーパー)があると作業がグンとはかどります。
シュートリーは革靴の「履きシワ」を伸ばしてくれますので、シワの間にたまった取れにくい汚れまで綺麗に取ることができます。
しかも革靴の型崩れを整えてくれる。
まさに一石二鳥のアイテムですね。
さぁ、突然の雨に遭遇する前にシューケアセットを揃えて、あなたのお気に入りの革靴を雨から完全に守ってしまいましょう。